明治35年(1902年)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてん。
彼女が目にしたのは、北村藤吉が舞台上で出番のタイミングを誤り、ブーイングを受ける姿でした。
永遠のライバル&親友? リリコとも遭遇す
今日は前回終了時から若干遡って、楽屋での藤吉から始まります。
緊張のあまり、「義士(ぎし)」と「猪(しし)」を聞き間違えた藤吉。キースがうまいことカバーして、「ここは猪鍋でパーっと行きましょうか!」と言うことでなんとかその場はおさまります。
てんは呆然と舞台を見ていましたが、心配になったのか、楽屋に様子を見に行きます。
そこで彼女は旅芸人の娘・リリコから「ええ簪持っとるやないの」と取られそうになるのでした。
このリリコ、永遠のライバルにして親友になるそうで。恋のライバルでしょうかね。
藤吉は体育すわりで膝を抱え、すっかり落ち込んでいます。
「てんごのてんちゃんか」と無理に笑う藤吉。芝居を見てみんな大笑いやと見栄を張りますが、てんは一部始終目撃しています。
キースはてんに、「とろけるやつで励ましてや」と頼みます。
とろけるやつ? せや、チョコレートや!
「悪いけど、今日は去んでくれるか」
泣きそうな顔でそう言う藤吉。
結構若い設定なんでしょうね。まだまだ精神的なもろさがあるようです。
てんはとろけるやつが何か考えながら帰ります。
チョコレートのことだと思いついたてんは、家に戻るとチョコレートを手にして道を急ぐのでした。
風太が探し回る中、てんと藤吉はなんと屋根の上にいます。藤吉はチョコレートを食べて嬉しそうです。
藤吉は今日は初舞台だったんだ、と言います。
「あれは嘘やないで。日本一の芸人言うんは」
そう言う藤吉。将来の夢と言う段階ですが、彼は本気のようです。
てんをファン一号として認定
彼は笑いの色は何色かわかったかと聞きます。
「茶色!」
どうやら新一の答えで正解だった模様。褒められたてんは、兄に教えてもらったと言います。
すると藤吉はそんなあたたかい家庭を持つてんを羨むような言葉を口にします。
どうやら家庭環境に恵まれず、それが家を飛び出して芸人一座に入った一因でもあるようです。
これはてんが藤吉とあたたかい家庭を築くフラグかな?
冷たい家庭だからこそ、あたたかい笑いの力で皆を笑わせたいと誓う藤吉。彼は屋根の上で歌舞伎の口上を始めます。
てんは藤吉の口の周りについたチョコレートを笑い、藤吉はあの有名な石川五ェ門の口上を「チョコェ門」と言い換えて決めるのでした。
屋根の上でこの演技はなかなか大変なはずで、藤吉の足の指から緊張を感じます。
藤吉は自分の芸を笑ってくれたてんを、ファン一号として認定。
確かにこんな笑顔を見せてくれる子がいたら頑張れますよね。藤吉は日本中を巡業する間、手紙をてんに送ると約束します。
こうして文通友達となる二人でした。
「チョコの御礼や」
藤吉はそういって、鈴が付いた鳥の形のマスコットをてんに渡します。
藤吉の巡業を手紙で楽しむ笑顔のてん
藤岡屋には、藤吉の旅先からてん宛ての手紙が届くようになります。
嫉妬する風太は破こうとするものの、儀兵衛に見られたため断念。悔しそうに藤吉の手紙をてんに渡します。
てんははしゃぎながら手紙を受け取ります。
こうしててんは何度も読んで、藤吉の巡業の様子を知るのでした。
藤吉の笑いのセンスはちょっとどうかと思う部分もありますが、てんは手紙を笑顔で読むのでした。
てんは藤吉の手紙を受け取りながら、笑顔まぶしい年頃のお嬢さんに成長しました。
「ゲラ=笑い上戸」なところはそのまま。天真爛漫なお嬢さんになったてん。葵わかなさんがはじけるような笑顔を見せます。
そして来週予告では。見合い相手が何故か立ち回りを見せています。
今回のマトメ
一週目はてんの家族と藤吉の紹介。最終日は藤吉を掘り下げてきました。
藤吉との甘酸っぱい文通で始まる恋の予感はそりゃもう少女漫画的なロマンスではありますが、それだけではない要素があります。
藤吉とてんのやりとりからわかるのは、笑いの底には愛情が必要ということ。
藤吉は家族から与えられない笑顔を求めて、笑いを目指すようになりました。相手を笑わせることで、その奥にあるあたたかい愛情をも欲しい。そんな願いと藤吉の寂しさを感じました。
家族の愛情をいっぱい受け、のびのびと育ったてん。
その笑顔が見たいから手紙を送り続ける藤吉。
ファン一号でうれしいというのもあるのでしょうが、人とつながりたい彼の心の寂しさが見えてなんだか切ないですね。
これは松坂桃李さんの好演が光るところで。
不器用さと繊細さ、明るさと翳りを同時に見せる演技力が藤吉という存在に説得力を与えています。
お天道様のようにあかるいてんと、ちょっと寂しがり屋の藤吉が見せるロマンス、そしてお笑いへの情熱が楽しみですね。
来週の予告には高橋一生さんの伊能栞がちらっと登場。
『おんな城主 直虎』で刃物を握る所作が美しく、役柄上立ち回りがないのはもったいないと思っていました。
大河でなくてこちらで立ち回りを演じるとはうれしい予想外です。
そうそう、第一週でヒロインが高所に登ると断言していましたが、今日の屋根で回収しましたね。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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