五代の葬儀です。
葬儀には四三〇〇人以上参列しました。
正吉の時は白い喪服だったのが、今回のあさは黒い羽織になっており、時代の流れを感じます。
美和によると、五代は借金だらけだったそうです。
なんでも私腹を肥やすより、周囲に金を貸し、援助をしていたからだそうです。
大久保もそうだったとか。
このあたりは史実です。
五代と大久保はこういうところがあるから救われるんですよね。
そのへんが昨年大河の某県令あたりとは違います。
ヘッドハンティングして欲しかったなぁ
あさと新次郎は五代を偲びます。
今週は、五代について他の人たちが話す場面が本当に多いですね。多すぎるといいますか。
そこへ雁助がやってきて、月曜日のへえさんが来店中と告げます。月曜日に来て、「へえ」としか言わない常連客のことだそうです。用件はなんと加野屋への就職希望者とか。
あさが彼の面接を開始すると、やはり「へえ」しか言わず会話できません。
これは流石に雇えないでしょうと思っていたら、あさもキレます。
そこでやっと会話が成立し、元大蔵相の会計検査員・山崎平十郎と名乗ります。
経済立て直しには民間の銀行が大事だと気づいた平十郎は、二年ほど様々な銀行を周り、加野屋こそが求める銀行だと目星をつけたそうです。
ここもBGM過多気味だなあ……。
山崎の加入はよいとしても、向こうからやって来るよりあさか榮三郎がヘッドハンティングした方が面白かったかな、その話を五代の死と平行して進めてもよかったかな、という気がします。
鉱山は掘ったそばから当たる、超有能な人材は向こうからやってくる、ではあまりに運に頼り過ぎでしょう。
踊る女に批判のあさ
年が明けると、千代は数え十才、鈴木梨央さんに変更。
朝ドラや大河で主人公子役を、主人公の子の子役に使い回すのはわりとよくある話ですが、この配役はちょっと無理矢理感があるかなぁ。
チビあさの元気のよさがはまっていて、前の子役もよかっただけにちょっと残念です。
千代はうっとりと東京土産の、鹿鳴館舞踏会の絵を見ています。
ドレスにあこがれる千代ですが、あさは千代にとってはひどいことばかり、しまいには金魚みたい、あいつら働きも勉強もせずにチャラチャラ踊りやがって、と描かれた踊る女たちに対してまで批判的なことを言います。
あさ、昨年大河最終回を、年をまたいで批判。
実際に広岡浅子は鹿鳴館に批判的だったから仕方ないですね。
昨年「ドレスで光の世界へ!」
今年「金魚みたいなカッコで勉強もしないで、働かずにチャラチャラ踊りやがって」
せ、せわぁない!
千代はここでむっときて、メイクもしないでひっつめ髪で仕事ばっかりしているお母ちゃんにはわからないよね、とすねてしまいます。
とはいえ、動きやすいというドレスには、ちょっと関心があるようです。実用面で、みたいですが。
自転車は女性にとって自立の象徴
あさは寄合所で自転車について聞かされ、五代のことを思い出します。
あさは興味を持ち、乗りこなして見せると宣言。
そういえば五代があさなら乗りこなせると手紙に書いていましたね。自転車に乗るのであれば、ドレスが必要になりそうです。
自転車という移動手段は、女性にとって自立の象徴でもありました。
当時の女性にとって、誰の手も借りずに颯爽と移動できる、画期的な手段であったのです。五
代があさと結びつけたことにも、そうした連想があるのかもしれません。
千代は、あさとは違い、父にエールを送る女子マネージャー系の癒やし系に育っているようです。
千代がエールを送り、新次郎に仕事をやらせる姿に、よのは「計画通り」とニヤリ。
そこへ新次郎を「お父ちゃん!」と呼ぶ少年が来店します。
隠し子か!
と緊迫した空気が走りますが、なんとはつの長男・藍之助でした。
そしてそのあとについて、はつと菊もやって来ます。
ついに姉妹再会です。
総評
先週やってしまった感があり、今週も五代の死で引っ張りすぎている部分がありました。
雁助や山崎の話を平行してすすめつつ、五代の偲ぶ流れでもよかったのではないかと思います。
先週からは若干持ち直したものの、脚本演出が今ひとつクオリティ下がり気味なのが残念です。
特に過剰なBGMは何とかならないのでしょうか。
あさの演技に成長が見られないのも、マイナス要因です。
劇中はアラサーですので、着物の色も落ち着いて来ました。
脚本や演出でも「びっくりぽん!」「カッパー!」「なんでどす?」は封印して、しっとりとした大人のあさになって欲しいと思います。
実業家としての活躍ははしょり気味になるとしても、そこをなんとかするだけでもかなりよくなると思うんですけれどねえ。
千代のドラマクラッシャー感に続き、藍之助もちょっと鬱陶しそうになりそうで、ここも不安です。
来週の展望はさておき。
ここで今週退場の五代について振り返ってみましょう。
私の場合、五代が亡くなった日はそうでもなかったのですが、こうして総評を書いていると、なんだか惜しい気持ちがじんわりと湧いてきました。
とりあえず、ドラマ制作側としては五代についてはガッツポーズでしょう。
◆五代ロス 朝ドラファン惜しむ | 2016年1月22日(金) – Yahoo!ニュース(リンク切れ)
◆花燃ゆ:視聴率低迷 銅像建設計画が寄付金不足でピンチ – 毎日新聞
こう並べると明暗ぶりが際立ちます。
銅像に五代ファンが押し寄せる朝ドラと、そもそも銅像建設に必要な資金すら集まらない大河。どうしてこうなった。
終わったものと比較しても仕方ないですし、意地悪ではあります。
しかし、同じく世間に埋もれていた幕末から明治の人物を取り上げておきながら、ここまで差がついたということは大変興味深いものがあるんですね。
五代フィーバーを見つめながら、もし『花燃ゆ』が成功して楫取フィーバーがあったらと妄想します。
終盤は脚本に足を引っ張られたとはいえ、五代にディーン・フジオカさんは絶妙なキャスティングお見事でした。
海外で活躍した独特の雰囲気という点で、五代と共通点があったことがまさに絶妙なポイントです。ブレイク待ったなしです。あの一歩間違えたら変態ストーカーになる五代を、よく魅力的に演じました。
そこで、ディーンさんはこのまま『真田丸』に出てもよいんじゃないか、と考えまして。
それでは誰が適役かと妄想した結果、伊達政宗なんてどうかなと思ったりしまして。
東北つながり、遠い地から来た感覚、派手にふるまっても似合いそう、などなど向いているのでは。
もっともディーンさんの出身地にとって伊達は敵なんですけれどもね。眼帯ディーンさんなんて、いいんじゃないですか。
今年はないにしても、将来大河あたりには出るのではないかと思います。
アクションも得意だそうですし、武将姿も似合いそうですね。
ディーンさんを発掘しただけでも、本作は十分に功績ありと言えるでしょう!
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray](→amazon link)
続きがでませんね。まあ、大河ドラマも朝ドラも面白いので、完全に興味を無くしましたね。できれば、中断告知をしていただければ、見に来なくてすむのですが。
千代はともかく、藍之助は、正直、いらないキャラだったような気がします。架空の人物ですし、何か描ききれていないというか、設定が途中で変わったのかもしれません。