なつぞら97話 感想あらすじ視聴率(7/22)鉄腕アトムに斬り込んで

調子に乗ってっと冗談じゃ済まされないからね

職場につくと、同僚たちがなつの顔写真を切り取って、お面がわりにして待っていました。

「夢を見続けたい……奥原なつ」

堀内がそうからかい、なつは照れます。
メンバー全員ですっかり騒いでいます。

ここに仲もいて、大事な話があるから、と会議室へ呼び出されます。

今や仲も中間管理職でした。
作画課長。咲太郎同様、彼も服装から出世がわかります。

茜も呼ばれていると告げると、お調子者の神地がこう言い出します。

「マコさんの時みたいに戦うとか? 美人アニメーター対決?」

すると即座に茜がたしなめます。

「調子乗ってっと冗談じゃ済まされないからね!」

本作は女性がきっちりと怒るからいいですね。

「やだぁぁ〜もぉぉぉ〜!」

「んもぉ〜〜、神っちってばぁ〜〜」

みたいな反応、一切なし。

最近こんなコラムやニュースもありました。

◆立憲民主女性候補は、経歴は多様だが美人ばかり

女性となると、容姿ジャッジで止まる。
そういう助平根性と差別意識が問題じゃないですかね。男性の毛髪量や歯並びに注目しますか?

◆参院選 容姿が争点? 女性対決濃厚の福島 弁士の「美人」発言飛び交う | 河北新報オンラインニュース 

「『他人の容姿に言及しない』という世間の常識に両陣営とも後れを取っている」。上智大の三浦まり教授(政治学)は、野党側は選挙を控えた候補者が弁士の発言に抗議できない構図である点、与党側は女性政治家の役割を外見的な魅力に押し込める点がそれぞれ問題だと指摘する。
昨年5月に成立した政治分野の男女共同参画推進法は政党などに、候補者数をなるべく男女均等にする努力を求める。同法に関する参院内閣委員会の付帯決議には今後、内閣府が女性の政治参画の障壁などを実態調査する方針も盛り込まれた。
三浦氏は「女性政治家が見た目に言及されることこそ障壁の一つ。ハラスメントを許す土壌となるような政治家の発言は厳しく批判されるべきだ」と訴える。

はい、茜さんに叱ってもらいましょう。

「調子乗ってっと冗談じゃ済まされないからね!」

テレビアニメの時代へ

さて、会議では。

当時話題の『鉄腕アトム』のテレビアニメの話になりました。

今年(1963年・昭和38年)の1月から放映されて、話題沸騰だそうです。
実名が出てきましたね。

そして、これからはテレビで漫画を放映する時代だ、テレビアニメ時代だという宣言がなされます。

会社でもテレビアニメチーム結成となり、なつが原画茜が動画という構想を持っているようです。
大抜擢ではありませんか!

企画は猿渡竜男でした。
ずっとあたためて、出してきたテレビアニメ案が『百獣の王子サム』です。

ジャングルに捨てられた少年が動物に育てられ、活躍。やがて百獣の王になる。
なんとなくターザンぽいな、と思いますよね。

モデルはこちらでしょう。

「おもしろそう!」

なつは目を輝かせています。
北海道育ちの彼女にはぴったり。
猿渡は自分がひそかに出していた案だと語り、嬉しそうです。

しかし、演出家デビューとなった坂場は苦悩しています。
暗い顔を見せているのですが……。

こやつは空気を読まんからのぅ。
上司に不満を見せたらどうなるか。そういうことはどうでもいい。

「仲さんに質問です。東洋動画らしくないとは思いませんか。『アトム』と同じように作るということは……」

めんどくささが炸裂してるぞーっ!

仲も苦い顔になります。悩んでいるのでしょう。

低予算で、ちゃちゃっと作る。
そういうコストパフォーマンス重視が『鉄腕アトム』のメリットだと。

「仲さんは、あれがアニメーションだと認めていますか? 僕はそんな東洋動画らしくないものは、アニメーションではないと思います」

仲も認めます。

「それでも作る価値はある……」

彼なりに苦しいんですね。企業ですから金は稼がねばならない。

なつよ、新しい時代の波が押し寄せてきた。
それに翻弄されるか、乗るのか――。

父がそう宣言する、新しい波の週が始まりました。

実名を出していいのか?

本作でも珍しい、実名アニメの登場です。

しかも、これで手塚プロダクションは納得するのか? というぐらい、
【低予算でアニメではない】
と言い切られている。

度胸があります。
坂場だけじゃない。
スタッフそのものが度胸バリバリです。

前作****における、ライバル企業のモブ雑魚扱いは本当に酷いものでしたが、あれはモデル企業を業界内競合他社が徹底スルーした背景があるのでしょう。

※暑い夏にもマルちゃん正麺

坂場のめんどくささとか。
雪次郎のロマンスとか。
棚上げ状態のなつの恋愛とか。

ともかく気になることはありますが、それは明日以降にでも。

この、朝ドラでライバルを容赦なく描く姿勢。

実はここが大事ではないか? と思う次第です。

以下、別の朝ドラとの比較になります。
朝ドラ枠そのものが重大な岐路に立たされていると私は確信しましたので、おつきあいできる方はどうぞ。

問われる朝ドラの存在意義

2017年下半期『わろてんか』のモデル企業が大変なことになっております。

◆宮迫さん「社長に『会見したら全員連帯でクビ』と」:朝日新聞デジタル

◆ロンブー田村亮、“直会見”で吉本興業と契約解消

◆闇営業、契約書なし、安いギャラ、宮迫の今後…吉本・大﨑会長が答えた60分|BUSINESS INSIDER

ナゼ、ここまで真っ黒けの企業が朝ドラのテーマになったのか?

◆宮迫&亮緊急会見【全文(5)】「『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本が株主やから大丈夫』と言われた」(亮) (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット) 

僕がすごく不信に思ったのが「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本が株主やから大丈夫やからと」言われました。

NHKはどうでしょう。
吉本が株主ではない。建前では受信料だから、特定企業の宣伝禁止。それはそうです。
建前は確かにそうですが……。

◆久米宏、NHKについて「人事と予算で、国家に首元を握られているのは間違っている」 あさイチで発言

政治ニュースとか、社会を伝える、世界情勢を伝える放送局が、その国の国家に人事と予算の首根っこを握られているのは、絶対的に間違っています。先進国にそう事はあってはいけません

NHKだから誰からも自由!
というわけではないでしょう。

ただし、建前ではそうなっている。
ここが厄介です。

NHK朝ドラの役割って何でしょうか?
朝から女性を応援する?
それはどうかな。

この吉本報道関連で、こんなSNS投稿が多数あります。

「『わろてんか』の頃の吉本に戻って!」

「あの感動を忘れないで!」

ほうほう!
朝ドラって人を導くツールとしては優秀ですね。

いやいやいや……吉本は創業当時から黒いのです。
むしろ悪役だった寺ギンの方が、吉本の実際の像には近いと思います。

吉本興業の歴史 何がどう凄い?明治時代から笑いを追求してきた創業者哲学

吉本せい本人も、お笑いが好きで好きでたまらない、という人物ではありません。夫(劇中では藤吉)はひどい道楽者で、彼女は苦労したものです。あのラブラブカップル像はあくまで脚色でして。

食べるために芸能に進出したのです。
息子(劇中では隼也)との確執も生々しいものがありました。

吉本せいの生涯60年をスッキリ解説!ここに吉本興業の歴史始まる

戦後に吉本を大躍進を担った林正之助(劇中では風太)のビジネスは、えげつないことで有名です。

漫才に目をつけ吉本興業を飛躍させた~林正之助の生涯92年をスッキリ解説

劇中では戦後の焼け跡で、
「ここからお笑いを復活させる!」
なんて綺麗に表現して終わっていましたが……。

史実の吉本は、戦後になると、とてもお笑いどころではないと花菱アチャコ(劇中ではアサリ)以外の芸人を解雇しました。
アチャコが残ったのは、どこにもいけないと彼が懇願したからにすぎません。

じゃあ何をしたのか?

米兵相手にキャバレーを始めたわけです。
『なつぞら』の山田正治が見たら眉をひそめそうな、そんな転身でした。

そのあとはプロレス、野球……スポーツに手を出し、テレビで儲かる手応えを得てからお笑いに復帰。

ポリシーはない。
敢えて言うのであれば金勘定のみ。
そういう姿勢はつとに有名です。

漫才のために上方落語を衰退させたことを、本人ですら認めていますからね。
むしろ大阪の伝統と笑いを潰すために動いた。

「大阪落語を滅ぼしたのは、この私です」

落語の歴史~起源は戦国時代の御伽衆で、元祖は江戸時代の安楽庵策伝

反社会勢力とのつきあいだって、今回が初めてではありません。

芸能界と反社会勢力の密着なんて、別にタブーでもない。
そういう傾向はあったものです。

ただ、程度ってものがあるでしょうよ。

◆天下を獲った吉本興業と山口組 「100年の関係」

吉本は実に顔が広いのです。
さまざまな分野に手を広げています。

◆吉本興業がつながる詐欺グループ、官邸、維新の共通点

◆吉本興業が教育に本格進出。NTTと動画配信。大崎会長「吉本は教育の会社になる」|BUSINESS INSIDER

こうした事業推進の一環として『わろてんか』はあったのか?
視聴者に同社のイメージクリーンアップ作戦をするためだったのか?

NHK大阪は、この先どうなることでしょう。
私たちの見えないところで、誰かの顔面が蒼白になり、裁きが下されていても、驚くほどのことではありません。

『なめとんか』もとい『わろてんか』総評でこう書いたんですが。

わろてんか総評『8つのなめとんか』(4/1)

本作に望むことは、3つだけです。
・今後再放送なし
・本作スタッフの大河ドラマスライドだけは絶対になし
・これ以下の作品は作らない――そんな戒め・基準となる
以上です。

実現しそうな流れに、横光諸葛孔明顔になって笑ってしまうというもの。ははははは!

NHK東京は『とと姉ちゃん』で暮らしの手帖側から絶縁宣言され、それで懲りたのか企業タイアップをしておりません。

それが当然です。
受信料を使って半年間特定企業宣伝って、一体どういうこっちゃ。
それが自然な受け止め方ではありませんか。

受信料の使い道とは何ぞや?

あらためて、NHK大阪朝ドラ、企業経営者モデル作品を見てみましょう。

2011年『カーネーション』は、モデルが朝ドラを希望していたから、無罪になりそうではありますが。

問題は、

2014年『マッサン』

2015年『あさが来た』

2016年『べっぴんさん』

2017年『わろてんか』←火元

2018年『****』

ですね。

モデル企業はクリーンであるべきです。
2016年『べっぴんさん』は、皇室御用達ですから、身体検査済みとしまして。

2014年『マッサン』におけるライバルのモデル企業

竹鶴夫妻の実話ベース美談まで削って、ライバル企業を持ち上げていたのは何でしょうか?

◆東北熊襲発言/wikipedia

本日『なつぞら』における『鉄腕アトム』批判を思い出しますと、爽快感すらありました。

それが『マッサン』では、ニッカよりもサントリーに気を使っているのではないかと思うほど、美談にされていた始末です。
そりゃあ、サントリーも、堤真一さんをアンバサダーにするってもんで。

2015年『あさが来た』における五代友厚

史実ではほとんど接点がないヒロインと、ヒロイン夫そっちのけでイチャイチャしていた五代様とは、一体何だったのでしょうか。

教科書にまで掲載される「開拓使官有物払い下げ事件」を、
「マスコミでっちあげで五代様は悪くあらへん!」
とした描写には、びっくりぽんでしかなかったものです。

あの捏造は流石に、一線を超えてはおりませんか?

五代友厚(才助)49年の生涯をスッキリ解説!西郷や大久保に並ぶ薩摩藩士の実力

2017年『わろてんか』における全て

もう、何もかもがアカンかった……。

詳しくは以下のレビューでご確認ください。

◆わろてんかレビュー

2018年『****』

このドラマは、教団員がよくこう叫んでおりました。

「モデルに後ろ暗いところがあるってアンチがうるさいけど、それがどうしたっていうの! ドラマとしてはほっこりきゅんきゅん、いいのッ!!」

今まさにこの言い分が試されそうな展開に、ワクワク感が止まりません。
ドラマそのものは駄作でしたが、その背後の胡散臭さは常にエキサイティング。ゆえに、放送終了後もある意味目が離せません。

差別による広告炎上。

◆「大坂なおみを白くした」日清CMの超時代錯誤 責任者が知るべき「黒人たちの奮闘の歴史」 | 映画・音楽 – 東洋経済オンライン 

ルーツ改変。

◆なぜNHK「まんぷく」は、安藤百福の“台湾ルーツ”を隠したのか

逮捕歴。

◆『まんぷく』では描かれない「安藤百福」もうひとつの逮捕 | Smart FLASH[光文社週刊誌]

主人公夫妻の婚姻関係不成立。

◆日清食品創業者・安藤百福の歴史から「消えた娘」は台湾でホームレスになっていた

そもそも発明したのか?

◆『まんぷく』安藤百福の即席麺「発明は嘘」と異論噴出 | Smart FLASH[光文社週刊誌]

叩けば叩くほど埃が出る点では『わろてんか』とよい勝負です。

モデル企業が政治家とべったりであること。
佐高信氏責任編集・高杉良氏執筆『燃ゆるとき』で暴かれております。

劇中ではライバル側とされた悪事を行っていたのは、モデル側ではないかという逆転現象。NHK大阪朝ドラでは、2作連続発生しております。

そればかりか『わろてんか』と『****』はもうコラボ済みなんですって。

◆吉本興業株式会社との共同開発カップ麺 第2弾 | 日清食品グループ

◆東野幸治、自らのCM起用を「日清さん大丈夫ですか?」と心配! 新商品『カップヌードルナイス』プロモーション発表会

もう見出しだけで笑いそうになるほどの「なんだかなぁ」案件ですよね。
勘弁してください!

まぁ、一連の流れを受けて私から言えることは、これだけです。

こんな真っ黒い京阪神経済史をクリーンアップするNHK大阪。
如何なるミッションが課されているのでしょうか?

そもそもNHK大阪政策は西日本全域をカバーするはずです。
しつこく京阪神実業家だけをプッシュするって、どういうこと?

****教団員のみなさまにおかれましては、再放送お蔵入り、ソフト販売停止も考えられそうなので、録画は消さないことをオススメするしかありません。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!

【参考】なつぞら公式HP

 

1 Comment

904型

昭和30年代は、確か週刊誌の発行部数が大幅に伸び、地方にも販売網が広がっていった時代。
今回の作中の台詞のように、帯広にも運ばれ、販売されるようになっていたでしょう。

この時代の週刊誌の輸送手段は、おもに鉄道小荷物(※「貨物」とは別です)。東京から各方面に向かう長距離急行列車に連結された荷物車(※「貨車」とは別です)に積まれ、指定された駅毎に卸しながら。北海道へは荷物車を青函連絡船で航送して。
はるばる帯広まで届けられたのでしょう。

こうしてイメージを膨らませてみるのも楽しいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA