月曜日の朝がとてもつらい……『いだてん』のせいです。
そんな意図はないのでしょうけど、『いだてん』は駄作大河、朝ドラ、歴史劇をぶった切っている。
出来が良すぎて、結果的にそうなっていると思われます。
そんな『いだてん』にぶった切られた『まんぷく』のダメ要素をちょっと並べてみますね。
・出産はイベントじゃない
→命がけの様子が描かれる
・乳幼児死亡率の高さ
→病弱で心配された金栗四三(実は安藤仁子と安藤百福の長女も死産でした)
・当時の教育率(特に女子)の困難さ
→一家で四三にだけ勉強させたように進学率が低く、特に女子はそう(タカのお気軽な四大卒、ないわ~! ※モデルの史実とも異なる)
・当時の学費
→きょうだいほとんどが全員四大に通っている克子・忠彦夫妻、突然のリッチ具合
ドラマなんだから、史実をきっちりと追いかけなくともよい。それはそうなんです。
ただし!
それは意義ある改変ならばでしょう。
本作みたいにホイホイと、テキトーな感覚でいじった改悪ばかりをやらかしたらば、モデルにも失礼です。
しかも内容もツマラン。
本当に何やってんだか。
【86話の視聴率は21.1%でした】
万能調理器、売れませんよ
今朝も見せ付けられた万能調理器から漂う【燃えないゴミ】感が凄まじい。
織田島製作所の面子も意味不明です。
誰が何を担当しているのか、まったくわからない。
エプロン姿で常に子供を背負っている嫁らしき人物も、意味がわかりません。
家事は? 育児は? 何で常に見守っているの?
前作と比較するのも気が引けますが、あの作品では“そよ風扇風機”を依頼をした工場長とその息子の描き分けがちゃんとできておりました。
本作はモブだらけです。
再三指摘していますが、本作は同一カースト内の描き分けが全く出来ていない、全員がモブ労働者。
そんなモブによる万能調理器ですから、良さがちっとも伝わってこない。
りんごジュースが、
「うんまぁ〜〜〜い!」
って、なんだ、そりゃ!
あの銀行担当者のしらじらしい驚き方は何ですか。
子役の時と大差ないでしょ。演技して大仰に言っているのが丸わかりでリアルさがまったくない。
本作っていつもコレですね。
腕組みして考え、じっくりと味わい……これはイケそうだ……とか考える、大人ならではのリアクションがない。
ダメなグルメバラエティ番組の反応ばかりです。
ここで職人芸を発揮して、工場父子が何か、現場ならではの理系トークを語り出せば、まだ良かった。
しかし、俺たちスゲエ、やったぜとしか言えない。
ストーリーを通じてのプレゼンを視聴者に届けられていないんですね。
ファイナルオヤジファンタジーは今日も続く
そもそも、萬平が悩んでいる場面すら本作にはありません。
偉そうに真一あたりを相手に喚き散らすだけじゃないですか。
汗一滴垂らしていない。
町工場の場面だって、ろくに試行錯誤を映しません。会社帰りに酒を飲む場面はあるっちゅうのに、何を切り取っているんですか。
それでいて、遅くに帰宅して妻から、
「先にお風呂になさいますか」
と言われるという……。
古き良き昭和ファンタジーだけはビンビンに入れて来て、気持ち悪いことこのうえないんだなぁ。
本作を見ていて、古き良き【ファイナルオヤジファンタジー】に酔いしれる人の層が、なんとなく想像できて辛いです。
って、かつての会社上司なんですわ。
部下に試行錯誤を全てブン投げておいて、自分はエロサイトめぐりとソリティアばかり。
出張先では経費でキャバクラへ行き、その領収書を経理担当者に渡して揉めていましたね。
萬平の、あのねっとりとした目つきで銀行担当者を睨むところなんてそっくりなんですよ。
経理が、そんなものを会社の経費で落とさないでくれとお願いすると、
「俺みたいなバリバリ働く男のロマンもわからねえ、つまんねえ奴だよなァ〜」
という面構えで睨んでおったなぁ。
あっ、個人的な話でサーセン。
だいたい、萬平の説得力なんてゼロじゃないですか。
万能調理器もいらない。
ただ時代の上昇気流に乗っかっただけの中身のない奴が威張り散らし、ノスタルジーに浸っている。
そういう【ファイナルオヤジファンタジー】が辛いッス。
女は常にバカでお茶飲み話をしております
そして女は、今日もバカ。
相変わらず母親を邪険にする福子は、鈴の不安に向き合おうとしません。
これは何度でも書きます。
史実における安藤仁子に思考回路が近いのは、むしろ鈴のほう。あんなバカでしつこく下品なふるまいはしなかったものの、彼女は不安を感じていたものなのです。
福子って本当にバカですよね。
鈴を説得できずに、萬平を信じる連呼。
鈴の占い頼りをバカだと言いたいようですが、福子も相当のモンでっせ。
咲姉が夢枕に立てば、途端にオーケーじゃないのさ。
鈴の占いとどこが違うの? 支離滅裂すぎる。
しかも福子、育児を母親に投げておりませんか?
鈴の育児場面のほうが多い印象なんですよ。
そして今日も入る、女たちのお茶の間トークにため息、ハァ……。
・専業主婦=三食昼寝つき
・女が集まれば話すことは男のことばかり
・女は占い頼り
・女は見た目でマウンティングする生き物
こんな偏見ダダ漏れセットのトーク場面は、必要なんですか。
冷静に考えてみましょう。
忠彦はもう60前後のはず。
演者が若いのでそうは思えませんが、キモくないスか?
60前後の既婚者が、仕事がらみで逆らいようのない、親子ほどの年の差がある女を自宅に連れ込んで、それが「淫ら」になってゆくと娘のタカが話している……恋愛はいくつになってしてもよいもの。しかし、これは既婚者のゲスセクハラやで。こんなんないわ!
ここでタカに、
「うちの父親キモッ! 最低、本当にウザい」
という顔をさせないあたりが
【ファイナルオヤジファンタジー】
なんです。
現代ならば、タカは
【#私が父親を嫌いになった理由】
と黙々と投稿していてもおかしくないですね。
忠彦って、昔から娘の容姿はじめ性的なジャッジをしつこいくらいにしておりました。
それは父の愛情じゃないから!
キモい執着セクハラだから!
◆「#私が父親を嫌いになった理由」 知られざる家庭内の性被害を女性たちが明かす
それを、ほのぼのとした雰囲気にするって、どんだけヤバイか気づいてないんかな?
【ファイナルオヤジファンタジー】にありがちな、
「女の子にちょっとエッチな話を振ると受けるんだよね〜」
というネタ。今はもう受けないどころか、炎上まっしぐらです。
大御所もやらかしましたで。
◆松本人志、「得意の体を使って…」 NGT山口事件に怒る指原莉乃への発言で視聴者ドン引き
こんな炎上案件を朝ドラでやるって、本作はスゴイです。
忠彦の絵も、よくわかりません。
美人画と言いますが、こんな青い幽霊みたいな美人画、当時の流行に沿っていますか? 飾りたいですか?
そういう作風もありっちゃありでしょうが、売れる作風とはちょっと……。
そろそろインスタントラーメン作りに打ち込んでみては?
というわけで今週もゲスい材料をコトコト煮込んだ一週間となりそうです。
・趣味道楽のために我が家を抵当に入れる話を、美談だと思う神経
・理論で反論する年下の人間は、生意気で可愛くない
・女への偏見ダダ漏れ
・女の口から淫らだのエロいことを言わせて、面白いと思っているゲス根性
・上の立場の人間が推してくるものならば、大仰に褒めてやり過ごそうとするごますり根性
ハッキリ言いましょう。
万能調理器のエピソードそのものが不要です。一月突入からの三週間すべて要らない。
年明けの数日間で八年間をすっ飛ばし、チキンラーメン開発への試行錯誤に移行してもよかったと思います。
でも本作ではできないっぽいんですよねぇ。
ナゼかって?
・理事長としてセレブ気分で威張り散らす、チヤホヤされる場面を入れたい
・開発の苦しみや試行錯誤をできない
・どうしてチキンラーメンができあがるのか、原理を勉強したくない
・女を出してエッチな話をさせたい
・時間稼ぎをしたい
こんなところでしょ。
どうせチキンラーメンもボタン連打ですよ。んで、しょうもねえ忠彦とモデルがらみのエロ話で引っ張るだけ。
そんなもんです。
何も期待しちゃ駄目。
本作は存在そのものが必要ないのですから。
しかし本日はナレーションがいいことを言い切りました!
『何このチグハグなやりとり? 頭が痛くなってくるのでした』
これや、これやで!
本作って時折、自己批判みたいなセリフを入れるところがイイね!
そこだけはだ〜〜い好き!!
まあ、何と言いますか。
脚本家が複数いて何人かは不満タラタラなんだろうな、という疑惑を強めることになっております。
続きは次ページへ
→立花福子のモデル・安藤仁子の生涯
大人しくて従順な女性を描くのは否定しません。
しかし、そういったヒロインを描くなら「そうなった(ならざるを得なかった)背景」を描くなり「大人しくて従順なのに全然都合がよろしくない・なんか怖い」といった工夫(現実)を凝らさないと、もう最近は受けませんよ。
fateの間桐桜しかり、少女革命ウテナの姫宮アンシーしかり、エヴァンゲリオンの綾波レイしかり…古くは源氏物語の女三宮しかり。
いつも武者さんのレビュー全てに大きくうなずきながら読んでいます。
今日もどの部分にコメントしたらいいのか迷ってしまいますが、、、
あのしらじらしい驚き方と、りんごジュース1杯で追加融資にOKを出した梅田銀行の喜多村に驚きました。
池田信金を窮地に追いやって乗っ取ろうという下心でもあるのかと疑ってしまいます。
もしそうでなければ学芸会以下のドラマですね。
ストーリーも、出ている役者さん全ての演技も、酷すぎます。
安藤サクラさんや長谷川博己さんは演技派の俳優さんのはずなのに、とんでもない大根役者に見えてしまう、恐ろしいまんぷくマジック。
脚本家はもう真面目にドラマに取り組む気もないようです。
役者さんが投げやりになっても仕方がないかも知れません。
スタッフ全員が「早く終われ」と願っているのが画面から伝わって来るようです。