酒色に耽る——。
この言葉、歴史ファンならばおなじみですよね。
暗君(ダメな主君)にありがちな問題行動で、『三国志演義』だと代表例は董卓と袁術あたりッスね。
綺麗なお姉ちゃんを侍らせて、酒をかっくらってゲヒヒ……というお約束です。
その横で、家臣たちは険しい顔をしているのです。
「ああ、殿……このようなことでは国が滅びますぞ!」
こういう暗君の待ち望まれる退場って、『ゲーム・オブ・スローンズ』ではジョフリーっすな。
なぜ、こんな話をしているかって?
このドラマがまさに、酒色に耽っているからですぞ!
15分間、ほぼ飲み会とエロしかねえ!
【87話の視聴率は21.6%でした】
【酒】飲み会だけはバッチリ入れる
はい、今朝も福子のニタニタスマイルからスタート。
電話を置き、お父さんの夢が叶うのぉ〜とウキウキしております。
しかし、家を抵当に入れていて、しかもあんなショボい万能調理器が夢だと考えると、全ッ然エエ話に見えない。大丈夫か?
このあとが、本日の【酒】パートです。
おでん屋台で酒を飲み、互いを褒め合う萬平と喜多村。もう見ちゃいられない><;
「戦後の復興は俺たちのおかげだー!」
「会社の機密がどーのこーのー!」
なんだこれ。
セキュリティ担当者が忿怒の案件ですよ。
まぁ、最初からそうでしたけどね。部外者のデート相手を会社に連れ込んで機密情報を見せてドヤ顔したり、喫茶『白薔薇』で福子と世良が萬平の開発品について大声で喋ったり。
あ、今朝も福子が『白薔薇』で情報漏洩していましたね。
エレベーターホールや、外食時の会話でも、情報漏洩にはご注意ください。
車内に置く場合、ラップトップPCを外から見える位置にしないでください。
社外ではUSBメモリやSDカードに機密情報を入れて、持ち歩かないでください。
社用スマートフォンは徹底管理しましょう。
わかりましたね?
お願いしますよ。
と日頃から徹底してきたのに、酔っ払った営業上司が気持ちよくなって電車内の網棚に、会社の情報・個人情報ミッチミチ入り、パスワードろくに設定してねえSDD暗号化まで拒否したラップトップを置き忘れたァーッ! ギャアアアアアア!
サーセン、トラウマがぱっくり開いて忿怒してしまいました。
はい、この【飲み会で酔っ払ってセキュリティ意識吹っ飛ばして、情報漏洩ガバガバ、吐き出すのは胃の中身だけならエエんやけどな】案件。
同期のセキュリティ担当者が、ストレスでげっそり痩せていったあの日……そういうのを鮮明に思い出してしまい、もうぶっ倒れそうです。
つらい……とてもつらい(横山光輝『三国志』霊帝顔で)。
本作をビジネスドラマのようだという意見があるようです。
が、こんだけセキュリティガバガバのドラマを作ったら、考証が杜撰すぎる駄作扱いでオシマイですよ。
今にして思えば『半分、青い。』のセキュリティホール描写はリアリティあったんだよな。さほど違和感なかったんだよな……本作はもう、不祥事まっしぐら、真っ逆さまでスゴイ。
あと、この戦後復興を担った自慢もウザい。
「あなたの手柄じゃないのに」という人に限って大声で言いたがりますよね。
むしろあなたの親がその世代で、あなたはその親が用意した好景気に乗っかっただけでしょ。
しかも下の世代にマトモに受け継げず、ボロボロの平成を残した、という。
うん。
『半分、青い。』が叩かれた理由もまた納得できました。
あのドラマは、昭和好景気を引き継げなかったシビアな平成が舞台じゃないですか。
そよ風旋風機の開発なんて、本作とは比較にならないくらいきっちりとコスト計算して、プレゼンしていましたよね。
それも平成は、昭和後半より厳しくて、力をつけないと潰される時代だからでしょう。
そういう中で奮闘する世代を見せ付けられると、何か責められている気分になるから、逆に先制攻撃しているつもりだったんじゃないでしょうか。
朝ご飯の場面すら見てらんない
朝ご飯の場面もいたたまれないです。
毎日遅くまで働く萬平さぁんという図式にしたいようですが、あんな飲み会のあとでは働くフリして家に戻らない、今では【フラリーマン】と呼ばれる人なんですね、という印象。
それと、鈴をコケにしたい脚本と演出なのに、どう考えても彼女が一番マトモです。
「早食いの何がダメなんですか?」
とか聞く萬平のアホさが止まらない。
それも仕方ないと思うしかないほど、福子、萬平、子役二人の食事が見てられない。
ほおばったまま喋るって、いちいち行儀が悪くないですか?
一人だけ背筋がきっちりと伸びて、正論を語る鈴さんが輝いているのです。
来年の大河ドラマが不安になって来ます。
こんな汚い食べ方の明智光秀はイヤです。
光秀って京で身につけたお作法や教養が自慢のエリートで、その洗練性が信長を感心させた人物ですよね。
いや……長谷川博己さんのせいじゃない。他のドラマではまともだ、そう願うしかない……なんだこの絶望感!
【色】画家さん、その態度はセクハラです!
セクハラを解説した本のタイトルでうまいなあ、と感じたもの。
それは、
牟田和恵氏の『部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)』
です。
これこれ。
恋愛とセクハラの区別がついていないことがアカンのです。
【色】パートとなる忠彦一家の話は、完全にセクハラを認識していない図式で、どうしてこんな脚本が通ったのか? と不安になってくるほどです。
ざっと提示してみましょう。
・忠彦が雇用主である以上、モデルとの間には上下関係がある
・そういう職場での話をおもしろいエロ扱いしている時点で、問題外
・裸体を晒すならばカーテンを閉めるのはむしろ当たり前なのに、それに反発する克子以下も異常
・仕事場を平然とのぞき込むことを前提としている、そんな克子以下がそもそも異常
・疑いを晴らせなくてギャースカ言っている暇があるならば、契約書でも作ってその内容を吟味しましょう
・ヌードを描きたいならモデルは私が、と妻・克子が言うならばまあ、マシ。それを義母の鈴、娘二人も言い出すってもう吐き気が止まらない
・画家とモデルという職業への理解がゼロ
・昭和のお色気BGMが酷すぎて絶句
突如、出てきた肌露出シーンに、志村けんのお色気コントみたいなBGMが被せられ、眉をひそめた方も多いのでは?
本件については克子以下の女性陣もおかしい。
結局自分の気持ちしか考えておらず、「私は平気よ!」じゃないっつーの! そんな話じゃない。
さんざん、
「たいして美人じゃないし!」
と繰り返すのも失礼な話で。女性の嫉妬、可愛いでしょ? とか言いたいんですかね。
忠彦を信じていない点で、愛情も何もあったもんじゃない。それだけではなくて、モデルを守ろうという気すらないんですよね。
「美人でもないくせに夫に色目を使う泥棒猫」
そんな見方が前面に押し出されて、彼女が被害者ならば守ろうという気概すらゼロ。まぁ、娘のタカのことすら守ろうという気を見せませんでしたもんね。
要は、本作の女は、ただのエロ対象なんですよ……エロい人間がそこにいるだけ。
だから、義母や娘ですら、
「そんな絵が描きたいなら、私を脱がせてぇ〜」
という、ポルノやエロゲーまがいのことを言ってくる。
徹底的に何かがおかしい設定です。
鈴の年代でヌードモデルなんて言い出すことが異常ですし、そもそも義母ですよね。
なんだ、そりゃ!!!
一応、忠彦が「モデルの仕事も大変なんだぞ」とかなんとか言ってましたが、全体として敬意や理解はゼロ。女性陣は揃って『ただエロい肉体を見せびらかしたいだけの女だ』と思っているわけです。
2019年にもなってよくもまあ、こんな薄気味悪いセクハラを流せるな。
編集さんは3才の娘さんと見ていて予期せぬ露出シーンに絶望感を抱いたそうで、そんなご家庭は全国にごまんとあったのではないでしょうか。
本作スタッフ全員、コンプライアンス研修部屋で合宿してくださいね。
こんなセクハラオヤジイメージがこびりついてしまった、要潤さんのキャリアが心配でなりません……。
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→立花福子のモデル・安藤仁子の生涯
ちょうどBS放送が出勤時間前で習慣になっていて、駄作でもなかなか見放さないのですが、前作の時は、開始前に朝刊を読み終えて画面にちゃんと向かっていたのが、本作では段々とルーズになり、年末位からは新聞を読みながら、耳だけ半分向けているようになりました。
と、これが不思議なことに具合がいいんですね。画面見なくたって筋はほぼわかるし、なんなら少し聞き逃しても意味深な伏線とかとは無縁のストーリーなので、まったく問題ありません。
で、これが究極の朝ドラでは?と思いました。朝の忙しい時間、多少セリフが聞き取れなくても画面を追えなくても、問題ない。翌日、また回想してくれるし、なんなら一回ぐらい飛ばしても、土曜日に解決編が待っているからOKだ。これこそが、〇HKが長年追い求めていた朝ドラの完成形だ!とBKのお偉いさんが呟いたとか。
(単なる私の妄想です。)
「あさが来た」を平行して観ています。「まんぷく」は、会社で流れているから目に入るのですが…。
比較しての批判はいけないと思うのですが、「あさが来た」はやはり、人気のあるよいドラマだと痛感します。キャラクターが明確に個を持っていて、愛着がわく。応援したくなる。人を思いやり、葛藤する気持ちが台詞や視線に表れている。伏線も鮮やかに回収される。歳とともに変化する髪型や衣装、風俗の変遷も描かれている。
翻って「まんぷく」を観ると、落胆しかありません。本当に残念です。
今日の満腹を観ていて気になったのですが、
昭和32年の段階で『アリとキリギリス』のエンディングは2バージョンあったのでしょうか?
昭和40年代まではキリギリスはアリから援助を拒否されて飢えと寒さで死ぬパターンしかなかったと記憶していたので私が生まれる前の時代にアリとキリギリスが冬を仲良く過ごすエンディングが語られていたのにビックリしました。