半分、青い。114話 感想あらすじ視聴率(8/11)慈母でなく大黒柱でもなくて

ヒロイン鈴愛は37歳。
朝ドラにあるまじき迷走の真っ只中にあります。

普通なら、正しいダーリンと結ばれ、正しい家庭を育み、正しく愛児を育てているはず。

ところが、鈴愛の結婚相手はイケメンだけどクズな監督志願者の涼次。
「死んでくれ」とまで言い放ち、一人娘の花野(5歳)を連れ、実家に出戻るのでした。

実家には仕事がなく、ついにはブッチャーが雇ってくれるという提案も蹴り上げた鈴愛が語る野望は、なんと……。

「決めたことがある。人には使われん。社長になる!」

一国一城の主になる宣言です。
まぁ、女だって、朝ドラヒロインだって、本音をさらせば人に使われるのはイヤだもんな。

とはいえ、大丈夫なのか、鈴愛、その野望は勝算ありなのか?

【114話の視聴率は21.5%でした】

 

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「つくし食堂二号店をやる!」

織田信長の国・岐阜で育った鈴愛。その天下取り宣言の内容は何のか?

楽しみや!
と思えるのは我々が視聴者だからで、母の晴からすれば離婚ショックでいかれた娘の暴言であり、寝言にしか見えません。

困惑しているのか。
それとも、コイツなら言い出しそうだ……と思っているのか。
どちらにも見える律の目線も最高ですね。

「つくし食堂二号店をやる!」

うはっ!またもぶっ飛び宣言が出ました。

社長というから、まったく新しい商売かと思ったら、2号店なんですね。しかも、開店資金は、カツ丼で一山当てた晴のへそくりを充てにしているのが腹黒すぎます。

本作は、女性キャラでも大河ドラマ以上に容赦なく謀略しまくりでいいですね。
まぁ、心が清い女ばかりじゃない、というか人間誰しも腹黒い部分があって当然です。

 

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まだお客さんいるのに家族会議が始まった

店内で、さすがにこれ以上込み入った話はできない。
と、家屋へ移動し始める母子。

ここで、娘の謀略をセーブしようとする母・晴も斬新なのです。

朝ドラ定番の流れである優しい慈母ならば
「鈴愛も夢があるんやね! お母ちゃんのへそくり、使って!」
とでも言って終わりですわ。
んで、鈴愛も感謝して、安直な感動が演出されている頃っすわ。

先に部屋にいてお笑い番組を見ていた仙吉は、殺気を察知して風呂に逃げようとします。
が、晴に「おじいちゃんもそこにいて」と止められます。

お店では、律が、草太や宇太郎に向かって、話し合いに参加したほうがよいと声をかけます。
ブッチャーが「後にすりゃいいのに」と不思議な顔を浮かべると、瞬間湯沸器の母娘だから今決めないとダメなんだ、と律が説明。

まだ店内にお客さんはいます。
にもかかわらず話し合いに挑もうとする一家。

このへん、岐阜県民の特性なのか、それとも楡野家だけなのか。
にしても面白くて、思わず笑みがこぼれてしまいますよね。悪ノリして、法螺貝サウンドを入れたくなるなぁ。

 

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あのグルメ秋風が惚れた味だぞ

楡野一家、修羅場の会議スタートです。

まず、晴は、草太のカツ丼ゆえに貯金できたと強く主張。卵を溶くのが昔から上手だった、とも補足します。
確かにそうでした!

回想シーンで流されましたように、鈴愛は草太の溶き卵を美味しそうに食べていましたね。
なんと細かい伏線というか人物設定というか。何気ない家族の日常の所作が活き活きとしていて、キャラが大事にされているのがわかります。

草太はカツ丼を作ってきたのに、鈴愛は漫画家を目指しておいて辞めたり、店に何も貢献していないで夢ばっかりだった、と晴。

しかも『マグマ大使』のゴアに似ていると言ったとか、そんな幼少期の黒歴史まで持ち出します。宇太郎が細かいミスに突っ込んでも止まりません。

しまいには、
「今いくつになった? 37? 37年間、全て思いつきやわ!」
と娘の人生に突っ込み、へそくりを返せるのかと厳しく迫ります。

しかし鈴愛の構想は止まりません。

食堂ではなくオープンエアーカフェにして、仙吉の五平餅を売り出すそうです。

あのグルメな秋風羽織すら夢中になった五平餅。

絶対に売れる、絶やすわけにはいかない!

実際、本作をキッカケにして、五平餅が盛り上がっているそうです。

五平餅人気、「半分、青い。」経済効果32億円 : 読売新聞

 

すでに物件の見通しもつけていた!?

鈴愛に五平餅の2号店を提案されて、
「ほやけど、もう八十ムニャムニャ歳で、四捨五入すると九十に近いし」
とトボける仙台。

家族なのに、なぜ年齢のサバを読むのか?というツッコまれています。仙吉さんはいつまでも心が若いなぁ。

ここで鈴愛、祖父の特訓を受けて店を開く、と技術の継承宣言をします。
しかも、
「もう九十や。いつ死んでもおかしくない」
と言い放つ。

って、おいおい、おいおいw

普通、朝ドラなら、
「おじいちゃん、いつまでも長生きしてね」
だろぉ!

今日も、ヒロインの定番話法&ふるまいを全力でぶち壊す鈴愛。
その可能性を私はこれからも信じています。

実は、2号店の計画も、完全に「その場の思いつき」というワケでもなく、実際に物件も漁っておりました。

夕霧高校近くの売店が閉まるという情報を入手。
高校生が帰り道に立ち寄るカフェ形式の店にしようというのです。

これはアリかもしれませんね。
地方の場合、オシャレなカフェやファーストフードより、ローカルフードがたくさん安く食べられる学校そばの店が、たまる定番スポットになります。

宇太郎もその可能性に気づき、前のめりになります。

 

こういうとき律の言葉は少ないんだ

この楡野一家。
性格的に似ているのは娘が父で、息子が母ですね。このパターンも朝ドラでは珍しいかも。

しかしここで宇太郎も「アカン」と言い出します。

へそくりは、還暦を迎えた夫妻の世界一周船旅の資金として考えておりました。
客船アシタカでオーストラリアやニュージーランドまで旅して、隠居を考えてもよい――その構想に仙吉と草太も賛成です。
鈴愛だけが「そうやったんや」と驚いています。

この鈴愛が、そんなことで野心を止められるのかな?

一方、店内では、花野ちゃんの面倒を見るため、律が『あしたのジョー』を音読していました。
花野は、戻った宇太郎より律がいいそうです。まぁ、カッコイイですし、律も近い歳の翼くんがいるから子供の対応には慣れていますしね。

律は、店内にマンガ『一瞬に咲け』単行本がないことに気づき、その後、鈴愛に理由を尋ねました。

それは鈴愛が止めていたのでした。
漫画家の過去を知られたくない。花野にすら、内緒なのだと。

あの苦労した日々を消してしまうなんてもったいない。
そう思う一方で、あの辛い日々や挫折の経験と毎日向き合うのも辛い、その気持ちもわかります。

こういうとき、律は言葉少ないんですって。

「なんでだよ、あんなに一生懸命漫画描いてたじゃん」
ぐらい、台詞としてあってもよさそうなのに、言わない。
そういうところが、好ましいし寂しいという鈴愛。

鈴愛だけでなく、律も朝ドラヒーローらしからぬところがあるかもしれません。
彼らって、ヒロインの道筋をいつも示すもの。
しかし現実では、男性が女性の正しい進路を指すとは限らないじゃないですか。

そういうところが、本作の面白さ、誠実さです。

 

「チンチン、チンチン、うるさい!」

後日、晴は客船パンフを見ています。

仙吉も草太も、二ヶ月どころか世界一周したら、と後押し。
草太は貯金、仙吉も年金提供まで申し出ます。

実は、晴もこっそり世界一周パンフも取り寄せていました。やっぱり本当は行きたかったんだね。

しかし、宇太郎は鈴愛の二号店案にワクワク。
「五平餅を電車内で売るのはどうか?」と言い出します。

石ノ森章太郎の『ドンキッコ』ファンの宇太郎は、チンチン電車に憧れがあったのです。精神年齢が幼いな!
あの漫画みたいに店構えをチンチン電車風にしたいとワクワクし出す宇太郎。

鈴愛も、内装のアイデアが出なかった、それなら高校生にウケる!とこれまたノリノリに。
しかし……。

「チンチン、チンチン、うるさい!」
晴がキレました。

精神年齢の幼い宇太郎は「チンチンって恥ずかしい」と下ネタにつっぱしります。

NHK朝ドラ班、渾身の下ネタ受けではないでしょうか。

チンチン連呼、SNSでは話題になりそうだなぁ。文字を打ち込む私の指先も笑っています。

でも、放送局自らぶっ込んでくる、この潔さ、やはり本作は革命的です。

しかも宇太郎は、「つくし食堂」に改名時もチンチン電車内装にこだわっていたとか。
漫画好きは子供や、と晴さんもついに精神年齢の低さにキレそうです。

晴、パンフを丸めてゴミ箱に。草太に謝り、こう宣言します。

「わかりました。どうぞご自由に。チンチン電車でも、ジャンボジェットでもやってください。つきあいきれない、長い間どうもお世話になりました」

えっ、ちょっと!
熟年離婚か?と思わせるほど重たい台詞です。

こんなやりとりで、鈴愛の天下取り、ファーストステップスタート!

 

今日のマトメ「野心家の姉と家庭的な弟」

鈴愛の天下取り宣言で、楡野家の面白さが浮き上がりました。

朝ドラの家族像って、伝統的で、あるべき理想像の男女観に則っています。
しかし、本作はそんなガチガチのレールを平気で外れてきます。

※もちろん『カーネーション』や『あまちゃん』のように、そこからはみ出すドラマも本作同様に野心的で挑戦的です

野心家で人に使われたくない鈴愛はむしろ、野心家で夢見がちな息子っぽく、性格も父親の宇太郎に似ています。
しかも、両親の隠居資金を自己実現のために乗っ取ろうとするあたり、あぁ、織田信長の前に岐阜を治めていた斎藤道三と斎藤義龍の親子じゃないですか!

※【参考記事】斎藤道三 長良川の戦い(息子の義龍が父の道三を殺して家を継ぐ)

一方で、溶き卵が得意だった草太は娘っぽい。母親に似ていて、旅行案に賛成しています。
両親の隠居旅行のために尽くすなんて、まさに孝行娘でしょう。

花野ちゃんを面倒見ている律もそうですが、本作の男性は周囲を気遣い、面倒を見られる人が「まとも」扱いされています。誰の面倒も見られない涼次のような奴は、男でも「クズ」と設定されているのです。

両親についても特徴的です。

母親は、慈母タイプでふんわりと娘の夢を見守るのがセオリー。
しかし晴さんは、眉間に皺を寄せそうな顔で、娘の人生は「思いつきばかりだ!」と容赦ないダメ出しをします。
※『マッサン』の早苗のように、嫁いびり姑属性持ちですと、嫁には厳しくなりますが

父親は、一家の大黒柱として現実を見つめている姿こそ、理想のはず。
しかし本作の宇太郎は、漫画に憧れ、鈴愛の計画に前のめり、しかもチンチン連呼で喜ぶという、精神年齢が小学校低学年レベルです。

本作の男性陣、こういう人多いような……結婚して子供ができれば大黒柱にレベルアップするわけではないというのは、涼次で痛感しました。

仙吉も、ふんわりと柔らかくて、草太は彼にも性格が似たのだと思わせます。
ロマンチストですけれども、大黒柱というマッチョなイメージはあまりありません。

律もおもしろい。
漫画家を辞めた鈴愛が過去を隠すことに、何も言わないあたりが彼らしさです。男だから、相手役だから。ヒロインを正しい道に導き、人生を変えるようなことを言うわけでもないのです。

男は子持ちになれば、大黒柱になるわけじゃない。
女は子持ちになれば、慈母になるわけじゃない。

むしろ生まれたときからの本質が人生にはある。それは、結婚しても子供ができても変わらない。

そういうことが、本作を見ていると痛感できます。だからこそ楽しいのでしょう。

天下取りのために両親隠居旅行計画を乗っ取り、祖父はいつ死んでもおかしくない宣言をする37歳の鈴愛。
来週も、この調子でモリモリと、天下取りに邁進して欲しいものです!!

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました。
ご覧いただければ幸いです。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
NHK公式サイト

 

3 Comments

まぼ

初めまして、いつも楽しませていただいてます。

鈴愛の「爺ちゃんもいつ死ぬかわからん」て、秋風先生も似たようなこと仰っていましたね。
「祖父ちゃんは爺ちゃんなんだから、技術の継承しておけ」みたいな感じで。
そのへんもあっての五平餅カフェかな?って思いました。

このドラマは一話毎に答えを求める人には向かないドラマですね。
草太のメレンゲスキヤキなんて5月に放送した話です。
そう言う時間差攻撃が楽しめて面白いんですけどねぇ。

ビーチボーイ

全く同感です。世の中の父ちゃん母ちゃんに、そんな絵に描いたような「大黒柱と慈母観音の夫婦」は元々あまりいませんし。大人が幼児化してる昨今はなおさらです。そこをシカトして古典的な「家族の正しい理想像」を視聴者にお仕着せする《朝食のお伴フォーマット》(こりゃ名言だ‼)系の朝ドラは、鼻白みます。
そこへ行くと本作は、反逆宣言して決起した主役も決してヒロイックでも立派でもないのが実に魅力的。なにしろ自分自身のリソースは何も持たず、弟のカツ丼がヒットして稼いだ母のヘソクリを資金に、高齢の爺ちゃんの五平餅作製技術を主力商品に当て込んでるんだから図々しい限り。しかも、それならば(いくら相手が肉親だろうと)周到に事前の根回しが必要なのだが、全てすっ飛ばして唐突に「私はやる!」と叫ぶおなじみスズメ流ですからねえ。
こりゃもう、反半青サイドの人達の格好の餌食でしょう。彼らはきっと「何という下らない、意味不明なドラマだ」と一斉射撃に出るに違いないです。一方半青ファンの私はこのスリリング展開に、待ってましたこう来なくっちゃ楡野家は、と狂喜乱舞。残り2ヶ月を切り、古風な言い方すると「佳境に入って」来ましたね。

長射程巡航ミサイル

以前の『まれ』の「おっぱい」連呼は、不快感満載で顰蹙の極みでしたが、今回の「チンチン」連呼は笑えました。

変わるもんですね。

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