ゴールデンカムイアニメ 感想あらすじ 第二期16話「旭川第七師団潜入大作戦」

カムイコタンの吊り橋

カムイコタンに先回りしているキロランケは、土方に妖刀の話をします。

これも、本作のスゴイところ。
アイヌの民話を調べ、かつプロットにあわせてくるわけですから。妖刀の伝説って土方にぴったりでしょ。
このカムイコタンの絶景を再現する作画も、かなり大変だと思います。

そしてついに、土方は吊り橋の上で白石奪還へ。

本作の土方は、ともかく幕末剣士舐めるなという態度で、その戦法を使いますけれども。
これぞ、まさに幕末新選組だ!

相手が銃や刀で武装していようが、狭い路地ならば大勢で一斉には来られません。
池田屋で新選組が、数でははるかに勝る敵勢を圧倒できたのも、こうした天然理心流の技があればこそ!

新選組の天然理心流はナゼ殺人剣法に? 幕末関東が『リアル北斗の拳』だったからです

このあと薬丸自顕流も出てくるわけですが、こうした剣術の戦い方を流派ごとに考え、動かすって相当スゴイことだと思います。

土方は、吊り橋を切断して白石はじめ一行を落とします。
キロランケが舟で救おうとするのですが、白石は杉元に裏切りが発覚したらまずいんではないかと戸惑い、救出失敗となってしまうのでした。

白石を助けるべきか?

土方らは、杉元はじめ仲間たちに白石をどうするか相談を持ちかけます。
皆それぞれ話し合い、まあ助けなくてもいっか、となりかけるのですが。ここで杉元が見捨てるわけにはいかないと言い出すわけです。

皮肉っちゃ、皮肉なんですよね。杉元が原因で白石は助けられることを拒んだのに、その杉元が助けようというわけですから。
土方には何か策があるようです。

戦争中毒時代

第七師団では、二階堂がモルヒネ中毒になっております。
月島が手を焼いております。

一見地味なようで、大人気の月島軍曹。

私も、
「一番好きなのはやっぱり月島軍曹ですよね」
という熱い声が届いております。

軍曹っていうのは、軍隊ものならば重要なんですよね。
ハートマン軍曹みたいな鬼タイプもいますが、月島のような誠実なタイプもおります。

軍曹というのは、兵隊の中から叩き上げられてなるものでして。
ともかく軍曹を頼りにしないといけないというのは、士官も兵隊も同じことです。

そんなわけで、月島軍曹のことはともかく敬意を払わねばならない……そう感じます。
演じる竹本英史さん、いい軍曹ボイスです。理想的です。

さて、そんな月島が苦労していたのが、二階堂のモルヒネ中毒でして。二階堂も、双子が片割れになってからどんどんキャラが変わって面白いですね。

ちなみに、阿片やモルヒネの使われ方というのは、この時代なかなか荒っぽいものです。
これより少し前のヨーロッパでは、乳母が泣き止まない子供に飲ませることもあったとか。
鶴見が二階堂を止める動きが、マイケル・ジャクソンと同じ仕草なんでしたっけ。

月島と鶴見は、病院の外でとある男性に出会います。
有坂成章がモデルの、天才的兵器開発者・有坂成蔵です。

この有坂閣下、兵器開発でマッドに!
有坂、気球部隊について語ります。燃料が水素だし遅いからダメ、これからは飛行機だとのこと。確かに飛行船の軍事利用は、あまりうまくいかなかったようですね。

有坂と鶴見は、こう話しています。
「阿片は儲かるよぉ! 英国が手を引着始めているからねッ!」

これもなかなかゲスでしてね。
この作品と時代的に近いシャーロック・ホームズや『ジョジョの奇妙な冒険』第一部では、阿片窟が出てくるでしょ。

アヘン戦争もありましたし、当時からこいつは不味いとなりつつあったわけです。
それを売って儲けようというのだから、そりゃ月島も引くわ。

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三十八式機関銃と三十八式歩兵銃もお披露目。
これはかなりよいものでして、海外にも輸出されました。日本の武器が世界的に見ても優秀、そんな時代もあったんですね。

有坂は売れれば売れるほど死ぬという、死の商人的なことを言い出します。どこまで本気かわかりません。

鶴見は、有坂開発兵器で死ぬ兵士を吹っ飛ばし、降り注いだ血の雨が美しかったと言い出すわけです。

ナイチンゲールが活躍したあとであり、日本からも赤十字の従軍看護婦が戦地に向かった時代ではあります。
とはいえ、当時の医学技術ですと兵隊の治療も、ともかく悲惨なものです。

映画『二百三高地』で、そのあたりをご覧くださいね。
そんなもんを美しいと言える鶴見がヤバイ……と思えますので。

 

笑い合う鶴見と有坂を見ながら、月島はこの計画について悟ります。
戦争が起これば、治療薬の阿片や高品質の武器が売れる。アイヌの金塊を、そのために使うのだと。戦争が起き続けなければいられないわけです。

「まさに戦争中毒」
そう思う月島です。

ここでの月島の心理は、なかなか重要です。
つまり彼は、鶴見の掲げる第七師団の復讐を、そんなに綺麗なものではないと、冷静に悟っているわけです。
利益を得るためにやっているんじゃないか、と。

月島が鶴見に従う理由は、その思想に共感しているからではない。
一見、鶴見に心酔していて右腕であるかのような月島ですが、そう単純な男ではないのです。

だからこそ人気があるのかな?

この月島の思いは、まさに明治の日本とも重なっております。

明治政府成立以降、日本は海外へ雄飛するときを狙っておりました。
その機会は、月島も従軍した日清戦争で叶います。

あの大国に勝利をおさめ、莫大な賠償金と土地を得、空前の好景気が訪れたわけです。
戦争は金になる、国を豊かにするものだと。日本は、そう思いました。

その思いが崩れたのが、日露戦争でもあります。

かろうじて勝利をおさめたものの、賠償金も領土も期待したほど得られなかったのです。
このことに不満を募らせた報道機関と民衆の動きを縛るため、日本は暗い道へと進んでゆくのです。

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このあと、有坂は二階堂に仕込み銃入りの義足を与えるのでした。
ここで、有坂の前に出てくる謎の病人は、人気投票でも割と好位置につけておりましたね。

それにしてもこの病院の場面、なんで鶴見はこんなにラベンダーが似合うんでしょう。

結婚詐欺師の変装術

土方は、結婚詐欺師の鈴川聖弘を連れて来ました。
彼のモデルは、「クヒオ大佐」こと鈴木和弘とされていますね。囚人は実在の人物をモデルにしていることが多いようです。

こんな詐欺師をどうするのかと尾形もツッコミます。
いえいえ、詐欺師にも使いどころがあるもんですよ。変装技術を使うわけです。

犬童ならどうかと鈴川が提案。そして変装するわけです。
こういう変装技術、この時代っぽくてイイ!

連想したのが、『シャーロック・ホームズ』です。
アレも、ホームズがちょっとした技術で、うまいこと変装するんですよね。そんなにうまくいくのか、気がつくのかと思うものですが、作中ではバレません。

こうして潜入作戦が始動するわけですが、そんな中、杉元は土方が以前接近してきたこと、白石が土方と通じていたことに気がつきます。

ここで眠るアシリパさんもイイ。どんなに強くて賢くても、まだ少女なのですね。

杉元は白石を助けるかどうか迷いますが、起きたアシリパに、
「殺さなくてもいい人間は殺すな」
と言われるのでした。

軍都・旭川

こうして郡・都旭川に向かう杉元一行。
この街も、アイヌの土地を奪って出来たものです。

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アイヌコタンで作戦を練る杉元一行。
ここで攫った連隊は、第27連隊、つまりは鶴見の連隊であると尾形の言葉で判明します。

この第27連隊を率いる淀川輝前は、鶴見に頭が上がらないとのこと。
その淀川相手に、偽犬童とマスク姿の杉元が面会に向かいます。

あの重要人物の出番は、次回というわけですね!!

ちなみに私、今回の連載に合わせてFODプレミアムを導入しました。
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文:武者震之助

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