まんぷく 59話 感想あらすじ視聴率(12/7)イキナリ結婚なんじゃらほい?

「中国を舞台にしたものばかり」になってしまったコトも

もう本作には、期待しておりません。
あの時代、日米間がギクシャクしてゆく中で、日系人が日本人にどうやって希望を託したのか。

それが来年の大河ドラマ『いだてん』で描かれることを祈っております。

戦前のロサンゼルス五輪で、田畑政治らが率いる日本人選手団を大歓迎し、拍手喝采を送ったのは、高まりゆく黄禍論を堪えていた日系人たちなのです。

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では少し落ち着いて、次のダメポイントへ参りましょう。

【ブケムスメプログラム】ですが、今回は最悪のバグですね。

「私は武士の娘です!」
って、サブタイトルに武士が入っている時点でもうイヤ~な予感しかしませんでした。

GHQが日本を支配して、フジヤマサムライゲイシャブシドーに感動したかって?
んなわきゃーない。

むしろ、
【武士道こそが日本を軍国主義に駆り立てたのではないか?】
そうみなして武士道を賞揚するエンタメや武道指南に目を光らせていたのです。

戦争を挟んだ時代小説家の作品が、一時期「中国を舞台にしたものばかり」になってしまったことすらある。
それは、日本の武士をテーマにして書くと、睨まれたからです。

そういう取り調べなのに、武士の娘アピールと源義経の経歴を喋り出す鈴がもう底なしの間抜けっぷり。
というよりも、この時代のことを何ら調べていない……あるいは調べていても底の浅いスタッフの怠慢です。

GHQがやったという、存在すらしない荒唐無稽なプログラムについてはデマが広がるばかりで、本当に正しい当時のことは薄れてゆくばかり。
あーあーあーあー!

ついに託児所と化したラーメン店

チャーリーは、いつまで同じような雑誌読んでない?
暇なの?

という疑問はさておきながら、その他のダメポイントをちゃちゃっとまとめておきましょう。

・ついに託児所と化したラーメン店
→ラーメン店主はご奉仕しろとでも言いたいドラマなのでしょうか? ラーメンすごい! 日本人を救う! ってこういう意味やないやろ

・福子、やっぱり証拠がない模様
→萬平との馴れ初めだの人柄だの語っても無駄無駄無駄ァ! シャーロックからのダメ出し来いや! 犯罪捜査は証拠あってナンボです

・尋問中でも頭をペタペタする福子
→何してくれてんの?緊張感台無しやんけ。まさかインスタントラーメン作りでもこの癖をやるつもりじゃないですよね? 不潔ですってば

それでもって、ダメポイントとしてこれは見逃せない、福子の英語力問題。設定がおかしい。

なんでこんな雑な描写が通るのか理解できません。
まとめてみましょう。

・とにかくオールオアナッシング!
→流暢にペラペラと話すのか、あるいは「No」すら言えない偏屈ドメスティックになるか。福子の英語力は100か0かしかないんですか? 50とか30とかで、つっかえながらも無実を主張するような、そんなことは出来ないんですか?

・流暢に話していてもおかしい
→一生懸命覚えてそのまんま読んでいることは、スゴイと思います。けれども、イントネーションがなく、ザーッと読むだけになっています。比べたらいけないけれども、ディーン・フジオカさんあたりと比べるともう

・会話になっていない
→福子の英語は、原稿を暗記して覚えているかのよう。会話であんな喋り方はおかしいとしか言いようがありません

こんな無茶苦茶な、台本をそのままやっているだけの剥き出し英語力をアピールされても、失笑するだけなんですけど。

根菜切断機を「フードミキサー」。
世界的な損失を「ロストワールド」。
視聴者のIQだけでなく、言語能力も下げたい?

当の日本人も武士に対して冷徹な目

前述しましたGHQによる、武士への冷たい見方ですが……。
これは何も、GHQが上から押し付けたわけではなく、当の日本人も武士に対して冷徹な目を向けるようになっていました。

そういうことを知っていると、本作の馬鹿げた【ブケムスメプログラム】に腹が立ってきました。

モデルとなった方を悪くいいたいわけじゃありません。自己叱咤のために武家の血を持ち出すのならばお好きなように。ただ、この時代、周囲にそんなことを言いふらして威張るのは、バカとしか言いようがありません。

戦中派で文才や芸術的才能に恵まれた人が、武士道をどう思っていたのか?

「戦前は武士道が損なわれたけれども、昔の武士道は良いものだったはずだ!」
そう考えたのは、司馬遼太郎です。

「武士道から解き放たれた、自由で生き生きとした日本人もいただろう!」
それは、隆慶一郎の世界観です。

「武士道。それは、上からの命令には従うほかなく、人間性をとことん奪い、殺し合いに人々を叩き込む、そんな暗い一面もあった。あの戦争で死んでいった俺の友のように、武士道に殺された人も大勢いた」
そんな暗い価値観に取り憑かれ、作中で爆発させた作家も大勢おります。
彼の戦中日記について、このレビューでも取り上げた山田風太郎。
それに南條範夫。
水木しげる。
深作欣二。

山田風太郎原作、せがわまさき作画の『バジリスク 甲賀忍法帖』をご存知ですか?
日々それなりに生きてきた忍者が、上からの命令でゲームのように殺し合い、どんどん減ってゆく――その姿、その残酷さに胸を抉られた方も多いことでしょう。

南條範夫原作、山口貴由作画の『シグルイ』。
名誉を守るために、大名の思いついた試合で殺しあう武士。その狂気は、話題になりました。

深作欣二が監督を務めた『柳生一族の陰謀』然り。

かつてのこうした作品は、武士によって人の命がゴミのように簡単に消し飛んでゆきます。

そこからは戦中派が味わった、苦く辛い記憶が蘇ってきます。
自分たちが見てきた地獄を、どうしても作品に再現せずにはいられない。
そんな苦しみがそこにはあります。

本作みたいにアホ三昧な作品を見ていると、そういう戦中派の投げかけていた暗い悲しみも『過去のものとなりつつあるのかなあ』とうんざりして来るのでした。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!

 

3 Comments

かなた

苦行すぎて言葉浮かばず…
最近の視聴ポイントは、ここに来る前にブログ主さんの指摘箇所にひとつでも気づけるか、です(笑)

たかまつ

モデルの方がどなたなのか日本全国の方が知っている中で、こんな侮辱的な人物像で朝ドラという大コンテンツで何やってんだろう…と震えますよね
ご子息やお孫さんが今なお経済界で活躍されていて、ドラマが始まる前の特集番組なんかで安藤夫妻への想いを大事なものとして語っていらしたのを思い出すと制作スタッフはなんて酷いことをするんだろうと悲しい気持ちになってしまいます。
レビュー大変でしょうけど、今この時代にあのドラマが許容されていたわけではないと後世に記録として残せるのは武者さんだけだと思っているので、同じ時代を生きながら同じ成果を出せない私達のためにもお気持ちの通りの言葉を紡いでいただけたらな、とエールを送りたい気持ちです。がんばってください!

匿名

もーほんとに面白くなくて、ツッコミ入れるのもダルいので見るのやめちゃいました。
だって月曜日からずっとおんなじ質問の繰り返しなんですもん。セットも当然同じだし。
メビウスの輪に閉じ込められたのかと思いました。
先日も、鈴の家出を引っ張ったり、本当にダラダラダラダラ、書くことないのがバレバレです。
「ほとんどフィクション」って言ってませんでしたっけ福田さん。
じゃあプロなんだからもっとイマジネーション豊かに膨らましたら?って感じですね。
こんなに面白くないドラマ、この題材と役者で撮れるもんなんですね。それに驚きです。
もはや放送事故でしょう。

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