ゴールデンカムイ アニメ感想あらすじ 第二期17話「腹の中」

薩摩隼人だ、キエエエエ!

ここはやっぱりおさらいしたい。それが薩摩隼人ですよ。

以下にマトメましたので、鯉登関係の記事を読んでくださいね。

ゴールデンカムイ関連の全記事マトメ~アイヌ、北海道、登場人物たちの歴史を攻略せよ!

彼の使う薬丸自顕流についてちょっと説明を。

こちらの動画の4分前後から、稽古場面です。

高速前進しながら戦うその強さ、東の天然理心流と並ぶ、西の自顕流と言えましょう。

ただし、ファイティングスタイルには結構な差がありまして。

天然理心流

八王子同心の剣術で、犯罪者逮捕が目的。集団戦法、キック、目潰しといった、他流派では禁じ手とされる手段も用いる。
それゆえ、強い。
土方の目潰しや容赦ない攻撃がこのパターン。

新選組でも神道無念流を学んでいた永倉新八は
「籠手!」
「面!」
と攻撃箇所をついつい叫んでしまう癖があった。このあたりが、実践剣術との違い。

薬丸自顕流

戦場での戦闘を念頭においており、江戸時代でもスポーツ化していかなかった流派。
ともかく打ち込み重視!

高速前進、猿叫による威嚇、強い一撃。一撃で倒すことこそが至上!
受け止めた側の太刀ごと脳天にめり込んだ例も

これをアニメでどう再現するか?
天然理心流はバッチリですね。自顕流も期待しております。

ちなみにあの「キエエエエ!」こと【猿叫】は、江戸時代から「アレはヤバイ」、「大丈夫なのか?」と不安になるほど恐ろしいものだったそうで。
小西克幸さん、頑張ってくださいね〜〜!! 薩摩ことばの修得も大変ですよね。喉を労ってください!

少尉って、実は結構キュートで可哀相な階級なんですよ

さて、この有能なのか子供っぽいのかよくわからない鯉登少尉。

この「少尉」っていう階級が、軍隊ものではもう、典型的なキャラ付けがあるお約束です。
日本よりも、海外ものの方がありがちかな? 鯉登は割と、そういうキャラ付けに忠実なほう。

少尉はどういうキャラがお約束か、と言いますと。

・士官学校を卒業したばかり、あるいは家庭事情で任官されたばかりの若者が、いきなりベテラン兵士を率いるという辛さがある
・そのため露骨に兵士から軽蔑され、小馬鹿にされ、うっとうしがられることも(ボンボンとバカにして陰口言って、尾形ァァァ!)
・学校で習ってきた知識、上流階級としてのマナーは身についているが、実践的な機転に乏しい
・基本的にボンボン、金持ち。よい服を着用し、よいものを持ち歩いている
・実は割と、精神的に未成熟なところがあるイノセントボーイ。無邪気な可愛げがある
・旗手として、健気に兵士を鼓舞する一面も(※時代背景による)。そして旗手は、割と散りやすい……
・ただのムカつくボンボンで終わるか、それともカワイイ系になるか、別れるところ

こういうタイプが、割と多いんですね。

明治時代の少尉ならば、現在の大卒くらいの年齢です。
時代や国によっては中高生くらいの少年が任官されることもあります。

「まだ若いボンボンを、こんな酷え目に遭わなくてもいいじゃねえか!」
そんなふうに同情を集めるような、悲惨な散り方や退場を見せるパターンもあるんですね。

実際に戦死率が高かったかどうかはさておき、フィクションだとこんなカワイイ少尉を殺すのかよ、兵士のぶんまで罪を背負って軍隊をやめる羽目になるのかよ、という展開になりがちだという……。

思い返しますと、
「あの少尉も、この少尉も、あんな気の毒な退場の仕方をしちゃって……」
とちょっと悲しくなってくるもの。少尉が出てくるだけで、今回のこの人は大丈夫かな、と心配になって来てしまう。
どうでしょうね、この鯉登少尉は。

鯉登の状況は、相当危険です。
鶴見の反乱に一枚噛んでいたと中央政府に発覚すれば、軍法会議で相当厳しい目にあうでしょう。

この危険極まりない少尉が、どうやって破滅するのか? あるいは切り抜けるのか? 気になるところです。

そこは大雪山だった

鯉登を落とした一行は、白石救出について語り出します。
土方と内通していたと問われた白石は怯えたものの、杉元は白石が渡す写しはデタラメだった、裏切っていないと言い切ります。

この良い場面の直後、気球が故障。
まあ試作品だもんね! しかも、大雪山の上空です。

アシリパが、ここはアイヌの言い伝えで、淫欲を司るパウチカムイのいる場所だと説明します。
取り憑かれると全裸になって踊り狂うと聞いた白石は笑い飛ばしますが、こういう話というのは危険性を警戒するものです。白石がこのあとそのことを、身を以て証明することになるわけですが。

一行はなかなか大変なことに。
第七師団を煙に巻き、杉元を治療し、移動しなければいけないわけです。
アシリパは、杉元の口から鈴川の死を聞いてショックを受けます。彼女は殺人を嫌っているのでした。

目の前にあるのは、大雪山です。
夏でも雪が残り、風雨に晒される一行。これは厳しい!

ここでアシリパは、オスの大きなユク(鹿)を撃てと叫びます。
狙撃が苦手な杉元にかわって、尾形が一発で二頭を仕留めるのでした。

白石、歌いながら全裸になります。
パウチカムイの呪い?
いえいえ、低体温症による精神錯乱ですね。

明治時代の、雪中行軍遭難死事件である「八甲田雪中行軍遭難事件」は、ちょうどこのころの数年前のはず。
あの事件を描いた映画『八甲田山』でも、雪の中で全裸になって錯乱してしまう兵士がおりまして、恐ろしかったものです。

『ゴールデンカムイ』は作品そのものも秀逸ですが、こういう明治や幕末を舞台にした他作品、歴史への素晴らしい入り口でもあるんですよ。是非、ご覧になってくださいね。

干し柿の記憶

アシリパは白石を探しに行くのですが、白石は鹿で暖かっておりました。杉元がアシリパを追いかけ、ここで合流します。辛い状況ながら、互いを気遣うよいコンビですね。

杉元は鹿を撃とうとしますが、彼は躊躇します。
そうなんですよ、杉元には戦場でのトラウマがあり、精神が痛めつけられています。
こういう兵士のトラウマについての研究が進むのは、20世紀以降のこと。心理学すら、当時はまだ入り口でした。

二人は、鹿の中で休むことに。
アシリパは、鈴川の死を気遣います。

そんな彼女に対して、戦場帰りの杉元は人を殺すことに慣れてしまった経験を語るわけです。純粋な彼女には理解できない、兵士の苦しみを踏まえたゆえの言葉です。

ここで、アシリパは鹿の肝臓を食べています。好きな食べ物を聞かれた杉元は、干し柿が好きだと語ります。
戦争出征前に食べた記憶が最後だと語る杉元。干し柿を食べたら、出征前に戻れるのかな。そうつぶやくアシリパです。

さらに彼女はこう言います。
「全てが終わったら、杉元の故郷へ連れてゆけ。私も干し柿を食べてみたい。いいな、杉元」
そうなんですよね。

ここでポイントであるのが、柿が北海道にはないということ。

本州と北海道の、気候や歴史的経緯による作物の差は大きいもの。
江戸時代、松前藩の石高はゼロとされておりましたが、江戸初期の技術では稲作が出来なかったためです。

杉元が好きな柿、二階堂兄弟が好むミカンは、北海道では育ちません。
かわりに、西洋リンゴ等、西洋渡来の作物栽培が促進されました。

余市のリンゴ「緋の衣」と会津藩士たち 北海道移住の敗者は赤い実に未来を賭けた

酪農は明治維新以降、西洋食導入のため入ってきて、東京近郊でも始められたものの、あまり定着はしませんでした。
そこで広々とした北海道で発展してゆくことになるわけです。

ジンギスカン。
ジャガイモ。
乳製品。
北海道名産のこうした食文化は、明治以降の歴史や政策と深く関わっています。

そのプラス面だけではなく、マイナス面にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

こうした農業政策の一方で、北海道にいたレタラの仲間であるエゾオオカミは、絶滅に追い込まれます。
アイヌの伝統的狩猟は法律で規制され、伝統が失われることにつながっています。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

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