仲が語る再試験の条件とは?
なつだけが単独受験というわけではありませんでした。
先に入っていた6月合格者と同じ条件で、12月に審査を受ける。つまり、動画養成を半年かけて受けてきた者が相手です。
これは厳しい。
しかも、試験まであと一ヶ月!
なつはケチャップを口につけたまま、それでも受けると言い切ります。
ナレーターの父が、思わず口を吹けと突っ込むわけですが……これも只者ではない演出にも思えるのです。
堂々としている。只者ではない!
なつのメンタルは、泰樹に鍛えられて強いのです。
いわば、真田昌幸に鍛えられた、あの幸村よ……!
※いけーっ!!
王子とこじき
そんななつは、赤備え級の真っ赤なコートで、颯爽と風車へと帰ります。
衣装は単におしゃれを強調しているのではなく、きっちりと季節感を見せているんですね。いちいち説明がなくとも、秋が深まっていくのがわかります。
年がら年中マリオおてんちゃん。
ルイージ*子。
あまりに代わり映えがなくて、季節感のないNHK大阪とは根本的に……いや、冗談抜きに、ナゼここまで違うのだろう?
そこにいたのは、雪次郎でした。
客としておでんをつついている。彼の修行は順調かな。
雪次郎は、なつが垢抜けたと褒めます。
そんなことを言ってくれるのは雪次郎だけだと答えるなつ。う、うん、かぶき者ファッションだからね。
雪次郎は、なつを羨んでおりました。
彼は一人息子で跡取り。
帯広まで戻るのであり、のんびり羽を伸ばせないことに不満があるのでしょう。
彼の目からすると、チャンスを掴んだなつは羨ましい。
けれども、これも解釈によります。
雪次郎は失敗しても、実家というセーフティネットがあるわけです。
なつは孤児であり、そういうものはありません。咲太郎も、そこは頼りになりませんし。
いわば彼らの境遇は『王子とこじき』のようなもの。
城から出たいけれども、出られない。そんな王子からすれば、こじきが気ままで羨ましい。
一方で、こじきからすれば、衣食住が確保されている王子は恵まれている。
そういう境遇の違いがあります。
このへんも世界名作劇場っぽさをちょっと感じますね。
騙す奴、騙される奴
そこへ、革ジャンを羽織った咲太郎が戻ってきます。
「待ってました!」
そう言われて、役者じゃあるめえし、と返す咲太郎。
亜矢美も加わって、咲太郎と雪次郎なんて役者みたいな名前だと言い合います。こういう掛け合いに味がありますね。
咲太郎が見せるのは、赤い星座新作『人形の家』のポスターでした。
この時代らしさが出たポスターデザイン。
前作****における、Illustrator処理丸わかりの小道具は何だったのか……。
雪次郎は、絶対見に行くと大興奮で、なつはスッとぼけます。
「『人形の家』って、小さな家なの?」
そこはテーマのことだ、と雪次郎が突っ込む。
もしここに夕見子でもいたら、滔々とその文学的意義やテーマの講義を始めそうです。
咲太郎は、雪次郎に30枚売らせてやると大威張り。
雪次郎は30回も見るのか? と一瞬慌てて、直後、自分で勘違いだと気づいてやっと安心しているのですが。
おいっ、雪次郎、おいっ、お前、大丈夫か?
フラフラしてっと、咲太郎以上の悪党に騙されるぞー。
咲太郎も悪い奴だな。チケットを30枚売りさばくって、楽な話じゃないでしょうに。それを上から目線で堂々と押し付けおって。
そこが魅力的なのが、これまた魔性にもほどがある。
とよババアがいたら、絶対に突っ込むでしょう。
妙子がいても、たしなめるはず。
雪次郎が心配です……本人は新宿で羽を伸ばしてウキウキしていますが、こいつは帯広まで首根っこ掴んででも戻さないとまずい。
絶対に騙されるから!
もうひとつ。
やっぱり咲太郎は赤い星座にいるわけです。これがあの大杉にまた突っ込まれる。これも確定路線ですな。
不穏じゃああああぁぁああ!
マコは己の過ちを認め、嫌味を言う
なつは、試験に向けて寝る間も惜しみ、大勉強。
若いねぇ。昭和だねぇ。
結果、集中力もアップしたのか、職場での彩色も上達しました。
休憩時間には、作画の練習材料集めにも余念がありません。
こういうところを自慢しないのがよいところ。寝ていないんだぜアピールはありません。
現代となれば時代遅れですが、個々人が不眠で頑張るのは、まぁ自由だとは思います。
ただし、それを朝ドラ内で競い合わせるのは、どうしようもない。
前作****の主人公夫妻の企業には、そんな空気が蔓延しておりました。
そんななつを、作画課アニメーターも見守っています。
マコだけが無言の演技。ジッとなつを見つめる目線だけで、複雑な心境を見せる。
長いセリフを読むときもあれば、こういうノンバーバルな演技もあるのです。
広瀬すずさんの、描く絵にあわせた顔をしながらスケッチするシーンもよいものです。
【奇声と変顔=演技】だと認識するNHK大阪チームと差がつき過ぎ。
そのマコが、カッカッカッと噴水にいるなつの所までやって来ました。
まるで黒装束で井伊谷に戻る小野政次のようだ……。
「アニメーターになりたかったのね」
「はい」
「早く言ってよ、恥かいたじゃない」
あーっ、こいつは危険です。
自分で一方的に決めつけたことを無視して、相手に早く言えって、おい!
ただし、同時にそのことを反省します。
あの恥ずかしい宣戦布告。男狙いとにじみ出ているとか云々。あれは酷かった。そのことを素直に認め、謝るのです。
軍師は撤退戦も得意だから、ミスは素直に認めるんです。
意地を張っても時間の無駄だからね。
なつはここで、素直にこう認めます。
にじみ出ているということ。
それを白娘にも指摘してくれたのだと。
なつからにじみ出る才能
なつよ……すごい思考回路だな。
なつからにじみ出ている
→そう言ったのは、あのアニメを理解しているマコ
→白娘の動きからも、感情の動きをにじみ出すようにすればよいのでは?
これを考えて把握し、自分のテクニックに取り入れた。
やはりなつは、才能がある!
こう言われて、マコはうれしそうな顔になります。
なつの自分への気遣いよりも、そういう才能を感じたのかもしれません。
ここで、チクリとあんなおしゃれをしているから誤解したと言い訳をするのです。
マコもおしゃれだとなつが返します。
嫌味ではなく、これは本気。言われてみればマコには、汚れが目立たない以外のオシャレ要素はあるんだろうなぁ。
モテとか、女の子らしさと無縁なだけで。ゴシックファッション的な。
なつはマコにあなたは美大出だし、私なんか十勝農業高校だからと言うわけです。
ここでマコは、笑います。
「ハハハハハ、まるで田舎者だって自慢しているみたい」
なつが戸惑っていると、マコはなつが田舎者であることに自信を持っているはずだと言い切ります。
「どんな自信?」
そう戸惑いつつも、試験を受けられるのはマコのおかげだとなつはお礼を言います。
「あの絵で? あなたには無理よ」
そう言いながら、クールに立ち去るマコ。
マコよ……これは猛者です。複雑怪奇系の猛者です。
なんだかほんとうに恐ろしい人が、また出て来おったわ!
「なんだべ? 油断大敵か!」
なつはそう戸惑いつつ、気合いを入れ直すのでした。
そこへ、陽平がやって来ます。
やるしかないと決意を語るなつに、彼は天陽の話を始めるのでした。
※続きは次ページへ
天陽君となつの手紙のやりとりのシーンは岩井俊二監督の「ラブレター」の最後のシーンを思い出しました。
天陽君が書き出した絵が気になります、
ブレザーの襟と肩までの髪の人物、
なつはおさげのセーラー服だったから
違う、よなあ。
次のカットでは下書きの曲線。
天陽君の気持ちは絵に出るはず。
なつの試験の絵は下書きの線が多い、
大丈夫?バサバサしていたなあ?
二人の絵にハラハラしました。
訂正します。
×驚異 → ○脅威
「再試験」と言っても、本来その試験は、6ヶ月間実務を積んだ人を対象としたもの。やっぱりそうそう甘い話があるわけでない。
「主人公補整」に慣れてしまうと、つい「今度は合格するのでは?」と思いたくなりますが、またひとひねりかけてくるかもしれません。
試験での隣席の女性(渡辺麻友さん演)も気になりますね。今後どう関わってくるかな。
マコのかけてきた言葉も、味があります。「敵ではない。でも利害は一致しない(←実はなつの能力の片鱗に驚異を感じ始めている)」という感覚のようにも受け取れました。
過程→家庭も修正した方が良いと思います。まゆゆがどんな演技見せるか注視したいです
「口を吹け」→「口を拭け」 揚げ足とられると嫌なので訂正検討してください
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