スカーレット112話あらすじ感想(2/13)【女性】は余計や!

住田は悪い奴でもないし、女性の活躍を褒めるし、支えている。それでも名声に弱いで〜、もっと普通の女も見てくれんとな〜、そう釘を刺すような百合子が面白い。

ちや子は作品を見ています。喜美子がどこで寝るか聞く。あそこでも、ここでも、もう誰もおりませんし、好きな格好で好きなように。

「ありがとう、ほな足伸ばそうか」

「おっ、伸ばそうか」

「寝転がろうか」

「寝転がりましょう」

でろーんとした二人。これぞ、女性同士と言う気がする。

大奥というか、女同士になったらギスギスマウントの取り合いをして、男の話をしている。そういうのはもうええ。

本作のリアリズムは、こういう女子校ノリにあるとも思う。
男の目がないから、好きなだけ取っ組み合って、暴れて、エロい本でも投げ合い、下着が見えそうになってもパタパタしてる。そういうアレやで。

※ほんで男への下克上を企んどるとか

こういうノリがあると、
「なんでこんなん女同士でやんの? 男ならわかるけど」
みたいな意見もある。

それは、女は脳内女子校とか給湯室OL以外は認めたくない。そういう時代遅れの意識やから。

※コレの実写映画ですら、もう古いんやで……

変わらない本質

はぁ〜、あ〜、ふふっ!

そう笑い合い、喜美子はちや子をテレビで見たと言います。

ガーッと喋ってた。
若い男性議員と討論して、向こうが泣きそうだったってよ。

視察やなんや言うて豪遊しとるからや。そうちや子はキッパリ。

あー、かっこええな。ちや子さん最高やな。不正豪遊男性司会議員なんて最初からいらんかったんや!

税金の不透明な用途に切り込むNHK大阪、どうしたん?
なんかこっちがでドキドキして来たで。

ここ数年の大河もなぁ。税金でキャバクラうなぎ三昧とか、子弟を海外留学させ、お仲間の学校を整備する『西郷どん』なんてありましたっけ。

政治を味方につけ、自分たちの楽しい運動会を開催させる様を、無邪気にロンダリングするとか。そういうもんを見せられて来て、ほんまにどないしよかと思っとったところや。

ちや子はかっこええ。

税金の用途に切り込むことを、

「意識高いアピール(笑)」

「難しいことなんでわからない(笑)」

「楽しければいい(笑)」

とヘラヘラ笑いする風潮に正拳突きをする――そんな力強さを見たで。

喜美子は、あの新聞記者時代のようだと思い出しています。

【どつくぞ! おらあぁ〜!】そう叫んで猪突猛進していた、あのころと変わらない。

政治と市民の橋渡ししてるだけや。ちや子は、そうキッパリと言い切ります。

変わったのは先生という肩書と周囲の見る目です。住田はそういう象徴かも。

ちや子は変わってへんという。

ちや子が眩しい!

議員になれば、こんなに特典があって、ボーナスがもらえてウホウホ! そういうことをSNSで書いて、威張っている政治家も実在するじゃないですか。

そこを原点回帰してきた。

市民の声を政治に反映させることこそが使命で、自分のおかげで関心が高まると喜ぶ。そういうちや子を政治に送り込めないのは、退化であり、無関心ではないのか? そこまで来た気がするで。本気やな。

改革っていうのは、奥深いものです。
わかる奴だけわかるギャグをかまして、お仲間同士で笑うとか。やたらと脱いでセクシーにするとか。しつこく決め台詞を言わせるとか<人を小馬鹿にするジョークだの、なんちゃらキャラを仕込むとか。役者にギャーギャー叫ばせるとか。顔芸させるとか。クネクネと不思議な踊りをさせるとか。

そういうSNSでバズるネタを仕込めばええってことやないでしょ。そう思える本作です。

喜美子はここで、しみじみとつぶやきます。

「うちは変わりました。一足繕って12円。ストッキング内職をしていた。それが今や5万です。穴窯でうまいこと焼けるようになって、うちの作品は5万、10万……30万で売れたこともあります」

うれしいことちゃう?
そう聞かれて喜美子は答えます。

「うれしいです。明日のお米の心配せんでええ……ほやけど時々、最近思い出すんです。大久保さんからストッキング内職の金もろて、お父ちゃんと大喜びしたこと」

「あの頃は月給千円やったもんなあ。戻れる?」

今あるもんをぜーんぶ失うてな、目の前に大久保さんがやってくる。

ひとつ、2円、3円で内職。

四時半起きて女中の仕事。

そう荒木荘の頃のことを持ち出され、喜美子は言い切ります。

「四時半起きて女中の仕事、とやあ〜! 言いながらやってやります。体は持たへんかもしれんけど」

「ありがとう。きみちゃんは変わってないよ。きみちゃんは変わってへんよ、変わらへん。きみちゃんはきみちゃんや」

「はい!」

猫背で、ジョーそっくりのあぐらをかいている。そんな喜美子を励ますちや子でした。

本作って変わってますよね。

朝ドラで二月となれば、これまでの苦労を振り返りつつ、ここまで成長したと褒めることがセオリーであるとは思います。

それが、肉体的な老化はふまえつつも、精神は成熟どころか若々しいまま、老いずにいると昇華してゆく。学歴でも肩書でもなく、根底にある生きる力が大事だと訴えかけるようである。

家の仕事をしてきた。
幼い頃から、女の子なんだからそうしろと言われてきた。

そういう人たちを励ますような、そんな強さを感じるのです。

そういうたくましさが、小池王朝のアンリ姫にあるかどうか? 気になるなぁ。

【女性】は余計や!

その夜、喜美子とちや子は初めて流行のパックに初挑戦しました。

「これ、ほんまに? ほんまに肌にええんですか?」

「ええ言うたでぇ。なんかくっさいな、このきゅうり」

「漬け物やから」

「おいしい」

「あっ、よかったです」

よくはないやろ、ちや子、何食べとんねん!

あーっ、これは失敗するやつ!
嫌な予感しかない。喜美子のクリームパックもなんかおかしい。

はい、翌朝。

二人は顔を赤くして、かゆみを感じておりました。やはりか……。

「うー、かゆいかゆい! 1やりすぎはあかんな」

「あかん」

お礼を言い合い、そしてこうよ。

「顔真っ赤やで!」

「そっちもや! 頑張りぃ、女性陶芸家さん!」

「ちや子さんも頑張ってください、女性市議会議員さん!」

ここで二人は、同じことを言い切ります。

「【女性】は余計や!」

赤い顔で手を振って、別れる二人でした。

うーん、この強さ。
ものすごく分厚い女性の友情を見たで。

女同士の友情は薄っぺらい。男同士こそ至高! そういうことは言われとるな。女性自身ですら、なんかそういうこと言うな。BLの背景とかでもな。

それを正面突破粉砕する。
朝ドラもここまで到達したで。

そうきっちりはっきり宣言する本作は、強い!
これぞ2020年代の最先端、そういう意気込みを見た。

ハーレイクインがジョーカーと決別する、そういう時代や!

※ジョーカーなんていらんかったんや!

札束持参で再登場

喜美子は、工房で絵皿のデザイン画を描いております。

そこへ、あの姫君がやってきます。

「こんにちは、先日はすいませんでした。手持ちが足りなくて。100万円と仰ったんで、ご用意して来ました」

そして取り出す札束!
朝ドラで札束……どういう限界突破?

「あれ欲しいねん」

アンリはそう言い切る。

どういうこと?
喜美子だけでなく、視聴者も驚く。

でも、ぞくぞくする。
ハーレイクインの映画予告編で、女性の悪事仲間をふやしていくような爽快感がある。女が団結する流れこそおもしろい。そういう鉱脈を本作は掘り出した。

そらついていけん人もおるわな!

女同士で団結しよか!

議員になったちや子は、どう受け止められるのか? スルーかな?

本作は誤解を解いてゆくからすごい。

最近、SNSでこういう罵声がどこかであがっています。

「下劣な女どもがSNSで女の権利を求めとって、かなわんなぁ」

それはちゃうで。
プラットフォームの問題や。

ずーっと昔から、女性が集団抗議活動をすることはあった。そのたび、下劣だの先人を見習えだの言われてきた。

※サフラジェットとかな。同じことの繰り返しよ……

本作の署名運動とちや子は、キッパリそこに反論してきた。

ついでにいうと、ちや子は喜美子のような人以外からは、えらい嫌われているとは思う。

「ヒステリーババア」

「おかしなおばちゃん」

「男に相手してもらえないブスの成れの果て」

どのへんがモデルかわかります。田嶋陽子さんあたりやろ。

さんざん叩かれていた、彼女の出たテレビを今見ると、

「これ、田嶋先生にケチつけとるほうが論理破綻しとるやろ……」

と、なるそうでして。

‪◆田嶋陽子が日本のフェミニズムにもたらした功罪、なんて書きたくない

じゃあなんで叩かれたか?

そこは芸能界の構造よ。
自分の権利を主張する女なんて、取り上げたくないし、敵だ。だからさんざんコケにして、どうしようもなくて、足を引っ張りあっていると印象づけるのです。

目的のためならば、手段は選ばない。仲間内の噂話レベルでも、ソースとして取り上げる。

私は、自分の意図に沿うか沿わないかは横に置いて、【なんちゃら関係者】のソースはあんまり信用できないと考えてはおります。

発言者の身元はさておき、バイアスや整合性は考えたいところでして。

ですので、本作の主演と脚本家の衝突報道は、信じなくてええとは思いました。そんなもん【女の敵は女】にしたい典型例じゃないですか。

そうしたら、水橋先生自ら来ましたわ。今は、自ら訂正できるからええ時代やな。

そうだと思っておりました。
しょうもない衝突があれば、戸田さんがあんな目の光は出せないと思いますよ。

‪◆「スカーレット」脚本・水橋文美江氏 戸田恵梨香との“衝突”報道を否定「私じゃないことは確か」

今年の大河主演俳優さんも「降板騒動で激怒していません」と訂正していて、大変だなぁ……と思ったものです。

アクセス数が正義であるからには、こういう事態が起きてしまう。

◆‪長谷川博己、沢尻エリカ降板騒動振り返る

そこはそれとして、本作とこの一連の流れを見て、敵の弱点はおわかりになられたかと思います。

女同士が団結すると、恐れる誰かがおるんやで!

協力しよか。
ビール飲んで、寝転がって、パックして。ほんで団結しよか!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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