半分、青い。111話 感想あらすじ視聴率(8/8)始動、ベリーハードモード

監督志願者という残念イケメン・涼次との結婚に敗れ、花野を連れて岐阜県に出戻った鈴愛。

弟・草太の絶品カツ丼が大ヒットしている実家「つくし食堂」は、行列のできるお店になっておりました。

こんだけ流行っているならば、店を手伝っとっきゃ平気でしょ♪

なんて呑気に構えているような鈴愛ですが、子持ち出戻り女に甘い日本の地方などあるのでしょうか……。

【第111話の視聴率は24.5%でした】

 

離婚した鈴愛に向かって「ご愁傷様」は半端ないって

晴さんは、笑顔を見せながら売り上げ計算中。
ぼちぼちと言いながら、やっぱり笑顔なのです。草太カツ丼の効果テキメンってところでしょうか。

そこへ、草太の妻・里子も子供の大地と一緒に合流。
さらにはアメリカ出身のカツ丼修行者・健人まで登場します。
あっ、そういえば雇用を増やしているので人件費アップですね。

大地は、おとぎ話に出てきそうなおじいちゃんこと、曾祖父・仙吉が好きなようです。

そういえば仙吉さん、相当ご高齢ですね。

宇太郎も祖父として孫を甘やかしたい、可愛がりたいようですが、形勢不利な様子。そこは風格の差かな?

和気あいあいとしていたところで、健人が鈴愛の離婚に「ご愁傷様です」と言うから微妙な空気に……。
それは確かに定型文だけど、ここで使っちゃ駄目なやつやで~!

 

「働かざる者食うべからず」の家訓

鈴愛はインゲン豆やジャガイモをパクつき上機嫌。
食堂も売り上げバッチリや!とか思っているんだろうなぁ。

と、そこへ晴がチクリ。

健人たちもいるし、食堂の人手は足りています。
「働かざる者食うべからず」の家訓を守れ、と。

そういえば鈴愛の部屋は健人に占領されてアメリカナイズされているし、ピンチかもしれません。

鈴愛は「ともしび」へ。
ナオちゃんから、健人がワンルームを契約したと聞かされ、一息つきます。

鈴愛、案の定甘い考えでして。
行列ができる実家を手伝えばええやん程度の認識でした。流行った食堂の娘なら金持ちになれるかも、なんて。

しかも、言うまでも無い話ですが、頼りない涼次が慰謝料や養育費を払うはずもなく……崖っぷちじゃないですか!!

幸いなのは、梟町では保育園の倍率が低く、花野を預けることがそう難しくない点ぐらいでしょうか。

 

試写会の招待状を出しま……せん

にしても、ですよ。
こうなると涼次が歩く試練に思えてきた。

雨の中、アイツに恋した結果がコレだよ。いや、恋心が悪いんじゃないんです。

勘違い気味の人が「女は結婚して相手を見つければ落ち着く」みたいなことを申しますが、それはあくまで「※ただしまっとうな相手限定」という話なのです。
ハズレを見つけると、こうなりかねません。

一方で三オバには、涼次から監督作品『恋花火』の初号試写会招待状が届いています。

一人で頑張っているかのように褒められる涼次は、実は、未だに元住吉祥平と同居しているカスっぷりを披露。
監督仲間で恋した相手みたいなもんだから、まぁ、そんなもんか。

涼次は、鈴愛に試写会招待状を出していないそうです。

いや、そこは出そうよ。んで、鈴愛に慰謝料と養育費も払おうよ!!

 

梟町全体で鈴愛の就職が心配事

律は「鈴愛を受付嬢にできない?」とナオから頼まれ、そんなもんは今さら派遣だし、そもそも年齢いくつなんだよと塩対応。

そうそう、昭和から平成への移り変わりって、こういう女性限定の花形職種が、どんどん落ちていったんですよね。
正社員から派遣。
そして今ではペッパー君のような電子端末に変わりつつあります。

ソフトバンクを筆頭に、色んな店舗でも見かけるようになったロボットのペッパー君、あれも本来なら女性社員が担っていた仕事なんですよね。

でもナオちゃんは、落ち込むどころかブッチャーのセレブ妻扱いされて、逆に浮かれる始末。
弥一と和子も、律経由で鈴愛の就職難を知ってしまう流れになります。

かくして梟町全体が心配するという雰囲気に……。

しかし鈴愛も無策ではなく、かつて就職を斡旋してくれた農協がらみの西村さんと対面しておりました。
喫茶「ともしび」で草太のカツ丼お重を差しだしつつ、かしこまっております。どうやら改めて仕事がないか、西村さんに聞いてもらったようですね。

元はといえば仙吉との関連人材です。西村さんも結構な年齢だということが判明。

そして、そんな歳になっているせいか職の紹介はムリだったようで、そうとわかれば鈴愛もお重をコソコソと取り上げます。
おい、再利用するつもりか!

 

母親だけに育てられた子は必ず父を恋しがるのか?

そんな調子ですから、喫茶店のまさ子から「余計アホに見える」と突っ込まれるわけで。
なりふり構っていられない鈴愛は、いっそ「ともしび」に就職したいと言いそうになりますが、まさ子さんは平然とうちに客なんかいない、人手いらないと言い放ちます。まぁ、そうですわな。

花野ちゃんはそのころ、両親と自分の絵を仙吉に見せます。

パパに会いたくないかと問われても、この世界はひとつだからおうちもひとつ、花野がパパを思えばパパも私を思うから寂しくない、だって。うぅ、花野ちゃん、ええ子やないか!

って、それだけではないかな?
これは本作なりの、
「母親だけに育てられた子供が、父を恋しがる」
という定番設定に対する「NO」の突きつけ方かも。

おもしろいところですが、本作って涼次の「父性」がとことん薄いのです。あるいは「夫性」と言いましょうか。

妻がいようが、子がいようが、三オバという育ての親や祥平との関係を保つ涼次は、未だに独身の息子としての属性が濃いのです。
鈴愛にせよ涼次にせよ、結婚して子供が出来ても、独身時代の本質を失いません。それこそ、平成のリアルかもしれないですね。

帰宅した鈴愛は、店を覗こうとする不審な人物に驚きます。

なんとボクテ!
急に会いたくなったから、サプライズである人物と午後3時にここに集合することにしたのだそうです。

店の中に入ってみれば、その誰かとはユーコでした。

「秋風塾」は失敗なんて声もありましたが、どうですか。
こうしてトリオが集まるのだから、漫画家としては失敗ですが、鈴愛にとっては同時に成功でもあるのです。

 

今日のマトメ「平成女のシビアターン」

現在、巷を騒がせている医大の入試不正問題。

「女は結婚や出産育児で家に引っ込む」
っちゅう話に対して、本作はアンチテーゼとして有効です。

結婚し、子供を産んだ鈴愛。
もしそういう概念が真実ならば、世間は、
「あんたは離婚したけど、結婚して子供もおるんや。ゆっくり子育てしんさい」
とでも言うのでしょう。

が、現実はさにあらず。

むしろ引っ込めば、役立たず扱いで、保育園に子供を預けて働け、となる。
その一方で、受付になるには老けているし、派遣でもないし、と言われる。

平成という時代は、女が座っているだけの役職は削られまくっているし、育児期間でも働かないとイカンのです。

本作は、昭和と平成の違い、残酷さ、嫌な部分を切り取っていて、素晴らしいと思えます。
特にNHK大阪は、昭和以前の働く女像を美化して(時には、ついでにイージー化までする)、
「こんな女を目指せ!」
という作品が多い傾向にあります。

そういう朝ドラと比較すると、鈴愛はアホで中途半端に見えるかもしれない。

しかし、時代はそういう
「昭和のひとにぎり成功女になれない、平成女のシビアターン」
になりつつあります。
そもそも昭和だって、朝ドラヒロインレベルの成功は、戦国大名レベルの狭い道。女がアホでも中途半端でもない。時代がシビアなのです。

離婚済み、子持ち、地方出戻り女というベリーハードモード、ついに始動です。

見ている側を悶絶させるレベルの理不尽さでも、本作なら出来るかも。
期待アンド応援しています!

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました。
ご覧いただければ幸いです。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

7 Comments

ファンタ

こんにちは。
直虎からこちらのサイトにお世話になっています。
直虎、せごどんに関して頷ける解説が多かったため、朝ドラの感想を見てびっくりしてしまいました。
わろてんかは楽しく見て、半分青いは途中でやめてしまったものです。
筆者様はフィクションには比較的甘く、史実モデルには辛いという認識でよろしいでしょうか?
ただ、大河と違いわろてんかは吉本せいさんの話なのですか?NHKからはそういう説明はなかったので、気にしていませんでした。
いつもにこやかに頑張って働くおてんちゃんに朝から元気をもらって出勤してました。すずめちゃんからは元気をもらえません。言葉使いも気になります。
ストーリーも大事でしょうが、朝ドラにはそういう要素もあって、楽しみ方は人それぞれということをお伝えしたいです。
様々な需要に答えるため交互にやって欲しいので、わろてんかばかりこき下ろすのは違う気がしました。

匿名

本作は、律が近所にいるときは時間経過がゆっくりになる傾向があるのかなと感じます
人生何とかなるぞ、と励ましてくれる仙吉さんのような梟町の雰囲気もあって、先は厳しいにせよ、故郷の気安さが感じられる今の展開は結構好きです

あとは鈴愛の野心に再び火が付くのを待つばかり、でしょうかw

ヒグタツ

涼次の「父性のなさ」は時代性というよりは、育った環境と遺伝からと云う背景からと感じました。まあ今までの朝ドラにない主人公の夫像ですよね。
それでも彼を憎めないどころか、どっちかというと笑い(苦笑)のシーンになってしまうのは、やはりビーチボーイさんの書かれているところの主人公を取り巻く家族や友人、人間関係に大いに恵まれているから鈴愛、なんとか大丈夫だろうというところから来ているのだと思います。

さつき。

いつも楽しく拝見してます。
重箱隅っこで申し訳ありませんが
ちょっと指摘。

晴さんに指摘されたシーンは
鈴愛ちゃん、家事してました。おお方
豆のさやのすじとりをしてたかな? と。
食べてたのは黒糖まんじゅうかなにか。
中の黒いあんがしっかり見えました(笑)

涼ちゃんもお金渡してるみたいでしたよ
鈴愛は「雀の涙」だと言ってましたが。

試写の案内は涼次は出せないだろなと
思います。三姉妹が間に入って報せたらなと思いました。

ビーチボーイ

100ウン歳まで現役医師として活躍した故日野原重明氏の著作に『生き方上手』がありますが、楡野鈴愛と来た日にゃその真逆、日本でも有数の「生き方がヘタな女」です。善良な人なら誰しも彼女を可哀想と同情し、性悪な者は何と阿呆な奴とさげすむでしょう。
しかし私は、周囲の人間関係には常に最高に恵まれているスズメを、その面では凄く羨ましく思います。故郷の家族(両親、祖父、弟)と、フクロウ会の幼馴染み3人は言うまでもないし、東京に出てからも秋風先生に加えボクテ・ユーコという最良の親友を得ました。それに3オバも。
アンチ半青方面がどうせまた「こんなに行く先々でいい人達に囲まれるなんて非現実的だ。ご都合主義だ」とか叩いて来るでしょうけど、言わせとけばいいです、無視無視。スズメの人生はこれでどうにかバランスが保たれてる。現実にこういう人もたまにいますよね。

小原正靖

感想に概ね違和感はないがカンちゃんが可愛くかかれすぎです あまり美化しないで幼児から美人すぎる。。。になっている!

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