山本耕史さんが土方って本気だな!
まずは衝撃のニュースから。
◆山本耕史が朝ドラ「あさが来た」で土方歳三を演じる! | ニュースウォーカー
トシ様こと土方歳三さんに山本耕史さんとは、これは本気出してきましたね。
意外性のあるキャストの中身がお笑い芸人、アイドル、落語家が一瞬出るだけの『花燃ゆ』とは違い過ぎます。
大河で出番がなくても、本作に出てくる俳優さんは勝ち組かも(初回放送時の記事を元に再掲載しており、当時の雰囲気を再現するためにニュースを残しております)。
そして第4話にも、その勝ち組が出て参りました。
前回は五代友厚の乱入もあり、はつの許嫁まで到達できませんでした。
視聴者の興味を引っ張って、いよいよ山王寺屋眉山家へ。
あさとちがってはつはきっちりと挨拶をこなし、相手を喜ばせます。ここであさは父から褒められる姉を見て「ええなあ、自慢の娘なんて言われて」とつぶやきます。
破天荒で無茶苦茶、あり余るエネルギーを自分自身でコントロールできないあさ。
己の至らなさも意識しており、なんとかよい子になりたいとは思っています。
これが重要なポイントで、前作の『まれ』のように、非常識な行動をしてもそれを反省せず、省みないヒロインは視聴者に不快感を与えてしまいます。
現在のところあさは自省するため、非常識で不愉快なヒロイン像の手前で止まっています。
前途に不安を感じるはつの横で……
なごやかな対面に見えますが、どことなく不穏な雰囲気があります。
まず惣兵衛。
能面のようとも蛇のようともたとえられる、無表情さがなんとも不気味です。
それよりも嫌な予感がするのが、惣兵衛の母・菊。
温厚そうな夫・栄達の言葉を遮り、はつを品定めするようなことを言います。眉山家の主人である栄達は番頭あがりの婿養子のため、なかなかお嬢様育ちでプライドの高い妻に頭があがらないようです。
はつは前途に不安を感じた様子ですが、あさの方は畳を這う蟻を気にしております。
そんな中、菊がまたも嫌な予感がする台詞を言います。
不景気なんて関係ない、淀川の水が涸れてもうちの金はなくならない、と。
世間の変化への反応が、不安を感じる忠興(敏感で悲観的)、新しい波だと感じる正吉(敏感で楽観的)、そしてそんなものは自分に関係ないとたかをくくる菊(鈍感で楽観的)、三者三様別れているのが今後のポイントとなりそうです。
なんで女子はお中元やお歳暮みたいに?
菊が自分の家の自慢をしておほほ笑いをしていると、あさが蟻を見ていて滑ってなんと惣兵衛の膝へとスライディング!
周囲が騒然とする中、惣兵衛は無言でぷいと横を向いてそしらぬふりをします。
騒ぎが落ち着くと、皆ではつの琴を聞きます。
これを聞きながらはつを品定めするような会話が、穏やかながらどこか心をざわつかせます。
さらにはあさが2話目で嘆いた
「なんで女子はお中元やお歳暮みたいにもらわらねなあかんの。やっぱりへんやわ」
という台詞が思い出されます。
そこへ何者かが「たのもーっ!」とやって来ました。
五代さんじゃないですか!
昨日、「再登場は先か?」と書いたのに、また出てきたんですね。五代の出番はあらすじに書かれていないので、サプライズ状態です。
五代はいきなり名乗り「上海で買い付けた船の代金を頼みたい!」と元気に言います。
いや、ちょっとストレート過ぎるだろ。
惣兵衛はこの頼みをうまく言いくるめて追い払ってしまいます。
あっさり引き下がる五代ですが、店を出た途端、武士が商人になぜ頭を下げるのかと怒りがおさまらない様子。
一方の惣兵衛は「薩摩なんぞに誰が貸すか」と吐き捨てます。
これは惣兵衛にも言い分があります。
幕末の薩摩藩は、調所広郷が行った大阪の商人相手に借金を帳消しにすることで、財政を立て直しているのです。
今後の伏線になりそうな態度ですね。
皆が去った部屋で一人残されたはつは、目を見開いていかにも涙がこぼれる寸前という顔でじっとしています。
「一蔵どん、笑い事ではごわはん!」
場面が切り替わり、むしゃくしゃした五代。
友人らしき男と居酒屋でやけ酒を呑んでおります。
「一蔵どん、笑い事ではごわはん!」
えっ、今一蔵って言いました?
テロップには確かに「大久保一蔵」と。
ええっ!?
そうです大久保利通です。
この薩摩ビッグネーム同士の会話。
中身は、大阪の商人ムカつくとか、酒屋のウェイトレスは年齢関係なくお姉さんと呼びましょうとか、金がないとか、しょーもないもん。
だがそれがいいんです。
わかっていますか?
松陰と楫取という親友同士設定の会話なのに「日本人ガー」「新しき世ガー」「至誠ガー」とか、大上段から視聴者を説教するような陳腐で薄っぺらく不自然極まりない会話をさせていた『花燃ゆ』スタッフのみなさん。
初回でこういう会話をやらかしていて、もう今年は駄目だと私は見切りをつけました。
キャラクターが視聴者に対して確立していない段階で、居酒屋のトイレに貼ってある啓発カレンダーの標語みたいな台詞を連発されるなんて、はっきり言ってくだらなさの極致ですよ。
明治新政府が成立して大変なときに、
「人の話をちゃんと聞きましょう」
「贅沢しないでおにぎりを食べよう」
という会話を、西郷隆盛と大久保利通にさせていた『西郷どん』スタッフのみなさん。
いつまでたってもこの作品の薩摩藩士は無能だったですよー!
それが、この五代と大久保の会話は、剛直な五代と柔軟な大久保、そして二人はなんだかんだで性格が合うと視聴者に示す、何気ないようで秀逸な会話。
しかもこのフランクでドジな青年二人が、のちの五代友厚と大久保利通とネタばらしされるこの楽しさ。
これが歴史ものの醍醐味です!
そして大事なのは、二人ともなんとも楽しそうなところ。しかもイケメン同士です。
いつもレビュー、ありがとうございます。本作は本放送時も見ていましたが、武者さんのレビューは未見です。おかげさまで、初見時とは違った視線で楽しめています。足の裏に響く地鳴りのように少しずつヒロイン周辺を揺さぶる時代描写。まさに武者震い…ぞくぞくします。
大河朝ドラ系では、脚本家の森下桂子さん、渡辺あやさん、そして本作の大森美香さん作品に夢中になりました。
ちなみにもう視聴済かもしれませんが、大森美香さんは離婚家族を題材にした現代劇の朝ドラ「風のハルカ」も素敵ですよ。デビュー直後で中村友也と名乗っていた中村倫也さんや、アサきたとは真逆キャラを演じる升毅さんも期待を裏切らない魅力です(…が、影の主役渡辺いっけいさん演じるヒロイン父親が素晴らしいです)。あまり話題にならなかったドラマでもったいないので、未視聴ならオススメです!