ゴールデンカムイ アニメ感想あらすじ 第二期18話「阿仁根っ子」

漫画→アニメ版となると、
「あの描写がなくなった!」
という部分は避けられず、原作ファンは気になるところですよね。

今回18話では、第一部でカットされたかと思われた、あのセクシーマタギの過去がついに描かれます。
この過去も、明治時代の秋田が置かれた状況が反映されており、歴史的に見てもこってり濃厚な回でございます。

フチが死に装束を用意している

大雪山にいた杉元一行。
第七師団の裏を掻くため、十勝方面に下山することにしておりました。

一方、谷垣、インカラマッ、チカパシは郵便局でフチからの電報を確認しております。

フチは、ライクルシユク(死に装束)を用意しているのだと。
そう知った谷垣は、フチのことを気遣い、焦り出します。

谷垣にもチカパシにも、フチは食事を作ってくれました。アイヌ特有のものとなりつつあった概念です。

明治政府は成立時から慢性的な財政難に苦しんでおり、福祉よりも国の発展に軍備に力を入れておりました。
そのため、貧窮者を救う政策を熱心に行わなかったのです。当時の有権者は富裕層のみであり、貧窮者を救ったところで何にもならないという考えもありました。

困窮し、北の大地を生きる術がなく、生きてゆく場所や手段のない和人が、アイヌに救いを求める——そんな史実もあったのです。

谷垣もその一人。恩義に報いるため、役目を果たすため、フチの孫・アシリパを奪還すると誓うのでした。
「ヒモ」呼ばわりされてはおりますが。

クルミ入りのカネモチ

ここで、谷垣の過去回想シーンへ。

谷垣は、マタギの携行食「カネモチ」の話をします。
マタギには独特な信仰があり、カネモチにもそうしたこと考え方がされております。

クルミをこっそり入れていたというのも、ルールを破れば信仰の禁忌にあたるという畏れがあったのでしょうね。ちなみに、東北の山林にあるクルミも食べられるっちゃ、そうなんですけど。

経験者によれば、まず実ごと埋めて腐らせ、さらにクルミの殻を割らねばならず、しかもそうしたところでほんの少ししか実が取れないのだとか。

「(カネモチに)ちょっとだけ手間をかけていました」
と谷垣は言うわけですが、クルミを入れるのは結構面倒じゃないかな。

「山の栗は実が小さくてもうめえっちゃうめえし、喰うのも楽だけどよ。クルミはちっとなあ」
だそうです。

1000年に一人のマタギ

さて、この谷垣。
過去に行く前に【1000年に一人のマタギ】(単行本15巻)と呼ばれる理由を探りましょう!

谷垣自身も、山に入る時は体を洗うと振り返っております。
山にいるのは美女の神様という信仰があるからです。

この山の神様は、若いマタギの肉体美や、はしゃぐ姿を好むとされておりまして。そのため、若いマタギは余興で裸になったりしたそうで。
作中で最もセクシーな谷垣が、山の女神から気に入られていることは当然でしょう。
よかったじゃないか、セクシーで!

谷垣は無駄に露出しているんじゃない、マタギの信仰心ゆえなんですよ、多分。

※マタギの猟犬といえば、秋田犬ですね

マタギのセクシー路線はさておき、彼が仲間にいるということは重要です。
マタギは強く、寒冷地で生き抜く術を知り尽くしているのです(以下に関連記事ございます)。

マタギが凄ぇ理由がわかった!ゴールデンカムイでも存在感を放つ山を知り抜く猟師たち

マタギは強いぞ!

谷垣がセクシーであることはさておき、マタギは強いものでした。
作中でも描かれたように、狩猟は分担して集団行動をしながら進んでゆきます。そのため、マタギは兵士に必要なスキルを持っているのです。

・射撃術
・集団行動
・山中でのサバイバル能力

幕末の秋田藩ではマタギのこうした適性に目をつけ狙撃部隊を組織。
装備では劣っていたものの、マタギは一発撃ち、伏せて装填するという戦法で、よく戦い抜いたのだそうです。
谷垣の祖父あたりも、戦ったことでしょう。

こうしたマタギの知恵が役立った局面が、作中と時代背景的に近い頃、ありまして。
1902年(明治35年)、「八甲田雪中行軍遭難事件」です。

この遭難事件で、陥った罠。それが
「岩手や宮城出身であれば、寒冷地に慣れているはずだ」
という認識です。

東北以外の人が勘違いしがちな点として、
「みんな雪や寒さに強いんでしょ」
というものがあります。

しかし、日本海側と太平洋側では、積雪量が全く違います。
太平洋側の宮城・岩手出身者はそこまで豪雪に慣れておりません。
この事件でも、太平洋側出身地の兵士は、雪にそこまで強くなかったのです……。

ちなみにこの事件において、遺体収容にはアイヌの方々が参加しております。

戦場に立ったアイヌたち、その知られざる活躍 日露戦争~太平洋戦争にて

また、マタギが活躍した大正期の北海道の事件として、三毛別羆事件があります。

三毛別羆事件には震えるしかない ヒグマが開拓民を襲って死者7名・重傷3名

この事件を終息に導いたのが、伝説のマタギこと山本兵吉。
サバサキ包丁一本でヒグマを倒したことから、ついたあだ名が「サバサキの兄」です。彼は阿仁根っ子ではありませんが、そういうすごいマタギがいるのです。

現在でも、マタギはクマの退治を行っており、「道の駅あに」ではツキノワグマの肉が販売されているとか。
旅館や食堂でも、ツキノワグマの肉を提供するところはあるそうです。
クマの油は、ハンドクリームがわりに利用できるそうで、これも販売されております。

ちなみにツキノワグマの肉は、食べた方曰く、
「結構うめえよ」
だそうです。気になりますねえ。

※見逃した方はPC・スマホでゴールデンカムイ見放題のFODがあります


2 Comments

ふふふふ

キラウシさんの方は、どうやら登場するみたいですよ。(公式の予告映像を見てきました)どんな絡み方になるのかな。

むんむん

(*´;ェ;`*)姉畑先生、キラウシさん無し!!
まぁ、仕方ないですね。辺見ちゃんや家永さんと違って、やらかしたことがやらかしたことですし。
しかし、こう纏めたか。巧く繋げたなぁと感じ入りました。

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