NOと言えない女はオッケー♪ じゃない
若い女に発情して、周囲もそれを後押しするという気持ち悪さ。
もう『白薔薇』での吉乃の話なんて、犯罪誘発的でいたたまれなくなりました。
そもそも当人の吉乃はどうなんだ?
とチラッと確認しておりますが、あの程度のお世辞めいた言葉を「オッケー♪」だと思いこむ心理が、徹頭徹尾怖い。あり得ないでしょ。
吉乃の立場ならば、
「あんなオッサン気持ち悪いけれど、親戚づきあいもあるし、そうハッキリ言えないから言葉を濁しておこう……」
となってもありえる話です。
まぁ、本作を好きな人が『半分、青い。』の楡野鈴愛が憎たらしくて仕方なかった理由は、よ〜〜く理解できます。
若くてカワイイ顔をしておきながら、
「嫌なモノは嫌だ」
とハッキリ言うもんな。かわいくねー! ってなりますわ。
いいぞ鈴愛!
それでこそ現代社会にふさわしいヒロインだったぞ!!
にもかかわらず吉乃が「オッケー♪」だと思ってぐいぐい押せ押せする周囲も頭おかしい!
福子までバラす『白薔薇』夫妻!
地獄絵図です。あっ、教団支部だから、これがミサなのか。
冷静に考えてください。
エロメンはもう40手前でもおかしくないはずです。
25才の吉乃に、40間近の男が言い寄ることに。何の躊躇もないんですか?
年齢差のある恋愛を、どうこう言うつもりはございません。
しかし、そこに年齢差ゆえのとまどいや、何かを滲ませてこそ。
前作『半分、青い。』で散々「妄想だーーーー!」と叩かれた、正人と10歳上女性の恋愛です。
彼は彼女を大切に思い、愛してはいるものの、世間体を考えてやや劣等感を持っている。そういう細やかな感情までそこにはあったものですよ。
それが、本作にはない。
未成年タカに群がったロリメン。
忠彦とエロモデル。
そして吉乃とエロメン。
そこには、葛藤も何もない。
「男は若い女がいれば下半身が反応するんだもーーーーん!」
という発情ゲスエロ全開です。
そして本作の男たちは、加齢して恋愛が変わるということすら認識していない……。
本当に本作は、セクハラ加害者予備軍の背中を全力応援していて怖いのです。
なんだこの汚い世界は……
そして本日最も炎上しそうだったセリフを口走ったのはコイツです。
神部。
タカとの結婚について聞かれた時、
「俺、大阪帝大卒やぞ」
と、エリート学歴があることを何度か口にしておりました。
帝大卒だからって何なん?
大事なのは今でしょ。学歴持ってて、一番ダメなやつの典型例じゃないですか。
炎上まっしぐらでおそろしい。
昨今のニュースを見ているだけで、いかに可燃性が高いか丸わかりです。
◆『彼女は頭が悪いから』作者・姫野カオルコさんインタビュー 小説に込めた思いとは
→姫野カオルコ氏『彼女は頭が悪いから』でも描かれた、エリート大学生がその学歴に乗っかった性的暴行事件の数々
◆炎上したら、どう対応するのが正解? 週刊SPA!「ヤレる女子大学生ランキング」のケースから探ってみた
→『週間SPA!』における女子大生ランキング。どんな学歴だろうと、あの女は簡単だのお持ち帰りできるだの、そんなことを言われる筋合いはない
◆不正入試が発覚した東京医科大、志願者が3分の1に激減。2月2日に一般入試始まる
→医大女子減点問題から拡大した、入試不正問題。親の金やコネが実力より物を言うドロドロした世界が暴露された
本作にはつきまとう謎があります。
どうしてこんなにお勉強をしない、むしろ嫌いなバカどもが、社会のエリート面をして偉そうにしていられるのか?
神部やタカのような人でも、名門大学に入ることができているのか?
基本的に本作は、何か運命のいたずらでエリートとして生まれた層が、周囲を見下しマウンティングしながら、さしたる努力もせずに威張り散らしているようにしか見えません。
努力もお勉強も大嫌い。
コネと汚い手段でここまで来た奴らが、本物の創造性やアイデアを持つ層から奪い、盗み取り、自分の手柄だと言い張っている。そんな汚い世界。
彼らは本物の想像や創造をする人間が嫌いで仕方ないから、いじめて追い出し、手柄を奪い取って自分たちこそクリエイターだと言いたいように思える……一体どんな世界なんだ!
何度も引き合いに出している『ゲーム・オブ・スローンズ』は、やさしい世界なんですよ。
だってこういうゲス集団がいたら、全員滅びて終わるもん。
そういうもんだ。
※ゲス悪人はちゃんとワンちゃんのしあわせになる、そんなやさしい世界♪(ネタバレ&グロ注意)
「ならぬことはならぬ」
本作のヒロインである福子のモデル・安藤仁子(※福島県がルーツ)の性格は、鈴の方がよほど近い部分もありまして。
吉乃に接近するエロメンを遠ざけようとする、鈴のほうがまともだと思いませんか?
だって仁子にも近いんですもの。
本作がそんな仁子の口癖「ならぬことはならぬ」とカットした理由もわかりますとも。
この会津藩由来の言葉。新島八重でもおなじみです。
英語ですと、”No means no.”と訳されることが定番です。
そしてこれは、「性的同意」概念を説明する定番フレーズでもあります。
いい雰囲気だろうが、気がありそうだろうが、そんなもの”No!”と言われたらそれ以外の意味なんてない。
明確な”Yes.”と言われないで迫る奴は、最低最悪だから考えを変えろというわけです。
そんなもん雰囲気でいいじゃ〜ん、面倒くせえ〜、ムードがないな〜。
って、知りませんね、そんなことは。ハァ……。
※ええやん、力強い YES! YES! YES!
本作からは最も縁遠い言葉といえば、「ならぬことはならぬ」。
そりゃカットも当然ですね。
この時代、この流れ。
本作が世間から”No means no.”を叩きつけられる日も近いような気がします。
※スマホで『いだてん』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
※コメントにつきましては、
・まんぷくここが好き!
・まんぷくここがアカン!
という意図でご自由に記述してください。
作品に関するものについては全て掲載しております。
攻撃的な書き込み等については、こちらの判断で削除させていただきますので、あらかじめご承知おきください。
今日の『べっぴんさん』第108話。
人間的に一回り成長したさくらの姿を見ることができました。
ここに至るまでの、もどかしさや苛立たしさ。それをしのいで見続けた人だけが感じることのできる、小さな喜びです。
『まんぷく』では到底無理ですが。
おくればせながら『べっぴんさん』モデルの坂野惇子さんの記事を拝見しました。モデルの人々の実像やエピソードが、ドラマではどのように活かされたのか等がよくわかり、大変興味深かったです。
ありがとうございました。
畑仕事用の如雨露で麺にスープをかけるとか、もう以前から食べ物の扱い方がすごいですね。食品を発明した(ということになってる)主人公の食べ物の扱いの酷さ。衛生観念のなさ。
インスタントラーメンを買う気がしなくなります。こんな逆CMみたいなドラマを垂れ流したら、某食品会社は怒らないのだろうか?
これまで炎上していない、
そして下落傾向といいながら20%を維持、
そのことが芯から恐ろしい。
主演の二人と松坂さんはこんな台本でも形にしてくれ、
数字も維持していることで評価は上がりそうな気もするけどね。