まんぷく 1話 感想あらすじ視聴率(10/1)悪夢のカワイコちゃん路線に逆戻りか~い!

ブス呼ばわりされてもノホホンて凄いなっ!

仕事の終わった福子は、友達2人と待ち合わせ、ラーメンの屋台で三人娘がズルズルするり始めました。

「最近はラーメンというものがあるんやて!」
むっ? むむむぅ?

設定からして、今まさに戦争をしている中国人が持ち込んだこととか気にならないのかなあ。
登場人物ではなくて、スタッフが、です。

ついでに言うと、当時は【支那そば】という言い方もありますね。まぁ、出しませんね。
この三人娘の服装も、なんちゃって戦前服っぷりで、ツインテールっぽい子もいます。

にしても、福子が調理中の鍋を覗き込む様子ったら。
同じことを現代ものでやったら、「非常識ヒロイン!」とタコ殴りにされそうです。まぁ、戦前モノのヒロインは、不思議ちゃん行動に甘くなるのが常なんですよね。

「ねえ、私って器量が悪い? 電話交換手になるんやって」
福子はそう言いながら笑っています。
いきなりブス呼ばわりされた話をしても、ノホホンと受け流して凄いなっ!

「へい、おまち」
そう言いながら丼を差し出す店主。彼の日本語に訛りがあれば……もしあれば希望をつなげたのに。

「いただきまーす。うーん、おいしいーーー」
「これはおうちでつくられへん!」

 

視聴者の感受性を信用していない?

登場人物が料理を食べながら、いちいち美味しい!美味しい!と、中身を飛ばすほど叫ぶドラマって、どういう作品か想像がつきます。

視聴者の感受性を信用していないんです。
どう美味しいか。
なにが素晴らしいのか。
説明する工夫がない。

これでラーメンがテーマになりうるんでしょうか?

『マッサン』では、初めてウイスキーを飲んだ主人公の感慨が詩的に表現されていました。
静かに味わう未知の味で、心惹かれていることが、伝わってきたものです。

この表現は『ごちそうさん』に近い。まあ、あれはグルメがテーマだけど中身はバトルものだから、うまいと叫ぶのは『ジョジョの奇妙な冒険』における「オラオラオラオラ」みたいなものです。
大丈夫なのか、本作は……。

メインテーマとなるラーメンの描写。
うまいうまいと奇声を発するだけですですが、家では作れないラーメンを自宅で作れるように提案するのがヒロインだという、嫌な予感しかない伏線はわかりました。

帰宅した福子は、姉の咲の結婚にわくわくし出すのでした。

 

ラーメンの歴史をどう考えている?

危惧がズバリと当たりました。
本作は、ラーメンの歴史を正しくやるつもりがない。そのことが伝わって来ました。

三人娘のラーメン描写がまずおかしい。

現代で喩えたら
【若い三人娘が、綺麗な格好をして、繁華街にあるあやしげな店構えの、スタミナ焼き肉店に入っていく】
みたいなものなんです。

戦前のラーメンは、ガテン系、兵士、そして外国ルーツの方が好むもの。
あんな綺麗なドレスを着た、ごく普通の女の子が気楽に食べるものではありませんでした。

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート~日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

ただ……そんな素っ頓狂な表現になるのも、腑に落ちます。

本作は、ラーメンをテーマに選びながら、台湾・中国要素をカットしています。

現時点で判明している限り、
・台湾ルーツである安藤百福が
・台湾での経験から思いつくラーメンを
・日本の大阪人である妻の手柄にする
のです。

これはいくらなんでもやりすぎでしょう。
重い言葉を使えば【歴史修正主義】であり、朝から気分が重たくなってきました。

まぁ、その辺は、以下の記事に譲りますね。

まんぷく事前予想~台湾ルーツ消失でマトリックスの【青いピル】はもう懲り懲り

ドラマとしては……視聴者の想像力をまるで信じていない親切仕様だとは思いました。

『半分、青い。』にグッと心を奪われた方。
これなら朝ドラも楽しめると思った方。
残念ながら、今回は、その期待を外されそうです。

 

「気になる幼いヒロイン像」

ものすごく気になる点もあります。
それは【ヒロインはじめ女性陣の精神年齢が幼い】ことです。

福子は18歳の設定です。
が、あの年代であの言動は、むしろ12歳くらいに見えました。

前述の通り、朝ドラは一部例外をのぞき服装考証が甘いです。

『マッサン』における初期エリーの服装と髪型は、当時のイギリスならば12歳くらいの少女のものです。
モデル本人ともまるで似ていませんでした。

※コレがエリー世代のイギリス人成人女性の服装

1940年代が出てきても『キャプテン・アメリカ』のペギー・カーターみたいな服装をした外国人女性であったためしがない。

 

『わろてんか』のヒロインは、晩年まで全身真っ赤でした。
当時の価値観で、赤い着物を着るのは子供のはずです。

また、リリコに『グレート・ギャツビー』みたいなモダンガールを期待したこともあります……が、その結果は竜王でした。

 

要するに、現代人が「可愛い」と思う範囲。しかも、かなり幼い範囲にされてしまう。

それは服装だけではありません。
本作は、笑顔とキンキン声にあふれています。福子はじめ、不自然なまでにオクターブをあげた声で喋りっぱなしです。

そして笑顔。
特にそこは笑うところじゃないんでは、というところでも笑顔のゴリ推し。

これで思い出したニュースは、こちらです。

『キャプテン・マーベル』に寄せられた不満にブリー・ラーソンが粋な返し

 

そして、もうひとつ、これです。

ドイツ人女性の声が低くなり、日本人女性の声が世界一高い理由
第2回 声の高さは社会的要因? – 異文化?いい文化!

私は海外の映画やドラマが好きでよく見るのですが、どうしても吹き替え版だと見続けられないことがあります。
元の声がハスキーなのに、吹き替え版だと女性の場合、高くされることが多いからです。

※『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン7。女優レナ・ヘディのハスキーボイスから始まります

この【女は高い声を出せよプレッシャー】で、傑作を見つけましてね。

君の地声で僕を呼んで|王谷晶 @tori7810 |どうせカラダが目当てでしょ

こちらの記事の中に、こんな描写があります。

そう、低い声だとダメなんである。「声が低いとお客様に失礼です!」とまで言われて、だいぶびっくりしてしまった。じゃあクリス・ペプラーとかジョージ・クルーニーはどうすんだよと思ったが、男性は低い声のほうが「落ち着いていて、頼り甲斐があり、信頼できる」という評価になるのだという。そんな、話してる内容は女も男も同じテンプレなのに。ていうか私のデフォルト声は「失礼」なのか……。

日本人女性は、生まれつき高い声ではない。
キンキン声を出さないと失礼でしょ、というプレッシャーがあるのだと。

昔の中国人は生まれつき足が小さかったわけではない。
ご存知のとおり、纏足のせいです。
そういう社会の要請で、人は変わってしまう……。

『まんぷく』もナレーションから台詞まで、キンキンした可愛い女の子ボイスでてんこもりです。
しかも、これは作っているでしょ、というのがよくわかります。

作り物らしさは、言動もそうです。

前述の通り、福子は幼い。
戦前の18歳で、あそこまで落ち着きがなく、キンキン声で変なことを言う子って不自然ではないでしょうか?

『半分、青い。』の鈴愛もトボけた言動をしていましたが、感受性が強くてそういう性格だろうと自然に思えました。

しかし、本作の福子を見ていて思い出すのは、ソシャゲ宣伝ムービーに出てくるヒロイン像みたいな子。
わずか数秒で、思い切り高い声と、はにゃーんとした不思議ちゃんぶりをアピールしてくるけど、現実感がイマイチない少女像ですね。
福子はじめ、本作の女性キャラは、作り物めいたかわいらしさでびっちりと覆われています。

【まんぷく福子の特徴】
・不自然なほど高い声
・いつでも笑っている
・とぼけているようで、可愛らしい言動
・お嫁さんになりたいアピール
・セクハラど真ん中の言動を受けても、意味がわからないでのほほんと受け流す
・精神年齢が不自然なまでに幼い
・自我がなさそう

前作の鈴愛と比較すると、そのへんがよくわかります。

【半分、青い。鈴愛の特徴】
・地声
・笑顔が少ない(というアンチの意見がありました……『キャプテン・マーベル』にそれ言って来なさいうよ)
・とぼけているようで、鋭い言動
・時代劇口調
・お嫁さんになりたいアピールどころか、プロポーズを断るわ、シングルマザーになるわ
・踏み込まれたくない領域に踏み込んだ相手には、即座に激怒する
・精神年齢は幼いようで、シッカリしている
・強烈な自我の持ち主

うん……その、なんだ。
やっぱり鈴愛って面白いw

にしてもこの福子のヒロイン像。
誰が好きなのか?

というと、市議「のど飴リンチ」をしてそうなオッサンじゃないかな……。

「のど飴」で議会を退席に。乳児同伴で話題になった熊本・緒方夕佳市議に真意を聞いた。 

「セクハラをしてもきょとんとして、顔をグニグ二するだけ女の子を、好きなだけからないたいんだよね〜福子ちゃんかわいいな〜」
ってニヤケるオッサンの顔が浮かんでくるんですよ。

これこそ本作の落ちそうな穴という気がしてなりません。

良い「炎上CM」と悪い「炎上CM」を分けるものとは何か?【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(6)

この映像で描かれている妻こそが「牛乳石鹸」の重要なバイヤーペルソナであり、「あの頃の親父」を懐かしむ夫のほうではない。
それなのに、「牛乳石鹸」は夫の気持ちのほうに寄り添い、重要なバイヤーペルソナである主婦の気持ちを踏みにじった。だから、「牛乳石鹸なんか二度と買わない」と怒っているのだ。
たとえ映像として出来が良くても、バイヤーペルソナを怒らせるようなCMは失敗作だ。そこを抑えないと同じような失敗を繰り返すことになる。

バイヤーならぬ、朝ドラ視聴者ペルソナを間違っておりません?
セクハラしても流されたいオッサンが、こぞって朝ドラを見ているんですかね。

もうひとつ。
主演の方の問題ではないけど、こういうニュースも2018年にもなってか……というのがコレ。

【まんぷく】安藤サクラ、育児と“朝ドラ”ヒロインの両立「自分の家族じゃなかったらできなかった」

これの何が悪いかって?
言われているのが女優だけではないですか。
男優なら子供がいても、別に問題ないでしょ。

日本じゃまだまだそういうものかもしれないのですが、これについてはケイト・ブランシェットがぶった切っています。

インタビューで「母親と女優の両立は大変?」と聞かれたケイト・ブランシェットの返答がかっこよすぎると話題に→「女性にだけ両立について聞きがち問題」

こういうニュースを、NHK朝ドラ班の寛大さであるかのように喧伝するあたり、本作からどす黒い時代遅れ感が漂っております……。

だ~か~ら~!
21世紀の価値観にアップデートしましょうよ!

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

U-NEXTでスグ見れる!
『半分、青い。』全話ほか多数の朝ドラ・大河作品を視聴できます。
スマホでもOKですよ。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

 

8 Comments

miffy

SNSては絶賛意見ばかりで、遠目に見ていましたが武者さんのレビューを読んでホッとしました。
視聴率に対して、ふくちゃんのキャラ作りがあざと過ぎて、逆に不自然さを感じていました。
オープニングも含めて、ちょっとないかな、と食傷気味だったもので。
笑顔とか、まぁ、18才の役だから若作りだといえばなんですが、それ以上に感じる、「ひと昔前の少女マンガヒロイン」的なあざとさが鼻についてしまって。
ここでしか書けないので、こっそりと書かせていただきました。
今後のレビューも楽しみにしています。

まゆみ

ラーメンについて、この前NHKで、札幌での名前の由来があったけど、どうなのでだろう。

ベビースターは借りを返す

『直虎』がきっかけでこちらのサイトを知り、『半分、青い。』のレビューも半年間、何度も頷きながら読ませていただきました。
武者様のお薦めで興味を持った『ゲーム・オブ・スローンズ』に現在進行形でどハマりしている手前、武者様イチ押しの作品は私にとってもどれもストライクで、楽しみの幅を広げてくださったことに勝手ながら感謝しております。

今作『まんぷく』についても、私個人の感想としてはちょっとつまんなそうかな……と期待値が低いのは武者様と同じです。
ただ一点、今回のレビューでどうしてもモヤっとした部分があり、その点だけ。

武者様は福子の性格や喋り方などの特徴を挙げて、「オッサン好み」「時代遅れ」と批判なさっています。
「戦前の18歳という設定にそぐわない、現実感のイマイチな少女」という指摘はその通りだと思います。けれどその点を除く福子への批判は、彼女の個性(精神年齢の幼さも、甲高い声も、セクハラへの鈍さも、良し悪しはともかく福子の個性)の否定のようで、「男子に媚びるぶりっ子うざい」というイジメに似た執拗さを感じます。

前作『半分、青い。』の素晴らしい点は、鈴愛のように優等生とはかけ離れたタイプの人間でも朝ドラ主人公たりえることを証明し、鈴愛だけでなく全ての登場人物を肯定する優しい物語であった点だと思います。
であるならば、今作の福子が、一視聴者である私の見たいヒロイン像とは異なる「可愛らしいお嬢さん」で、所謂オッサン好みに作られたキャラクターであったとしても、それを以ってダメだとは思いません。ピンクを着たい女は着てもいい。半分青を着たヒロインのほうが魅力的だとは思いますが、オッサンの期待通りにピンクを着るヒロインも責められる謂われはありません、それが彼女のキャラクターならば。

「鈴愛の性格が気に入らない」という悪口に心を痛めた前作ファンの1人であるがゆえに、「福子のような女は21世紀には要らない」と仰っているように感じる本レビューには、戸惑いを覚えました。

是非はともかく明るいお嬢さんである福子の役を『百円の恋』の安藤サクラさんが演じている姿はギャップがあり新鮮で、それを楽しみに見続けようと思います。
ああでも、安藤百福(≠立花萬平)氏やラーメンのルーツについては、前回記事で紹介されていた史実を採用したほうが絶対に面白そうなのにな〜〜と惜しい気持ちです!

さつき。

新ドラマ始まりましたねー。
2回目までみて。
このドラマ、半分青い にひっかけるなら
草太 の物語では? 個性が強く存在感のありすぎる姉に対して目立たない下の子、家の中で押されぎみ…ですが働いて家族を守ろうとしています。しかし草太は容姿に恵まれ頭も良い(草太は南○大学あたりの卒業では?)けれど福子はそういう設定でなさそう。
ぱっとイメージはちりとてちん のひろみですが、今作の母はお姉さんの方ばかり見ているようで。親友と紹介された二人の女性達も、貧乏エピソードを持ち出しヒロインを暗になぶっているようで(悪意はないでしょうが)ちょっとヒロインが可愛そうな始まり。当初ホテルが舞台ドラマと言えば悪夢のような過去作もあり、心波立ちますがどうなんでしょう?
まずは1週間、ストーリー、安藤さんの演技次第かな。
ウォッシュドラマであること、武者さん
だけでなく関係者筋の方々も複雑でしょうね。
ある意味変わらないことに甘んじることの許されるのが朝ドラ、ではあっても重要なツボはおさえてほしいですね。

でも、武者さんの「ここはいいな」というレビューも伺いたいです。

しおしお改め、塩ラーメン好き。

半分青い。にハマり、半年楽しませていただきました。
文藝春秋も購入しました。
さて、安藤サクラは凄い俳優だと思っているので、まあ、序盤の若作りは致し方なし。
今後に期待します。
それと、安藤さん、
乳飲み子抱えてるので、
普通の子持ちの両立より、
ずっと身心共にきついのではないでしょうか。
てるてる家族のファンだった実家の父が、楽しみにしています。
私自身、食品業界に近いところにいるのと、
安藤サクラさん好きなので、
淡々と視聴します。
台湾出身が隠されているのは、
残念です。帰化されたことを、
さらりとでも紹介してくれればいいのですが。
武者さんも頑張って下さいね。

あうこ。

わろてんかでも最初は温かいレビューだった気がしますが、半分、青い。のアンチと戦うモードなのか語気が荒いですね。
ラーメンって言う前に支那そばって言ってましたよ。今はラーメンって言うのよって。
それと福ちゃんが経済的に裕福ではないからお店ではなく屋台の支那そば(=ラーメン)にしたんだと思ってました。
半分、青いのアンチに負けるか!なにくそ!みたいなレビューではなく、フラットに観た感想が読めたらうれしいと思います。

杏奈

そんなに前作のアンチが気に食わないのか。
前作が嫌いでヒロインの鈴愛も好きじゃなかったが、好みやそれぞれの
理由があり、嫌味を言われる筋合いはない。
今回のレビューそのものは、なるほどと思わされたり
面白いだけに、そういう所が残念だ。

あかさたな

安藤サクラは好きな女優さんなので、
けっこう期待してたんです。
半青ロス、安藤サクラの安定感で
少しだけ癒されました。
でも、ほんとに少しだけ。
松坂慶子や内田ゆきなど、周りの
キャストの関西弁がビミョー。
悪夢のわろてんかを思い出しました。
とりあえず、関西弁だけはしっかり
話してほしい。あと、美術さん、
もうちょっと頑張って。
戦前感がなさすぎ。
今回は完走できない予感。ここの
レビューだけ観て終わるかもしれません。

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