なつはあの泰樹ですら、調略で自分を縛ろうとしたら、激怒して振り切った。
イッキュウさんとも、結婚するのであれば愛を証明しろと突きつけ、そのうえで結ばれた。
東映動画にも、仲にも、きっぱりと別れを告げた。
なつは、かわいこぶりっこしたお人形だの、狙いすぎだの、表層をすくい取ってアーダコーダ言う界隈からは嫌われておりますが、むしろ男性の脳天に一撃を入れる、必殺の戦士ではないかと思います。
一人目の戦士・楡野鈴愛。
彼女はまだわかりやすかったかもしれない。だからボコボコに叩かれた。
二人目の戦士・奥原なつ。
練りに練った策謀持ち。知勇兼備ですので、気がついた時は手遅れなんですよ……。
なつに広瀬すずさんをキャスティングしてきたあたり「孔明の罠」にもほどがありますね。
で、これが大事ですが。
三人目以降もまだまだいるぞ!
※かわい子ちゃ〜んと思えば、必殺戦士だった系の……
もう嘘はいらない
さて、愛すべきクリストフ系男子・イッキュウさん。彼はご機嫌よく、子供の面倒を見ていまして。
彼が見ていた千夏と優の前に、姉妹が戻ってきます。
なつは、千夏ちゃんのおばさんだと名乗りました。
「なつおばさん、よろしくね」
「私も、千遥おばさん。優ちゃん、よろしくね」
「もう言っていいんだ! よかった!」
優は喜んでいます。こんな小さな子供まで、嘘をついていたのかと思うと……奇跡が起きてよかった。そう思います。
なつは、改めてマコプロに妹の千遥を紹介します。
「お邪魔しました」
「また来てくださいね」
「毎週、楽しみにしています」
そう千遥が告げるのを見て、皆感無量の顔。
神っちがまたなんかすごいドヤ顔になってるぞ。
千夏と優が「バイバーイ」と手を振り、彼らは去って行くのでした。
僕の中の戦争が終わる
その晩、咲太郎と信哉も坂場家に集まりました。
ここでの信哉がすごい!
杉乃屋の女将こと雅子は、そこまで話の通じない人ではないと調査済みです。誰に聞いても、ちゃんと筋を通す人だとのこと。そうでなければ、大物が出入りする料亭の切り盛りはできないのであると。
どうして信哉がそれをできたのか?
それは彼のマスコミ人脈でしょう。
ちょっとした時間に、政治部あたりの記者に聞けばわかることです。
こんな感じかな。
「なあ、あなたってナンチャラ党のナニナニ議員とつきあいあったよな。神楽坂の料亭で飲んだりするんじゃないか?」
「あの先生は、好きだわな。何? うまい店に行きたいとか?」
「いや、それはまた今度にでも。なら、この女将のこと、知っているだろ」
「ああ、その女将か。噂にはなるよ。名物女将で、それ目当てっていう先生もいるくらいだな」
信哉の推理や捜査スキルって、実はかなり高いんですよね。
ちなみに政治部の記者は、代議士先生を追っかけるために社用車を充てがわれたりもします。
特権階級かよ、クソが。
と思うかもしれませんが、言い換えれば24時間拘束されているようなものであって、全く羨ましく無い状況です。
伸哉の部署は不明ながら、そうしたコネクションはあるのでしょう。
なつの居場所。
咲太郎の居場所。
千遥を引き取った一家の居場所。
全て彼が手がかりをたどって見つけております。そういう環境というか能力があります。
そんな彼が見出した明美ですから、彼女も実力派でしょう。
泰樹、仲、春雄だけじゃない。彼も若い女性の素晴らしい師匠です。
彼一人だけの話ではなく、本作チームにもある。
だから、本作では偶然頼りの展開が少ないわけです。
そんな信哉に、奥原きょうだいはお礼を言います。
「水臭いこと言うなよ。俺にとっても、家族だと思ってる」
なつぞら7話 感想あらすじ視聴率(4/8)「東京に行ったのかもしれん」信哉は忘れられない。
空襲から一年近く、みんなと一緒に過ごした日々のことを。
「あれがあったから、どんなことでも耐えられた」
無駄じゃなかった。
あの苦しい日々も、彼にとっては財産になった。
収監期間や不遇の日々は「死んでいる」。そんな恐怖の価値観はもう、いらないんだ……。
あのとき、幼い咲太郎はこう言いました。
「ノブも暮らそう、俺たちは家族じゃないか!」
信哉はしみじみと、こう言うのです。
「あの千遥ちゃんが家族になったら、僕の戦争も、やっと終わる気がするよ」
心の中の戦争。
政治的に終わっても、個人の中ではそうは終わらないもの。金銭でもない。情緒の区切りが人間には必要です。
ノブさん、ありがとう。
いつまでも家族でいてください――。
そう父が見守るのでした。
女の若さにしか価値を見出さない人たちよ
千遥の離婚の経緯、生々しくて叫びたいほどでした。
嗚呼、その経緯がなんとなくわかるかもしれない。夫の年齢はわからないけれども、演じる渡辺大さんは35歳か。
冷静に考えてみましょう。千遥を演じる清原果耶さんとの年齢差を……ううっ、朝から辛いものがある。
山岸涼子氏の漫画に『黒鳥』という作品がありまして。ジョージ・バランシンをモデルとしたバレエ指導者が、ヒロインに惚れるわけです。そして結婚と。
愛?
いいえ、彼は若い女が好きなだけ。歳をとれば、また次の若い女。それが古くなったらまた別の女。そう取り替えるシステムだった。
女の側が気づいた時は、手遅れなのです。
若い女が好きなことは、男の本能とは言われますが。
それを言うのであれば、武則天だってエカチェリーナ2世だって、若い男が好きなんですよ。
そこは権力勾配です。
男性、特に権力者ですと、若い寵姫を次から次へと取り替えることが、ロマンのように美化されるもの。
けれども、女の側からすればそれはどうなのか?
そこまで踏み込んできた、おそろしい本作です。
で、これは****へのカウンターパンチでもある。
あのドラマは、女の加齢を徹底的にバカにしました。
ヒロインの母である武士の娘は、サンドバッグのようにバカにされ続けました。
ひどい侮辱をされても、義理の息子が若作りにした不気味な肖像画を描けば、丸く収まると言うバカバカしさ。
孫が生まれる女性が、おばあちゃんになりたくないと愚痴るだの。
若いモデルに嫉妬するだの。
ヒロインですら彼女が加齢すると、子作りサービス要員が姪や娘に移行するというゲスっぷり。
その一方で、男は還暦近くになろうとエロモデルに鼻の下を伸ばす、ゲスばかりが揃っておりました。
まさしく【ファイナルオヤジファンタジー 子作りクロニクル】。
本作は、そのプレイヤーごと燃やしに来たようです。
やったね!
誰もがセクシー拷問に萌えるわけじゃない
セクシー拷問。
褌尻無双。
義父と息子で入浴。
もう、そんな悪夢を思い出さなくてもいいとは思いますが。
本作は、****教団関連がお得意だった、そういうゲスな意図にも反撃しておりませんかね?
「女は性的な誘惑には逆らえないんです!」という、古典的な差別がありまして。
男女間の性的な感覚は同じか?
どちらがすごいのか?
それは判別できない。
となると、どうなるか?
権力側が好き勝手に規定できるんですよ。
で、女は性的に弱いから、男の魅力でメロメロになるという神話が生まれます。
始皇帝の母とか。
参考 始皇帝~史実の生涯50年を最新研究に基づきマトメ!武将ジャパン道鏡伝説とか。
そのへんを冷静に考えたほうが良さそうです。
そういう【女は性奴隷にできる】神話の結果、「江東マンション神隠し殺人事件」のような凄惨な事件も発生しております。
****に手厳しいと言われましたが、どうしたって私はああいうセクシーで釣る悪ノリを見逃せなかった。
男性のセクシーをちりばめること。
それに欲情していると投稿すること。
踊っている方は「萌え〜」と無邪気にはしゃいでいるだけで、なんでクソレビュアーにそこを指摘されるのか、お怒りのようでしたね。
でも、私のせいじゃないんです。
そういう狙いを出して来た側。
投稿して「私の推しも、あんなふうに拷問にあって欲しい!」と萌え萌えしていた側。
それをネットニュースにした側。
みんな一致団結していたでしょう?
そこを指摘したら激怒するって、どういうことでしょうか?
わかっていて、はしゃいでいたわけじゃなかったって?
◆拷問される長谷川博己に萌える女子続出「興奮してすみません…」
おまけに、
「『いだてん』では、時代考証をふまえて褌を出している。サービス狙いじゃない」
という私の意見に対して。
「クソレビュアーは、****の褌は批判したくせに、『いだてん』では性的に興奮している!」
とノリノリで書かれました。
もうね……文脈の違いをご理解いただけませんかね。
私は、全然興奮していませんし、時代考証の観点から評価していたのですが。
【性的興奮でしか物事を評価できない基準】
を私に押し付けられても、困ったとしか言いようがありません。
****教団式の理屈をNHK東京朝ドラにあてはめれば、こうなりましょうか。
「イケメンの萩尾律を振ったり、離婚するなんて、『半分、青い。』の女どもはバカ! リアリティがない!(深層心理:私ならメロメロ〜)」
「イケメンで、衣食住まで世話になっている。そんな夫と離婚するなんて、千遥はバカ!(深層心理:私なら嘘をついてでも黙っている、そういういい女)」
あはたたちの気持ちはわかります。
男のオタクみたいに、女の性欲を肯定されてはしゃいだ、名誉男性になれてうれしかった。
黙ってニコニコ服従することこそが、生存戦略。だからこそ、そうしない女は腹が立って仕方ない!
そういう深層心理でしょう。
私が反撃するまでもなく、きっちりドラマでドラカーリスをする――そんなNHK東京には、今日も祝福と敬意しかありません。
千遥は、もう嘘はつきたくないと言いました。
朝ドラチームにも、同じ決意を固めた人がいるようです。
企業創業者のルーツや発明実績等、何もかも嘘で塗り固めた人々もいました。
放送が終わったからって、あとは知らんぷり?
後回しにした問題。嘘。そういうものは追いかけてきます。
見えないふり。忘れたふりをしていても、形を変えて追いかけてきますよ。何度でも。嘘と決別しない限りは。
余力がある今のうちに、対策を練ることをオススメします。
大ニュースです! 特大の朗報だ!
とまぁ、殺伐としてばかりも何ですので。大ニュースでも!
なつぞら4話 感想あらすじ視聴率(4/4)無理に笑うことはない なつぞら111話 感想あらすじ視聴率(8/6)反対派を動かした菊介の言葉に坂場の魂本作の【五虎大将軍】ことTEAM NACS。
もしかして、五人揃わないのでは?
森崎博之さんの役名も、大清水洋だったしなあ。
4 大泉洋さん(馬超):???????? 前世では、泰樹の嫡男であったが……?
そう思っていた。
大泉洋さんがいないからこそ、あの役名なのかな、なんて。
それが最終週、北海道に深いゆかりのある役として登場するそうです。
待ってました!
『真田丸』出演者も多い。
かつ道産子ドラマに、彼がいないというのは何か足りないものがありましたよね。
最終週まで盛り上がるなあ。ワクワク。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
個人的には千遥の夫にのしかかっていたであろう「男らしさの呪縛」も感じました。
・男(長男)だから、イヤでも料理の才能がなくっても店を継がなくてはいけない。
・男(長男)だから両親の進める好きでもない女性と結婚しなくてはいけない。
・男だから妻を持ち子供をるのは当たり前
…等々。
どんな旦那なのか、気になります。