ゆったりとした時間の流れる昭和の世界。
1980年(昭和55年)の、ところは岐阜県東美濃市。
ふくろう商店街の子供たちは、今日も元気いっぱいです。
楡野鈴愛は、萩尾律の作ったハイスペック糸電話で、亡くなった祖母と、元気のない祖父を会話させたいと思っています。
鈴愛と律の実験に付き合うのは、クラスの悪ガキ・ブッチャーなのでした。
もくじ
ブッチャーよ、切ないのぅ><
なんでブッチャーなのか!
不満気な鈴愛に対し、律は、向こう岸へ渡るための渡し船には運賃がかかるから、その二百円を出させるため――と打ち明けます。なかなか策士よのぅ。
萩尾家も資産家ですが、お小遣い制限もあって厳しく教育されているようですね。
一方、成金息子のブッチャーは、その辺が甘いのか。
切ないのは、ブッチャー本人がそうとは知らず、純粋に喜んでいるっぽいところなんですよ……。
律に「カギを落とした」とウソをつかれたら、信じ込んで真剣に探しているし。
子どもの無邪気さ、残酷さを隠さなくていいなぁ。
「金づるってことだな!」
「難しい言葉、知ってんなあ」
「律はお代官だな!」
そんなやりとりをかわす鈴愛と律。
このぐらいの子供たちが、テレビや大人の会話で聞きかじりのマセた単語で、得意げに会話するのはありがちな話ですね。
律は、金づるというだけではなく、友達が少ないからブッチャーしか思い浮かばない、とも言います。
ここであきらかになる、律とブッチャーの関係。
多分ブッチャーも、友達少ないんでしょうね。あぶれもの同士なのでしょう。
「なんでお前いんの? カラス!」
鈴愛に向かって憎まれ口を叩くブッチャー。
例によって揉めそうになりますが、とりあえず別の子も呼んでくることにしました。
それは菜生(ナオ)ちゃんか、マナちゃんか。
1000万円の外車に乗ったブッチャー母&妹
菜生は木田原家の娘さんです。
ベストテンごっこで不完全燃焼だったらしいナオは快諾。喜んで鈴愛についていきます。
どうやら菜生は、マナちゃんとの「聖子ちゃん(松田聖子)争いに負け、黒柳徹子役をするしかなかった」そうで。。
会話から察するに、マナちゃんは自分のかわいいことを自覚している、ちょっと強気な美少女なのでしょう。
これから先、出てくるかどうかは不明ですが。
ここで、1000万円の外車(ベンツ?)に乗った西園寺家が登場します。
助手席からブッチャーの母・富子が顔をのぞかせ、鈴愛たちに声を掛けます。
うちの龍之介(=ブッチャー)は英語塾ですのよ、と。
後部座席には、かわいい犬のメルシーを抱いたブッチャーの姉・麗子が乗っています。
いやぁ、いいなぁ、懐かしの成金家族って感じで。
彼らの父ちゃん・満は、初日に出てきて存在感を放った六角精児さんです。背伸びして、犬にフランス語の名前をつけるあたりの感覚がたまりません。
この手の、日本の道路事情を考えていない、やたらドデカイ外車も、昭和の成金臭さがありますよね~。
肝心の糸電話作戦は、強風で渡し船が出ないため、ピンチ。
ここで鈴愛、橋を歩けばいいと思いつきます。
3科目足しても100点に届かないテスト
つくし食堂では、廉子に先立たれた仙吉がやっぱり元気がないようで。
亡くなって1年が経過していたんですね。
茶の間に放り出された赤いランドセルを母の晴が開けると、中から3科目足しても100点にならないテスト用紙が出てきます。
思わず苦笑の晴。
宇太郎は、テストの裏に描かれた『あしたのジョー』イラストに感心しております。
美人な晴を描いた絵も出てきました。
鈴愛はお勉強より、芸術家タイプということでしょうね。
仙吉はふら~っと仏壇前に座り込んで、亡き妻・廉子に話しかけます。さみしくてたまらん、と。
仏壇前というと、鈴を鳴らすと亡霊が出てくる『わろてんか』の余韻でちょっと身構えてしまうんですけれども……よかった、普通の追悼だ。
ここでちゃっかり、お供え物を食べてしまう仙吉。
ナレーションで廉子が「お供えしたばっかり!」とつっこみます。
そうそう、死者とのファンタジックな交流は、これが限界点ですよ。
わかってますか?『わろてんか』の中の人は。
突然ジュディ・オングを歌い出す
楽しそうに橋を歩く鈴愛と、ナオ。
「ベストテンごっこよりおもしろい!」
と、ゴキゲンなナオちゃんは、
「おんなは~うみぃ~♪」
と歌い出します。
ええとこ突いてくるなぁ。ジュディ・オングの『魅せられて』ですね。
こういうませた昭和歌謡を平成子役に歌わせるセンス、嫌いじゃないです。
当時、意味などサッパリわからず、オトナの歌を大声で叫んでいたりしましたよね。そのうち八代亜紀さんの「あ~めあめ♪降れ降~れ♪も~っと降れ~♪」も出てくるかな。
岸で待っているブッチャーは、律に「りっちゃん」と語りかけています。
「せっかくなのに聞こえてくるのが、鈴愛とナオの声なの? りっちゃんの声が聞きたかったな〜」
おっ、ブッチャー、やっぱり律に誘われたのが本気で嬉しかったんだな。
英語教室サボったのも、律に誘われたからだな。
寂しいんだな?
そのころ【つくし食堂】では、元気のない仙吉に、宇太郎が囲碁教室やギターを勧めます。
老人扱いも嫌だけど、昔引いていたギターも嫌だと嘆く仙吉。
こういう彼に、中村雅俊さんというキャスティングはぴったり来ます。永遠の青春ぽい若々しさがありますからね。
仙吉は老人扱いする息子に不満で、嫌味を言い返します。そして煙草を買いに行ってくるとふらりと出て行くのですが……仙吉は煙草をやめたはず、と宇太郎と晴は気がつきます。
「名前呼び合うとか愛やないの?」
川沿いでは長〜い糸電話がついに繋がりました。
「りーつー!」
そう叫ぶ鈴愛。聞こえました!
「すずめー!」
互いに名前を呼び合う鈴愛と律。
ここでブッチャーが、
「なんで? 愛の告白? 名前呼び合うとか愛やないの?」
と、絶妙にマセた突っ込みをするのが最高。背伸びしている子供感ありますわ。
仙吉は自転車で道を走る途中、大きなヒキガエルを轢きそうになり、ハンドルを切った瞬間にコケてしまいます。
鈴愛は、足下に飛んできた虫を勘違いして払おうとして、糸電話を引っ張ってしまいます。
その結果、対岸の律が川に入ってしまうのでした。
今日のマトメ「マグマ大使は許容範囲でええやん」
本作の渡し船って、このあたり(小紅の渡し)がモデルですかね(参考:岐阜観光コンベンション協会)。
このだだっ広い川が、実に岐阜らしい景観です。
さて、本作は既にノスタルジーで盛り上がっておりまして。
果たしてミスかどうか?
72年生まれの編集さんによりますと、
・3才ごろからウルトラマン各種兄弟(再放送)
・幼稚園ごろからゴレンジャー&ウルトラマン
・マグマ大使等は60年代生まれでは?
とのこと。
いずれも「テレビに触発された」とハッキリご記憶されているそうで、おそらく全国的に同じような環境だったでしょう。
そうなると時代考証的には間違っている――という可能性も否めませんが、場所によっては仮面ライダーが人気だったり、キカイダーだったり、他にも鋼鉄ジーグなどのアニメヒーローがいて、『マグマ大使がいたとしてもギリでありでは?』と問題視しておりませんでした。
『わろてんか』のデタラメぶりに突っ込んできた私からも言わせて貰いますと「許容範囲では?」というところ。
それよりも、こうやってワイワイ盛り上がるのが、ノスタルジーを刺激されている視聴者が多い証左でありましょう。
とはいえ……ノスタルジーだけでドラマは成立しません。
他にも、もう少し魅力がなければ盛り上がらないよね……と、そんな私が昨日に引き続いて注目したのがブッチャーです。
父ちゃん・満に続いて、
「お前どんだけ西園寺家好きなの?w」
と言われたら、その通りでサーセン。
今日のブッチャーは、鈴愛には憎々しいのに、律と二人きりになったら「りっちゃん」とか言って距離縮めようとしているのがいじらしかったです。
習い事のせいで、友達も作れないのでしょう。
ブッチャーは律に誘われて心の底から嬉しかったんだろうなあ、と想像すると可哀相になってきました。単純なジャイアンでもないんですね。
「名前を呼ぶなんて愛やないの?」
というマセた台詞もいいですね。
子供に親が聞いたらギョッとするような台詞を言わせているのも、ご都合主義じゃなくて好きです。
今のところこれは絶対にいい作品になるとは言い切れないのですが、毎日見るたびに「ここがいいな」という小さな美点が見つかるので安心感があります。
・立志伝の大阪
・ささやかな日常を描く東京
朝ドラは、それぞれ別のテイストで今後作っていくのもよさそうですね。
『ひよっこ』の水準を目標に、それを大幅に下回らないといいなあ、というのが今の願いです。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
マグマ大使は、食堂に客引きのために手塚治虫の漫画本を置いている、当時でも古い本、の設定のようですから、時代考証間違ってないと思います。
主人公より七歳上ですが、
手塚氏の漫画では、
アポロの歌が、あんな感じの食堂に置いてあるのをみたことがあります。
1980年代中頃の福岡市周辺でも、平日の昼ドラの後、夕方までの時間帯(今なら情報番組をやっている時間帯)には、「妖怪人間ベム」や「レインボーマン」等々の、当時の自分から見ても「古いなあ…」という感じの番組を数多く再放送していました。
なので、あれを「時代考証がおかしい」と騒ぐほうがおかしいと思います。当時の実情を全く知らない人たちが知ったかぶりをしているかのようで、失笑を誘われるほど。
1980年ですよね。
主人公が見られる範囲で、マグマ大使の再放送がされていた可能性はあります。
昔は夕方の時間帯で子供向け番組の再放送枠がありましたし、見たことがないと決めつけることは出来ないような気がします。
1976~79年にかけて仮面ライダーシリーズもウルトラマンシリーズも放送がなかったので、圧倒的人気の実写ヒーローがなかったでしょうから、再放送で気になる作品があってもおかしくないような。
個人的には、小ネタにいちいち反応しながら楽しんでいます。
ブッチャーが可愛くてお気に入りです。
ほぼ同い年ですが、マグマ大使見たことありません。多分著作権問題でウルトラマンが使えなかったのでは?
いつもコメントおつかれさまです。
駄作「わろてんか」のときは、このコメントで大笑いさせてもらってました。
さて、「半分、青い」ですが、ヤフーの感想欄はなんだか批判めいた
コメントが多いようです。
でも私は個人的に好きな感じです。ちょっとした、クスリとした笑いが
朝の忙しい時間にはちょうどいい気がしました。
私も70年生まれなので、このドラマの昭和な感じがしみついてます。
なので今日のジュディオングには笑ってしまいました。
あと、外車とみれば「一千万!」というのも田舎あるあるだなとw
こういう「ちびまるこちゃん」的な昭和テイストは好きなので、
普通にちゃんとドラマが進んでくれたらいいなあと思います。
あと、マグマ大使云々が話題になってますが、地方だと、へんな
タイミングで再放送かかったりするんですよね。
「わろてんか」に比べたら、まったくもって気にならない時代考証
ですよね。
今は巨漢のブッチャーですが、数年後には律より背の低い之の字……じゃない矢本さんになるのが楽しみです。
小学生の頃に太って大きかった子が、10代後半くらいには締まってシュッとしたり、周りの背が伸びて平均身長を下回ったり、というのは男子あるあるネタですね。
第1話では律の方からブッチャーに肩回しに行ったりしてますし、男の子の友情物語が見られたら嬉しい。