おはようございます。
本作を見ていると、思い出すセリフがあるんです。
「君らのいる場所は我々はすでに三千年以上前に通過しているッ!」
板垣恵介氏の漫画作品『グラップラー刃牙』シリーズに登場する、中国拳法の達人である烈海王の言葉です。
これはある程度、真実をついていると思いますね。
日本独自と言いたがるものでも、ルーツをたどると中国大陸にあるというものが実に多い。
その最たるものが食文化で……インスタントラーメンも例外ではない。
本作はそこを踏んづけているぞ!
ちなみに、
「中国ルーツは関係ねえ! これは完全に日本オリジナルだから!」
と、主張できるものもないわけではありません。
例えば日本刀とか。
宋の詩人・欧陽脩(おうようしゅう)が『日本刀歌』という詩を詠んで褒めているほどです。
あるいは扇子もそうですね。
中国では団扇タイプの丸いものが主流で、折りたたむものは日本発。異国情緒があっていいじゃ〜ん♪ と、中国大陸で褒められたそうです。
そして武士だぁ!
「(親から子へ子が孫へという)世襲制の武装勢力って、ちょっと意味がわからんな……」
と、中国大陸や朝鮮半島では、ありえない集団として恐れられました。
それとヤクザも、まぁ……江戸時代に発展したから日本ルーツと言い切れるんじゃないかな、うん。
本気で日本がオリジンでスゴイ!と言い張りたいならば?
ヤクザが日本刀で斬り合うとか。
武士が殺伐と殺し合うとか。
そういう路線が、受けると思います。
まぁ朝ドラでは無理ですけどね。
あ、そうそう! 潮目が変わったかな〜なんて思っておりましたら、通報先が案の定増えまして。
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好意的なニュースがコレとか、もういろいろと……うん。
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【110話の視聴率は19.3%でした】
見ていて辛い『いだてん』との差
ハァ〜〜、月曜日の朝がつらい。
何度も申し上げているように『いだてん』砲のせいです。あぁ、なんでこんなに差がつくのだろう。
列挙してみましょう。
・きちんと距離感を把握している
東京の距離感をわかっているからこその、金栗の練習コースを解説。視聴者にもわかりやすいカタチで提示されました。
本作は福子と克子の家、世良の勤務場所すらよくわかりません。
どうして皆さん『白薔薇』に集まるの?
やっぱりラーメン教団支部なの?
・無欲で頑張り屋の金栗と美濃部孝蔵
セレブになりたいとか、俺はこんな記録を打ち立ててエライとか、そういう気取りはゼロ。
走ること。
落語。
そのためならば脚を動かし、頭を使い、少しでも進もうとする、そういう努力がそこにはある!
視聴者はその辛さにシンパシーを覚えるものでしょ。
一方、『まんぷく』では、努力、お勉強が大嫌い。
セレブ感の上澄みだけペロペロしていたい。
そんな本作のマウンティングの後に『いだてん』を見ると、心が洗われるようでした。
マジで火事になるど……
思えば先週の製塩エロメン三角関係も、本作が大好きな【ダブルスタンダード】全開でした。
男をめぐる女二人だったら?
「女の敵は女〜! 異性をめぐってドロドロする女って、本当に愚かでチョロいよね」
という展開な気がしてなりません。
それがエロメンのような男同士ですと?
「若くてカワイイ女がいたら、本気で争うからこそ男! 爽やかで見ていて楽しい〜〜!」
とでも言いたげのように見えます。
本作信徒にとって異端である『半分、青い。』も、あれがもし秋風ハウスで、ボクテをめぐって鈴愛とユーコがドロドロな争いをしていたら、そこまで嫌われなかった可能性を感じます……ハァ。
そんな本作はある意味、期待を裏切らず、天ぷらひとつとっても違和感満載の展開でした。
・タイミングよくボタン連打で天ぷら具材が届く
→お友達が突然持ってきたエビ。ストーリーに天麩羅が必要でしょ? だから持ってきたよ、というRPG設定がハンパないです。
・時代感を無理やり出すための『月光仮面』が全然刺さらない
→山菜採りして料理を一緒に楽しむとかの親子交流はできなかったんでしょうか?『月光仮面、懐かしいなぁ』となる視聴者さん、いたの?
・子供二人を置き去りにしたまま天ぷら鍋を放置!
→さすがにこれはマズイでしょ!!! なんなんでしょう、このハイパー火災コンボは?
天ぷら鍋が原因の火災って、本当に多いものです。あんな危うい子供二人がいるというのに、それを放置するって大丈夫ですか。
天ぷら油火災の多くは、天ぷらを揚げているときに電話がかかったり、来客の対応をするため、台所を離れたときなどは、ちょっとした油断が原因で発生します。
いや、もうね。
作り物のドラマだからって、こういう理不尽な無茶はどうかと思うのです。
・感電
・ガマガエル食用
・天ぷら鍋放置
デストラップによるハットトリック達成です。
本当に危なくて、一歩間違ったら大火災だぞ!
ちょっとエビ天が焦げちゃった、てへっ♪ それがお茶目という世界観がどうにもならない。
福子みたいな母親像っておかしい。
なぜ彼女は『神の子萬平さぁん』しか、頭にないのだろう。
子供を放置しても平気。とってつけたように「家計が圧迫された」ということで、奇声を発しながらゴロゴロされても、あの収入と浪費では、
【最初からわかっていたことです(´⊙◞⊱◟⊙`)】
としか言いようがないんです。
今日の萬平ラーメン教真理
そして今日も無茶苦茶な展開を、全て萬平ラーメン教の真理とばかりに張り切っておりました。
列挙して参りましょう。
・「おいしいぃいいぃぃ!」「完成ですぅぅぅぅぅ〜〜〜!」という絶叫
あれだけ奇声を上げるほど、チキンラーメンって美味しいもんでしたっけ?
「麺にコシを出さないと!」というセリフもありましたけれども、チキンラーメンのどのへんにコシがあるのでしょうか?
福子にとっては【神の子の奇跡】なのでしょう。じゃないと説明がつかない。
・若い女は巫女か何かですね
忠彦が娘から褒められてデレデレ。
吉乃が萬平おじさんに夢中。
親戚関係にある、年上の男性に対する態度にしては、不気味でしかありません。
若い女は全員セクシー応援要員にしたい、そんな【ファイナルオヤジファンタジー】が展開されておりました。
・ピカチュウタカ
マリオおてんちゃん(『わろてんか』)、ルイージ福子の次は、次回作でピカチュウかなあと思っておりました。
が、違ったぜ!
いつも黄色い服ばっかり着ているタカが、ピッッカチュウウウウウ〜〜〜〜! でしたね。
本当に、NHK大阪朝ドラチーム衣装担当者は、一体どうしちゃったんでしょう。
・孤軍奮闘とは何なのか?
前回も突っ込んだんですけれども、日清公式では孤軍奮闘だった安藤百福氏のチキンラーメン開発とは何だったんですか?
「萬平さぁ〜ん!」
「お手伝いしたぁい!」
「妊婦でさえなければ是非にでも!」
って次々に現れる協力者ってなんやねん……異教徒・鈴だけがマトモに見えます。
・大学教授もモブだった
大学教授も、電話ひとつでホイホイ来ちゃうんだよなぁ。
彼を研究者として見ちゃダメですね。モブですよ、モブ。
なのでボタン連打で、神の子のところまでやって来る。ギャラなんて期待したらアカンですよ。
ガマガエルに毒性があることも、結局気にしていませんでしたね。
彼が顔にガマガエルエキスをぶっかけるシーンを、楽しげに流していました。もうホラーだわ。
そんな神の子・萬平さぁんが作り上げたラーメン教の聖なる食物。
どうやら異教徒の策謀によりピンチなんですと。
◆若者の「袋麺離れ」が顕著 メーカーは新たな需要の深掘りに必死
もしかして、そんな窮地を打開するための布教映像じゃないですよね?
いやいや、まさかね。
【訂正】
今日の『べっぴんさん』は、第109話ではなく第110話でした。失礼いたしました。
いったい本作の脚本家は、ドラマ展開のイロハを知らないのでしょうか。
全くの素人の私でも、以下に述べる程度のことはおのずと理解しているつもりです。つまり、萬平が即席ラーメンを開発しようと悪戦苦闘しあれこれ試行錯誤を繰り返す過程。一方で、家族・親族や旧塩軍団の美女イケメン連中の恋愛ごっこなど人間模様のあれこれの過程。この両者が同時進行してるのに、互いに全く絡むことなく文字通り単に同時進行のパラレル状態なわけでしょ。こんなドラマは見たことありません。あり得ない、と断言して良いでしょう。
彼らの惚れた離れたのおハナシがラーメン作りに絡まって進んでいく、のでなければ、プロの演技者を多数動員する映像作品として成り立つわけがない。それが私の言うイロハです。たとえば、萬平のラーメン開発の一か八かの賭けを全面シンパする推進派と、今一つ乗りきれない懐疑派の間のズレや葛藤が、男女間のハートの遠近に重なっていくみたいな。
だが本作では、昨年10月のスタート以来毎度お決まりの、おばあちゃんが「そんな発明なんて無理や~」と愚痴るのみ。周囲はまたか~て感じで取り合わない。それで終わり。そこから何の葛藤も次の展開も生まれず、鈴さんのこの台詞に何の意味があるのか全く不明です。
とにかく半年間の連続ドラマが、全て全てそんな具合。こんなもん、誰もが見てて面白いわけがないです。
この脚本家氏、本当にそうしたドラマ作りの基本を知らないのだとしたら、そんな人に日本の朝のシンボル番組を委ねたNHKは何を考えてるのかという大問題になるし、いやプロだから当然分かってるけどやらないというのなら、とんでもない職務怠慢です。どちらにせよ、あいた口がふさがらず、この先の言葉が出ません。
「トクサツガガガ」は自分もハマっているドラマですが、
これは視聴した瞬間からNHKの本気度がうかがえる作品と感じました。
案の定目指したのは「本物」というコンセプトで、NHKとしては未知の特撮モノなだけに、東映の専門スタッフとタッグを組んでの作品とのこと。
視聴者にはこの本気度が伝わるものです。元の原作も良いですね。
「まんぷく」は逆に制作スタッフのなんちゃって加減がいい具合に伝わってきており、回復が見込めるとは思いません。モデルの日清食品からよくクレームがこないなと心配するくらいです。もしかしたら日清とタッグを組んで半年余りの宣伝をしているのではないかと思ってしまいます。良い宣伝か悪い宣伝になっているかは疑わしいですが。
今日の『べっぴんさん』第109話。
喜代さんと忠さんの新たな旅立ちのきっかけが描かれました。
五十八が倒れた近江の本家での伏線が動き出したシーンでした。
とりわけ、忠さんが訪れる直前の、喜代さんと忠さんがそれぞれ無言で思い詰めている数秒間のシーン。言葉によらず表情だけでの表現。良かったです。
これが『まんぷく』なら、たちまち説明台詞やらナレーションやらが押しかけてきてブチ壊しといったところ。
これも、NHK大阪の「2年前は当然だったのに、今やロストテクノロジー」の一つなのでしょう。
今回問題点を指摘されている『とと姉ちゃん』。年末総集編レビューで指摘の『花子とアン』もそうでしたが、問題点として確かに小さくはないでしょう。
では、この両作品が、『まんぷく』『わろてんか』と比べてどうなのか、と言えば、決定的に異なるのは、「面白いこと。ドラマとして成立していること」です。同じレベルに扱うのは無理なほど。
両作品とも、問題点に気づかなければ、ドラマとしては実に面白く、楽しむことのできるものでした。人物描写にぶれや不自然さはありませんでしたし、物語の展開も面白かった。どういう物語を示したいのかの考えは明確だったと思います。
本来発展すべき方向性は、「どういう物語を示したいのかの考え方は確立させながらも、『してはならない改変』はしないようにする」である筈。しかし現実に起きたのは、「物語の考え方は失い、してはならない改変は犯す」…
困ったものです。
食品関連では、かつお節は確か日本オリジナルだったかと。ささいな補足です。
以前書いたことの繰り返しですが、「日本ヨイショ」は完全オリジナルじゃないといけない、という前提がすでに近視眼的なんですよ。安藤百福氏の発明家はともかく、「即席麺」自体は間違いなく台湾系日本人の発明です。「元祖」の大陸ではなく、日本で即席麺が誕生して世界に広まったのは紛れもない事実ですから。そのほかの中華料理も、例えば韓国のキムチやビビンバも、世良がやたらと食べていたカレーも、日本流のアレンジを行ってヒットしています。なぜわざわざ、「日本人は人種差別主義者」などという迷惑なプロパガンダを垂れ流すのでしょうか。
あ、あと日付が間違ってます…(小声)
本当の安藤百福氏は、台湾の食生活の中で育ったのだし、料理もこなす人でした。
だから、『まんぷく』のここに至るまでの一連の話は何もかも無意味で全くの無駄だし、何の感動もありません。
せめて、揚げ麺に思い至るきっかけとして、例えば「長崎皿うどんや、同様な揚げ麺を使った中華料理に出会って、それを採り入れてみようと思いつく」「春雨を使った中華料理から発想を得る」といった具合に描いたら、まだしも説得力もありますが。
ここまでの迷走は、どれも単なる思いつきばかり。少しも調べたり試してみたりはしていないかのよう。
それに、揚げ麺にお湯をかけてふやかしても、あんなツルツルした具合に簡単になるものなのか。軟らかすぎてしまったりする失敗も当然ある筈。「試行錯誤」を描きたかったのなら、最適な揚げ麺に至るまでを描いた方が遥かに有意義だったのではないかと。
「黒豆のムカデ」などという正直どーでも良いものはわざわざ実作までしたのに、肝腎要の麺についてはこの扱いか? と皮肉の一つも言いたくなります。