明治43年(1910年)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインの藤岡てん。
すっかりお年頃のお嬢様に成長したてんは、そろそろ立派な入り婿を持ち、家を継がなければなりません。
そんなてんの目の前に現れたのは、幼い日に出会った芸人の藤吉。
てんと再会した藤吉は、芸人仲間のキースのせいで喧嘩に巻き込まれ、重傷を負ってしまいます。
てんはやむを得ず、藤吉とキースを自宅の蔵に匿うことに。
占い師を呼んでる場合じゃないんでは?
風太は、てんが彼らを匿うことに激怒。
しかしこのまま放り出すわけにはいかないと、渋々協力することになります。
てんたちはこっそりと食料や薬品を調達し、蔵の中に持ち込みます。
風太やトキも、懸命に蔵に人を近づけないように気を遣います。
一方でりんの縁談もせっつかれて、てんはますます追い込まれてしまいます。
伊能栞が忘れられないハツは、評判の占い師を呼んで相性占いをさせるつもりです。
占いをするとか、てんが納得するのを待つよりも、家の今後がかかっていて、しかもこの時代なのですから、ビシッと上から決める方が現実的な気がするのですが、どうしたものでしょう。
蔵の中でも脳天気な藤吉とキース
藤吉とキースは能天気なもんで
「うんまっ!」
「ありがとさぁ~~~ん!」
と大声を出しながら握り飯を食べます。
皆がコソコソしているのに、キースが大声を出すのでなんだかなぁ……風太あたりの気遣いを無駄にしないで欲しいのですが。
藤吉は一応「迷惑かけないようにするわ」と殊勝な口調で言います。
ここで「くすり祭りの舞台に穴を開けたら困る」とキースは言いだし、風太を使い言づてをすることに。
どこまでもパシリにされる風太でした。
(後の)女興行師らしくガツンと言い返したって!
その風太の姿を見つけたのが、恋の邪魔虫リリコです。
儀兵衛としずは、てんの縁談で悩んでいます。しずはてんが笑わなくなったと心配しています。
この調子だとしずは今後てんの味方につくような気がしますが、てんの気持ちを重視することは家存続の軽視にもなりかねないわけで、そのへんの落としどころをどうするのか気になります。
リリコは町の中でてんを見つけると後を追いかけ、藤吉をどこに隠しているのか、あの人はうちのもんや、と詰め寄ります。
てんは守ってあげたいだけ、と言います。
リリコは憎々しげな口調で笑い飛ばします。
天涯孤独の身の上で、同じ芸人仲間として、自分をかわいがってくれた藤吉をずっと慕っていると言うのでした。そんな苦労人で、娘義太夫として稼ぎもあるリリコからすれば、お嬢様が何言うとんねん、と笑い飛ばしたくもなるでしょう。
リリコ、悪役ぽい演出だけど好きだぞ、かわいいぞ。
今のところは、風太とリリコが一番好きですね。
この場面が、てんの困り顔で場面が切り替わるのは惜しいところ。リリコにガツンと何か言い返して欲しい。
そのほうが度胸の据わった女興行師の卵らしく見える気がするのですが。
激怒の儀兵衛が蔵へやってきた!
リリコのことをてんから聞いた藤吉は、誤りつつ仲間だからとリリコとキースを「悪い奴やないんや」と庇います。
確かに二人とも悪い奴ではないとは思いますよ……厚かましいだけで。
てんは「お人好しやなあ、藤吉さんは」と言います。
「可愛い弟妹なんや」と続ける藤吉。
それは謝罪としては、あまりよろしくないのでは。
まあ、そこはてんは朝ドラヒロインなので、家族思いなんだ、と好感度アップするわけなんですけれども。
てんはそろそろよくなったし、大阪に戻れるんやないか、と言います。
というよりも、脚の治療をしている場面もなく、結構元気そうに見えるから、藤吉たちがてんたちに本気で迷惑かけていると思っているのならば、夜半にこっそり姿を消してもよいような気がします。
そんな時、儀兵衛が激怒して蔵の鍵を出せと怒鳴ります。
リリコがこの件を訴えに来たのでした。
キースがあわてるものの、藤吉は高いびきをかいて寝ぼけています。
そしてついに、儀兵衛に見つかってしまうのでした。
今回のマトメ
栞が暴漢から助ける場面以上に、この蔵の中のドキドキは力技というか、「その程度の怪我ならそろそろ出て行こうよ!」と思ってしまって、少々辛い展開でした。ちょっと強引です。
ただし、これが藤吉駄目男、てんは駄目男が好きだと解釈すれば納得できます。
しかし風太と栞と比較して、藤吉のよいところは、顔以外なかなか見つかりません。てんが、自分が守ってあげたくなるような、駄目な男好きだと考えると納得ですが。
栞も風太もしっかりしていますので、同じ状況になったらさっさと蔵を出て行くか、もっとマシな行動を取るはずです。
それではてんは、きっと恋に落ちないんですよ。
思えば初対面の時からグスグス泣いて、チョコレートもらってやっと機嫌が直っていました。
再会した時も嘘の手紙で駄目男ぶりが判明しました。
てんは「もうこの人どうしようもない!」とあきれながら「でも……だからこそ私がついていてあげないと駄目なんや!」と、無意識のうちで心ひかれているんでしょうねえ。
風太は必死で頼れる男になってやるでと思うでしょうし、栞はそれこそ身についた独立精神や西洋流のナイトのような精神まで発揮して、てんをむしろ守りたいとアピールするでしょう。
そうすればそうするほど、てんは「んー、なんかイマイチやわ」となってしまう、と。
そういう描き方ならば、てんと藤吉のカップルにはなんとなく納得できるのです。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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