エリーは旦那を諌めていたぞ
結局、忠彦は、ただの無責任野郎なんです。
その点だけは、鈴が珍しく正論を述べている。
昭和の時代。
男には妻子を養う大黒柱であれというプレッシャーがありました。
女には、そんな夫を支える「内助の功」として生きてゆけというプレッシャーがあった。
本作で描こうとしている、
・職人肌で妥協できない夫
・それを支えて励ます妻
そんなドラマは、もう『マッサン』でやっているわけですよ。
あの作品でも、日本に合わせてウイスキーの作り方を変えてでも売ろうという鴨居と、スコットランド式にこだわって引かないマッサンとの間で、攻防がありましたよね。
マッサンのやり方でヒットを飛ばしたのは、2月になってからという遅咲きぶりでした。
そんなマッサンの隣でエリーは、ニコニコして、
「マッサンを信じています!」
とだけ言っていましたっけ?
「マッサンのアホ!」
そう叫ぶエリー、よかったですねえ。
諫めていたわけですよ。
あのドラマだって見ている間は不満がありましたけど、本作のおかげで傑作に思えて来ました。
マッサンも相当不器用でした。
しかし、本作の立花のように、常に偉そうで人をこき使うだけではありません。
戦後舞台の『ひよっこ』と、『半分、青い。』における漫画・発明関連描写の方が、よほどクリエイティビティと生活の折り合いについて誠実に描いておりましたよ。
昔はエエ昭和ファンタジー
本作はそういう苦労がほとんど描かれておりません。
そもそも、立花や忠彦のクリエイティビティだって疑問符が湧いて来ます。
もしかして、あれですか。
ダメなブラック経営者や、責任逃れをしたい人を励ましたい、そんな作品なのでしょうか?
本作は、昭和について知らない人が考えた
【昔はエエ昭和ファンタジー】
ってやつでは?
男には大黒柱のプレッシャーがない。
女には「内助の功」のプレッシャーがない。
男女ともに、戦争で味わったトラウマなんてない。
平成のように、男でも家事をしろとか、女でも外で働いてこそとか、そういうプレッシャーもない。
男も女も、ダーリンの隣でニコニコしていれば、なんとなくうまく行く。
男には、自分を批判せずに励ますだけ、家事育児をこなす女がいたはず。
女には、ニコニコして愛する男を支えていれば、優しくセクシーに振る舞ってくれ、お金だってトントン拍子で稼いでくれる。
バカバカしい、ファンタジーなんですわ。
そういうゆるふわワールドを漂っているだけで、インスタントラーメンを作りだし、挙句の果てにお金持ちになって、さらには周囲から善意あふれる人だとチヤホヤされたいって?
そんなメッセージを流したいだけの、連打クソゲーは明日も続くんですね。
ウンザリ。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
そう言えば、この脚本家作の龍馬伝も途中脱落したなあ・・・。
著名人+豪華キャストの割に薄っぺらい内容だったし。
>ブラック経営者や、責任逃れをしたい人を励ましたい、そんな作品なのでしょうか?
もう本当にそんなふうに見えてきました。
責任感のない経営者のザル運営のせいで中抜きされているのに、
塩が想定より安かったことは全て従業員の不手際のためとされ、
一日中肉体労働に明け暮れては、甲斐甲斐しく塩の品質をあげる彼ら……。
「三食つき」と言われてやってきたのに、食うに困って仕事後に全員で海に釣り糸を垂らす始末。
赤津の「週末は休めるんですよね?」の叫びに、ヘラヘラ笑っているだけの事務と経理。
現代にもこういう信じがたいような劣悪な労働環境を強いる組織がありますよね。
それはブラック企業と呼ばれて、昨今問題視されていますよね。
なぜ現代のセンシティブな問題にもつながるような描写を、
こうコメディタッチでヘラヘラと描けるのでしょうか。
神経がまったく理解できません。
しかもその労働を強いているのが、主人公側だということも意味不明です。
全て福子がニヤニヤ笑って「頑張ってるんです」「信じてます」「絶対出来ます」
とか言えばオッケーみたいな雰囲気で。
歴史考証だけでなく、現代社会に対する常識というか簡単なリサーチすらされていない。
これ、ちゃんと名のある脚本家が書いてるんですよね………???
信じられません。
脚本家としての名と、実際の才能や技術や誠実さって関係ないんですね。
昭和だって、貧しい家庭は共働きがフツーですからね。
専業主婦なんて、高度経済成長期の一時期だけ。それも市街地だけでしょう。
田舎や下町はフツーに夫婦で町工場を切り盛りしたり、畑を耕していました。
なのに、なんで皆しがみつくのか…。
高度経済成長期(あの頃)は楽だった…夢があった…ってことなんでしょうか?