殺伐プロポーズとその破談。
妹からそれを聞かされ、咲太郎は当然のことながら怒っております。
婚約しておいてそりゃねえだろ!
そう怒る兄に、婚約していたわけではないとなつは言います。
プロポーズらしきものはあった。謎の勝利条件つきで。
なつぞら105話 感想あらすじ視聴率(7/31)坂場と結婚していいのか?なつはしみじみと、
「つまり約束は守ったんだ……うん、もういい」
という諦めの境地に達しつつあります。
が、咲太郎の怒りは鎮まるはずもありません。
「そんな奴と結婚することないッ! 忘れちまえ、こっちから願い下げだ!」
おーい、そんな奴が、今まさに風車へ向かっているぞーい。
あいつがやって来て……そして
「俺に任せろ! 兄ちゃんがもっといい人見つけてやる!」
そう請け負う咲太郎。言動に問題はありますが、さっちゃんの件といい、そこは顔の広さがありますからね。
なつぞら93話 感想あらすじ視聴率(7/17)「したら結婚って何?」そして、そこに……。
【ジャーン、ジャーン、ジャーン!】
げえっ、坂場!
そんなわけで、またあいつがやって来ました。
そっちから来るんだ。毎回、登場の仕方が不穏だぞ!
「ごめんください、突然すみません」
「何しに来たんだよ!」
「謝りに来ました」
「家族会議で、お前のことは忘れることにした。お前なんか認めねえ!」
咲太郎、そこは武力で押し返そうとします。
それもそうなるわな。咲太郎は、あの一連の流れを振り返り、帰れと繰り返します。
「おっしゃる通りです」
ドヤァ……めげない坂場。
メンタルが強いのか弱いのか、ちょっとわからないところがあります。
そしてまた、よくわからん話の切り出し方をしました。
「なつさんは許さなくていいのです。もう一度、話を聞いてもらいたい」
「回りくどいこと言ってんじゃねーよ!」
咲太郎がイラついています。
こういう一般常識に沿ったレスポンスをする咲太郎が、いい味を出しています。
坂場は、咲太郎からいろいろ学ぶことがあるはず。咲太郎には、坂場にはない営業スキルがありそうですもんね。
はい、そうは言っても坂場の話は回りくどくて、かつ長い。
要点をまとめろと言わないで、聞いてあげましょう。
亜矢美、粋な援軍
坂場は、なつの気持ちを想像して、ずっと一晩考えていたのです。
なつが好きだという自分の気持ちの前に、相手のことを考えようとする。
そして、わかったのです。
なつを失った時の辛い気持ちを。
なつ自身の、失いながら生きて来た、そんな人生を。
ぐるぐると考えて、結論に至ったのです。
「あなたの気持ちを考えた。あなたに近づきたくて……それで結局、たどりついた答えは……あなたのことが、心の底から好きだということ。もう遅いかもしれないけれど、心の底からあなたが好きです。心の底から好きです」
「遅くないッ! 生きているんだから、間違ってもいいッ! なっちゃんはへっちゃらだよね!」
亜矢美が、ここで最高のカットインをします。
彼女って、本当にこういうセンスがありますよね。からまった縄を一刀両断する爽快感がある。
彼女自身の悲恋をも踏まえているからこそ、深いものがあります。
なつぞら104話 感想あらすじ視聴率(7/30)癖がすごいプロポーズ才能だけを愛していると言ってしまった坂場の、そうじゃない気持ちもわかっていた。
ただ不器用なだけだ。ならば私が、事態を解決に導くぜぇ〜!
そういう機転があります。
よかった、ここに咲太郎しかいなかったら危なかったかも。さもなくば、最悪、暴力沙汰よ……。
はい、亜矢美のあとはどうするかな?
普通にできないプロポーズ
「お兄さん、どうか許してください! 妹さんを、奥原なつさんを、僕にください! 結婚することを許してください! 奥原なつさんと結婚させてください!」
坂場よ……覚えたこと、メモリに入れていたことを、全部言い出した感があふれています。
噴水の横で、仲と新婚の下山から、プロポーズ文案を全部聞いて手帳にメモして、余さず出してきた感すらある。
今日もちょっとずれているけど、頑張っているぞ!
「バカヤロー! まずはなつの許しを取れ」
咲太郎の軌道修正です。
この未来の義兄弟、割と相性はいいと思います。
兄も弟のズレたところをスルーしつつ突っ込めるし、弟も兄のオラつきをスルーできる。
坂場は、再びなつに向かいます。
「もう一緒に漫画映画を作れないかもしれないけど、どうか、結婚してください! あなたの人生を作ります、一生かけて、あなたの人生を作ります!」
「うん、ありがとう……」
「必ず傑作にします!」
気合いが入りすぎて、ちょっと暴走気味ですね。でも、いい、がんばれ、坂場、がんばれ!
ここで、咲太郎が最高のツッコミを見せます。
「普通でいいんだよ、普通で。キザったらしいこと言うな……」
坂場が【普通】を理解できていないとか、理解しようとしてズレるとか。咲太郎もゆっくり見守っていきましょう。
「僕と結婚してください!」
「はい、喜んで」
いろいろと回りくどいわ、無駄に文学的だわ、順番がおかしいわ、とは思いますが、ともかくやっと一週間かけてここまでたどり着きました……長かったな、よかったな!
「なっちゃんを幸せにしてよ」
「不幸にしたら絶対許さないからな。覚えとけ」
亜矢美と、咲太郎のちょっと物騒な祝福を受けて、やっと抱き合う二人です。
これがきっと、意識して初めてのハグでしょう。
順番がおかしい。普通じゃない。それはそれで、ここまでたどり着きました。
ほんと長かった。見ているこちらまで疲れた……。
※続きは次ページへ
>まるいと さん
私も対の言葉が、より好きです。気づきがあるということ、より普遍的な真実に近いということだと思います。
坂場さんの愛情に関して言えば、一般的な愛情云々は関係なく彼自身で愛情を育んだからこそ真実に近いのかな
個人的には、「ありえないことをほんとうのように」より、最初は対の言葉として出てきてた「ありえないようにほんとうのことを」という表現の方が好きです。
イッキュウさんのなつへの愛も、「普通」の感覚では順番は違ってありえないのかもしれないけどほんとうだと思うし。
そもそも「順番」が違って何が悪いって感じてしまう私もイッキュウさんと似たところがあるのかもです。
仲さんを演じる井浦新さんは、2011年制作のドラマ『陽はまた昇る』で凶悪犯を演じていました。
そのときのインパクトは非常に強烈なもの。その後の井浦新さんは悪役は演じておらず、この仲さんを含め生真面目な役が多かったと記憶しますが、あの凶悪なイメージを思うにつけ、つくづく演技力の高さに驚かされていました。
本作では、「咲太郎に噴水に突き落とされる」というシーンまで。『陽はまた昇る』での役柄は、「突き落とす」などとても考えられない強烈な殺気を常に発していましたから、つい「あ! そんなことしたら…!」などという連想が頭の中を走ったほど。
本作の物語はまた新たなステージに進みますが、仲さん≒井浦新さんの今後にも期待したいです。
「ありえないことが、本当のように」
確かこの踊り場で、坂場が語った目標。形を変えて✨こういう未来につながっていました。
坂場が語った時は、予想だにできなかったこと。
二人の将来に幸多からんことを。
>小原様
確かにそうですね。
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきましたm(_ _)m
坂場がカレーこぼしたのはシャツでなく、ズボンみたいですね。のぶさんも出てくるといいのですが。