わろてんか53話あらすじ感想(12/1)子供が笑う芸=良い芸?

ヒロインのてんと藤吉夫妻の間には長男・隼也も生まれ、事業も好調です。

と思っていたら、かつての恋敵リリコを子守に雇ったり、節句の兜をいつまでも購入せず仕事のことばかりで家を空けたり、まるで家庭を顧みない藤吉。
その身勝手さに、てんの怒りはついに爆発します。

 

ブチ切れたてんは亀井を経由して藤吉と会話

怒ったてんは、藤吉と職場ですら口を利こうともしません。
こうしてキリッと算盤をはじくてんはなかなか新鮮ですね。ヘラヘラ笑っている時よりも、凛としてごりょんさんらしく見えます。

ただ……。喋りたくないから亀井経由で話すという態度はどうしたものでしょう。
家ならともかく仕事場です。
あれだけ「忙しい、忙しい」と連呼しているのに、亀井の仕事の邪魔をするのは良くない気がします。

案の定、トキ、キース、アサリが心配しています。

トキは藤吉と一対一で話し合います。
リリコに隼也を預けたデリカシーのなさを責めるのです。

「家族のことは考えている」
この言い訳だけで一点突破しようとする藤吉。
いくら家族のことを考えていようが、因縁ある女(リリコ)に我が子を預けるのは、ただのアホでっせ(´・ω・`)

トキはここから平成家庭観丸出し
「三人一緒にいてください!」
という話を持ち出します。

徳永えりさんの熱演によって、なんとかドラマが成立している感も否めない、大事なキャラ・トキ。このように、時代劇コスプレ現代劇丸出しの台詞を言わされると、彼女にもげんなりしてしまいそうで辛いです。

 

節句の兜は諦めた!? トキに買ってきて貰えばええやない

てんはリリコに「堪忍袋破れてもうたん?」と聞かれます。

って、リリコはんもお人が悪い。
こうなることはある程度わかっていたのでは? そもそも怒りを溜め込んで大爆発するというのが落語のオチですし。

リリコはしきりに隼也のためにも踏ん張れ、と言います。
さらに初節句のことをふられると、てんはこう言います。

「あれは諦めました」
うぉい!! 諦めたらそこで試合終了ですぞ~。

自分たちの夫婦喧嘩に巻き込んで子供の成長を祝う行事を辞めるってのはナシでお願いします。
別に、兜は自分で買うなり、誰かに(例えばトキにでも)買って貰うなりしてもいいでしょう。風太にもらった金太郎人形もあるではないですか。

こういうシチュエーションで最終的に「あんたのせいで駄目になった!」と怒るタイプの人って確かにいますけど、ニコニコ笑顔のおてんちゃんって、そんなことしない朗らかな性格だったと思います。

それと先日、藤吉が芸人の給与を持ち出したときに怒ってましたが、それはもう片付けちゃったんですかね。
こういう細かいところが大切だと思うのです。

別に放送時間をたっぷり取らずとも、「遅れてホンマにすんません」と深々とアタマを下げてるところがあれば、
『あぁ、藤吉はクズだけど、てんは面倒見のいい人だな、ごりょんさんらしくなってきたな』
と愛着も持てるんですけどね。

 

これからは女子供の笑いの時代が来る

風太はとある寄席で、子供が笑っている芸を見ています。
中には笑っておらず飽きている子もいた気がしますが。

風太は寺ギンに、自分も丁稚奉公していた頃は、休みになる盆正月は小遣いを握りしめて寄席を見に行ったと言います。
それが盆正月以外でも来るのだから、いい時代になったと。

これからは女子供の時代が来ると言い出す風太。
子供が喜ぶ芸人こそや、と言います。

正直それはどうかと思いますが、寺ギンが嬉しそうに話を聞いているからには、何らかの勝算があるのでしょう。

長屋の前でリリコと出くわす風太。2人は言い合います。
「寺ギンに取り入るのは藤吉へのあてつけか?」
「子守をするのはてんへのあてつけか?」

風太はてんを助けたいと言います。
藤吉に「お前は寄席を見る目がない」と言われたので、勉強して、てんを手伝いたいのだと。

風太は藤岡屋を辞めようと思っていると言います。分家を出すことをしずが承知したものの、こちらに来たいからと。

リリコは分家を出すなら嫁をもらわなければならない、てんが好きなお前はそれが嫌なのだろう、と言います。
「うちとあんたは映し鏡や」
そう言うリリコ。
って、それはもう、ほんといい加減にしつこい><;

もう結婚してるんだっせ。なぜ、そんなところにダイブさせるような展開なんでしょう。
別に、そんなことせずとも、吉本せいさんの足跡を丁寧に追ったら、いくらでもワクワクさせられると思うのです。

 

栞の魅力がどんどん喪われていくよ……

一方、藤吉は栞の家で、今何かと悪い意味で話題の“フラリーマン”をしています。

“フラリーマン” あなたは夫を許せますか?|NHK NEWS WEB

ここで藤吉、駄目男あるあるを言い出します。
「母親になってしもて、強くてめんどいんや」

うはぁ、言ってしまったっす。まるで、『ダメ男・台詞コレクションCOMPLETE』を目指している、そんな強い意志すら感じさせます。

寄席のごりょんさんになって、子供も産まれて、それでも「てんてんてんごのおてんちゃん」だの「石川チョコ衛門〜〜〜」で笑ってくれるおてんちゃんでいてくれると思ったのでしょうか。
いい加減、大人になってくださいよ、藤吉はん(´・ω・`)

栞がたしなめると、
「結婚してない奴にはわからん」
と、これまたムカつく台詞を言うのですから、見ている方はイライラさせられます。藤吉を嫌わせるのが狙いだとしたら、脚本としてはカンペキなんでしょうけど、実際のところどうなんでしょう。

栞は第7週ではなくて、ここで藤吉と殴り合いの喧嘩をするべきだったと思います。
このタイミングならわかります。
栞がクリスタルガラスのデカンタを、全力で藤吉の脳天に叩きつけても、動機が理解できます!

それにしても、栞の魅力はどんどん失われて、ただの便利な人になってしまいました。
藤吉と親友になってから、急激に駄目になったと思います。

本作の数少ない常識人である啄子さんも藤吉がらみではダメな人になったし、楓は藤吉と縁が切れてからのほうが活き活きしているし。
藤吉というのは人を駄目にするブラックホールのようなものではないでしょうか。

 

「兜のことやな? もうええ加減にせえや!」

キースとトキは、てんに何かをしたいと話しかけています。

そこへ、藤吉登場。
「本契約できたで!」
てんは契約書をさっさと金庫にしまってしまいます。

「なんで一緒に喜んでくれんねん!」
と、ガチギレする藤吉。
「兜のことやな? もうええ加減にせえや!」

亀井がなんとか取りなそうとすると、「黙っとれい!」と一喝。
いやいや、これは本当に見ていてしんどかった。
藤吉はん、アンタ、言っていいことと悪いことがおまっせ。

藤吉は反省せず、自己弁護します。寄席を増やせば寺ギンとも対決できると。そこへよいタイミングで寺ギン登場。
しかも背後には風太の姿が。

唖然とする風鳥亭の面々。
私は風太がちゃんと藤岡屋に辞表を出したのか、それが気になっています。

 

今回のマトメ「子供が笑う芸=よい芸なの?」

寺ギンがアクセントになっているのは本日も同じなのですが、今日はなんだか変でした。

「子供が笑う芸はよい芸」
これがイマイチすっきりしないのです。

たしかに現代でも、子供も大人も笑えてしまう芸(多くは一発芸人)が存在します。

髭男爵の「ルネッサ~ンス♪」とか、小島よしおの「そんなのかんけーねー!」とか、今だとブルゾンちえみの「35億♪」など。
リズムネタは誰にでもわかりやすい分、ネタが広まった当初は子供にも大人にも受け入れられ、そして飽きられやすいがために、一発屋として消えていきます。旬を過ぎれば誰も見向きもしないでしょう。

一方で、いつまでも大人に人気のある、要は実力のあるサンドウィッチマンやブラックマヨネーズ、NONSTYLEなどの漫才を見ても(おそらく)子供が笑えないですし、逆に子供の好きなテレ東の『おはスタ』を見て笑っている大人はいません(いたらゴメンナサイ)。
通じる笑いも中にはあるけど、あくまで種類に依る。それが原則ではないでしょうか。

それをなぜあのコワモテ寺ギンが簡単に認めてしまったのか。

※兵動大樹さんの『すべらない話』なんて、子供は絶対に笑えないと思います

おそらくや……。
こういった流れは、風太のモデルとなった林正之助の経歴をゆる~くベースにしたのでしょう。

吉本せいの実弟・正之助は、観客にも知識やセンスの要求される落語より、見ているだけで滑稽で笑える単純な芸を好みました。
そのため芸人から、見る目がないと陰口も叩かれていました。

今週は、しょうもない夫婦喧嘩の陰で、風太を正之助に近づけたように思えます。

・藤吉に芸を見る目がないと言われる

・誰でも笑える=子供でも笑える芸に目を付ける

単純化すると、上記のようなチャートです。
ただ、これまでの流れからしてあまり成立しないんですよね。
なんせ、前提となる藤吉自身に「芸を見るセンス」は一切感じられません。

後者も何かがおかしいのです。
「大人が頭を使わずとも笑える芸」
「子供でも笑える芸」
この両者は同じではないでしょう。

風太を子供思いの優しい人物にしたい、そんな意図も感じますが、結婚して子供までいるてんをいつまでも思うような態度はいかがなものでしょう。授乳でドキドキするシーンは今思い出してもシンドイです。

これはリリコについても同じでして。
この恋のお邪魔虫コンビが、主人公たちの間をウロウロするのかと思うと、ゲンナリです。
もう、変な呪縛からは解放したって!

濱田岳さんのお陰で、風太はいい味を出し続けています。
さっさと、トキとでも結婚しちゃえばいいのでは?
トキも「堪忍袋」に向かって風太のことを口にしていたので、まんざらでもないのでしょうし。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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