先週はこの話題作が地上波初放映でしたね。
いや〜、演技が素晴らしかった!
ここまで演技力のある女優を使いこなせないって、罪以外のなにものでもありません。まぁ、あのドラマのことですけれどね。
池脇千鶴さんの熱演にも目を奪われました。
大森氏の『風林火山』でも存在感ありましたもんね。
フロンティア(開拓地)の女
なつはなんと、取材を受けております。
『週刊文夏』の「フロンティアの女たち」というコーナーだとか。
時代を切り開く女性アニメーターというわけです。
開拓地の女!
泰樹も納得することでしょう。
北海道から上京して7年目にして、今なお子供の頃の夢を見続けているようだと語ります。
広瀬すずさんはなつにぴったり。
夢を見ている純粋さが出ています。
その出来上がってきた雑誌を読んで、亜矢美も感心しています。
「できる女って感じ!」
「目立ちたがり屋みたいで……」
そう照れるなつ。
これも彼女の性格で、目立ちたいわけではないのですね。
アニメーター試験で腕を振り回す。
階段や廊下で動きの確認をする。
服装が個性的。
言うことがキツい。
こういう言動で以って、目立ちたがり屋だの、アピールがウザいぶりっ子だの、そういう的はずれな指摘は困ったものです。まぁ、揚げ足取りですね。
亜矢美は雑誌を大量に買い占めております。
なんでも常連さんに売るみたいで、彼らも欲しがっているそうです。大好きな女将の娘みたいなものですからね。
本屋の営業妨害では……となつに突っ込まれますが、そもそも茂木社長の店から買ったそうです。ははっ、なかなか商売上手、持ちつ持たれつですね。
家族や信哉には送ったのか?
と聞かれると、なつは照れております。信哉は現在札幌の放送局勤務だそうです。
札幌といえば、駅のすぐ裏に北海道大学のキャンパスもありますよね。
大学を出たあと、あの軍師は何をしているのやら。
まぁ、広い街ですから、そう偶然に夕見子と会うとは限りませんが。
それでもなつの記事は買っていることでしょう。
なつはこう呟きます。
「千遥に送れたらいいのにな……」
「きっとどこかで見てるって」
亜矢美が励ましつつ、店内のポスターに目をやれば、漫画映画『わんこ浪士』に、
「奥原なつ」
の名前は掲載されるようになっておりました。
目標達成ですね。
なつぞら70話 感想あらすじ視聴率(6/20)天才なんだと褒めたいけれど……「絶対見てるって!」
そう亜矢美が励ます中、咲太郎とレミ子がやってきました。
ちょっと髪型も変えて、服装もオシャレになって、すっかり社長ですな。
蘭子と雪次郎の関係は?
服装と態度でから【仕事が順調だとわかる】このセンス。
なんでもレミ子は、少年役として主戦力だそうですよ。
野沢雅子さんみたいですね! あっ、世代的にも近いかな。
一方、訛りのダメ出しされてしまった雪次郎は克服したようです。
よかったなぁ。
それだけでなく当たり役も見つけた様子。
ここで藤井ディレクターもふまえたアテレコ場面が出てきて、雪次郎の提案したセリフのアレンジが蘭子たちに褒められます。
このアテレコドラマは『ビューティフル・ナンシー』。
『奥様は魔女』あたりがモデルですかねぇ。
強気な妻・蘭子と、気弱な夫の雪次郎が当たり役なんだとか。
劇中の台詞も面白い。
「二人とも料理を作って、おいしいほうが作るのがいいでしょう!」
と、妻の提案。
やはりこのあたり、ジェンダー観点を意識しているのかなと思わせます。
このドラマは夕見子が絶対好きでしょ。
って……んん?
強気な妻と弱気な夫か。やっぱり夕見子と雪次郎は縁がつながっているのかな?
そんな当たり役のせいか。
劇団内では蘭子&雪次郎カップルの噂で持ちきりだそうです。
しかも、この手の噂はもう事実だというのが劇団あるあるのようで、咲太郎もそう言い切ります。
なつだったら何か情報を知っているのではないか?とレミ子が聞いてきます。
「恋の噂は当たってる。昔からそう」
亜矢美も自分の経験とあわせて、納得しているんですね。
「なつの職場もそうだろ」
咲太郎が言うと、なつの脳裏にはバレーボールで失敗する坂場の姿が浮かぶのでした。
なつぞら96話 感想あらすじ視聴率(7/20)結婚で男女が失うモノの差よおっ?
坂場が好きだったか……。
彼の面倒臭さを理解できるのは、なつぐらいしかいないもんね。
これは予想が外れたな〜。
夕見子先駆けの法則を考えると納得できるかもしれません。
あれもじいちゃんと似た【表裏比興】が好きでした。まぁ、高山は上辺だけの偽物でしたが。
つまり、なつは坂場に恋をして失敗する?
それとも成功する?
どうなるんでしょうか。
モデルの方はプライベートな情報を非公開としていました。
つまり、ドラマとしてはそれもありかな?
うーん、ひねりにひねるそういう着地点。
騙された感があって好きです。
あこがれの気持ち
なつは噂の真相を究明するため、雪次郎の部屋に行きます。
名目上は、雑誌掲載を話すためか、雪次郎の前に週刊誌を差し出しつつ、挨拶するわけです。
雪次郎は喜んでいます。
柴田家には恥ずかしくてまだ言えないというなつ。
彼女の羞恥心はかなり独特です。
階段や廊下での奇行はできても、雑誌を見せることは恥ずかしい。そういう人がいてもいいでしょ。
雪次郎は興奮します。
帯広でも買えるのかとワクワク。これは雪月でも買い占め販売しなくちゃ!
あの三人衆ならやってくれますね。
「演劇、楽しくやってる?」
なつはこう切り出します。
雪次郎は、レミ子と咲太郎から何か聞いたのか?と事情を察知します。
「蘭子さんとのことなら何でもねえんだ」
そう言いながら、あぐらから正座になる雪次郎。
この仕草ひとつで、彼女への敬愛がわかりますね。もう崇拝ですよ。
「蘭子さんに追いつきたいんだ。魂はやっぱりそこにある。惚れたのなんだの、そったらこと言ってる場合でねえ。芝居が好きなように、蘭子さんが好きだ!」
雪次郎っ、むしろこっちがお前に惚れたっ!
そう言いたくなるくらい、見事な言葉です。しかも北海道弁入り。いいですねえ。
本作って、そういう恋愛みたいで、そうではない崇拝がありますね。男女間、同性間双方であります。
マダムの咲太郎への思いとか。
茂木のなつへの親切とか。
なつの仲への敬意とか。
そういう憧れと恋愛を混同する――そこへ落とし込んだ上で利用しようとすると、反撃が待っています。抹殺パンチとか。
なつはそんな雪次郎を心強く思ったのでしょう。
こう語りかけます。
「雪次郎は昔のままだ」
「台詞はなまらねえよ」
「んだな」
「んだ!」
出た、「んだ」。これでこそ道産子だべな。
「写真の方が美人だな」
雪次郎がなつをからかう、そんな微笑ましい幼馴染の光景の後、なつの出社場面へ。
※続きは次ページへ
昭和30年代は、確か週刊誌の発行部数が大幅に伸び、地方にも販売網が広がっていった時代。
今回の作中の台詞のように、帯広にも運ばれ、販売されるようになっていたでしょう。
この時代の週刊誌の輸送手段は、おもに鉄道小荷物(※「貨物」とは別です)。東京から各方面に向かう長距離急行列車に連結された荷物車(※「貨車」とは別です)に積まれ、指定された駅毎に卸しながら。北海道へは荷物車を青函連絡船で航送して。
はるばる帯広まで届けられたのでしょう。
こうしてイメージを膨らませてみるのも楽しいです。