気色が悪すぎ学歴LOVE
ここでわかってくること。それは、以前も指摘しましたが、前作バッシングの理由です。
あのドラマでは、女だってしっかり仕事をして、金を稼ぐ。
男だって、ケアワークで周囲を気遣い、少女漫画を描く。
「#男女格差110位ショック」に対して、果敢にパンチを浴びせていたんです。
そう考えると、前作アンチと本作絶賛がセットであることも納得できるというもの。
いつまでも男女格差がでかい世界に居座りたい人に、不都合な事実を突きつけちゃったんでしょうね。その勇気、ありですとも！
もうひとつ、ドでかい「#男女格差110位ショック」をぶつけるで！
前作が見る側につきつけ、本作はそんなことはしない、その要素について分析しましょうか。
それは、
【スペック以外を見る前作、スペックしか見ない本作】
という点です。
本作の学歴LOVEっぷりは、流石に気持ち悪いと叩かれるようになりました。
・名門大学出ました
・しかも主席です
ってクソウザいわ！
これ、突っ込みたいんですけど、前作で律が脚本家の北川先生と学歴が一部被った描写だったばかりに、こう散々叩かれました。
「生意気な女脚本家の分際で、学歴自慢しやがって！」
いやいや、いやいや。
律は１ミリも学歴自慢なんてしてません。納得できるだけの聡明さは、幼少期からありましたけれども、少なくとも本作の帝大卒連呼、東大一と東太一を掛けるレベルの低い自慢なんてありませんでした。
こうした風潮、こう考えれば納得なんです。
「男の学歴自慢は当たり前、むしろして当然。女には学歴なんて不要だ、黙ってろ、すっこんでろ！ 俺より賢い女なんて見たくもない！ 頭のいい人がいる場所には男だけが座ってりゃいい！」
そういう人、この世界にウジャウジャしていますよね。
残りの教育と保健の2分野で、日本は満点に近い高いスコアを取っている。ただしこの分野は他の多くの国も高得点のため、他の分野が低い状態では、順位は上がらない。
教育に関しては、ジェンダーギャップランキングでは悪くないほう。
ただし、教育分野で男女差別を堂々とやらかしていたことが、今年明らかになり、世界中からドン引きされました。
◆順天堂大「コミュ力高い」は非科学的 心理学者らが抗議声明 – 毎日新聞
おーーーーい！
非科学的だってよーーー！
「スイーツ女は占いだのスピリチュアルだの、非科学的なことを信じるｗ」
って言ってたみなさーーーーん、息してるぅぅぅ？
スペックでしか相手を見られない
学歴自慢って時に危険なんです。
その邪悪さを描いた作品が、今年話題となりました。
姫野カオルコ氏の『彼女は頭が悪いから』です。
◆東京新聞:性暴力、罪の意識どこに 『彼女は頭が悪いから』 作家・姫野カオルコさん
◆“東大の弱さ”って何だ。東大生強制わいせつ事件小説をテーマに東大で語り合った｜BUSINESS INSIDER
◆東大OGが『彼女は頭が悪いから』を読んで思うこと。私たちも「クソ東大生」と同じ穴の狢かもしれない
◆『彼女は頭が悪いから』ブックトークに参加して見えた「東大」という記号の根深さ
また、参加者による発言で「東大生だけど実際はモテないし、ずっと彼女がいないから親にゲイだと思われていた」というものがあった時、その場でクスクス、とかではなく、ブワッとした大きい笑いが起きて衝撃でした。
この関連ニュースで、本作の問題点に迫る部分がここなんです。
名門大学に入ったから、モテるか？
そんなことはありません。
本作のようなドラマでは、イケメン俳優が演じています。女たちも、その学歴に胸キュンしてチヤホヤしてくれます。
けれども、これはあくまでドラマでの話です。リアルじゃない。
こういうドラマを見て、
「そっか、学歴があればモテるんだな！」
「高学歴ハイスペなら、低学歴ロースペなんて、どう扱ってもいいんだ！」
そう思う人がいないと、言い切れますか？
「勉強は大変だけど、いい大学に入れば女にモテるんだ！」
そんなふうに、女をトロフィー扱いするようにならないと、本当に言い切れますか？
本作はそういう社会を後押ししていませんか？
モテと、学歴。
誰か大切な人を見つけて、愛し合うこと。
それは本来、何の関係もありません。
関係があるように人を偽るものがあるとすれば、スペック重視の価値観です。お見合いなんかでは、大いにありですよね。
本作は、まさにスペックでしか異性を見られない男女ばかりが出てきます。
タップすればエロい肉体、イケメンどどーん
安定性のある勤め人と娘を結婚させたがる鈴。
彼女を否定的に描いておりますが、鈴だけがおかしいわけではありません。
・出会ったばかりの福子に、男がいるかどうか見極める萬平
・発明家や画家の妻として、ユニークなステータスシンボルが欲しいだけの福子と克子
・男の学歴を聞いただけで、はしゃぎだす女ども
・タカが周囲に自慢できそうなかわいい女だから群がりながら、よりスペックが高い美代子が出てくれば、そちらになびくロリメン
・女のスペック品定めを大声で喚き散らす神部、世良、ロリメン
揃いも揃って
「入手が楽でスペックが高い相手を探しているだけ」
なんですわ。
まさか、モデルの安藤百福氏の台湾ルーツ削除も、【純日本人にしてスペックをあげてやった】親切のつもりとか？
そしてこのことが、テレビの中だけ完結しているとお思いですか？
違うのです。
パンチラ、セクシー拷問、犬喰い、おいで砲、はだけた浴衣、浴槽でもメガネをかけたままの入浴シーン。
褌尻無双、パンツ乱舞、シャイニング褌股間。
いかがでしょう。
ご理解いただけますでしょうか。
画面の向かい側、視聴者の目にまで、ぱっと見てわかるセクシーアピールをしているんですよ！！
「女の子の胸に興味あるんですか？」
と言ってくる、そういうタップだけでエロ気分が味わえるギャルゲー広告みたいなレベルなんです。
あるいはイケメンサラサラヘアーの男が、イケボでしゃべって「俺について来いよ」って腕を伸ばしてくる乙女ゲー広告ね。
何も考えなくてエエ。
タップすればエエ。
そこにエロい肉体やイケメンがドドーンとある。
って、勘弁してください……。
そういう【スペックで選ぶ】ことの危険性、こだわる悲劇を描いたのが前作でしたね。
鈴愛が律の好意に対して踏みとどまってしまうのも。
マアくんが十歳年上の彼女を愛して感謝しつつも、踏み切れないのも。
「私は相手のスペックに釣り合っているのか？」
「彼女のことは好きだけれども、世間から見れば十歳年上の女なんてなあ……」
そんなふうに、心の奥底に愛があるのに、世間が求めるスペックを考えてしまったからなんです。
ブッチャーの姉である麗子は、年齢というスペック面でのマイナスを気にしており、ブッチャーや彼女の父すらそう言っておりました。
しかし、アメリカ帰りの健人はそんなことをはねのけてアプローチ。
素敵なカップルでしたねえ。
そしてこのスペック重視婚をしたカップルもおりました。
律とより子です。
より子は、律の美しい容姿、エリートとしての経歴に惹かれたのでしょう。
愛情がないとわかってからも、出世して欲しい、スペックをあげろと迫っていました。そうすれば、愛は得られなくても、世間から見ればハイスペック夫を得た勝ち組になれますからね。
でも……結局、律は、愛のある鈴愛に向かいます。
だからこそ前作は賛否両論わかれたんだろうな、って思います。
上っ面な言葉で感動できる作品は作れない
スペックと比べて、心の奥にある愛を求めるっていうのは、そりゃあ受け手も理解してうなずきながら、そうだね、って言い合わないとできない。
できない側からすれば、なんかわけわかんない気取ったムカつく連中がいる。
だからこそ、オマエラの世界なんかぶっ壊してやるからな、ってフツフツと怒りが湧いてくるんじゃないですかね。
そして、自分たちの大好きな、スペックで貶そうとする。
「十歳年上の低スペック女が選ばれるもんか！ ババアの妄想だ！」
「スペックの低いアラフォー同士のラブシーンなんて、誰も見たくない！」
「イケメンで個性がある、そんなハイスペックである涼次に離婚を言い渡すとは、生意気な女だ！」
こういう批判、読む度に意味がわからんね、と思っていました。
しかし【スペックでしか判断できない】のであれば、まぁそうなるでしょう。
ここで、秋風先生から一言。｜
「うわっつらな言葉を並べても、感動を与える作品はできない」
前作は、うわっつらでない言葉を投げすぎたのかもしれない。
それを理解できない側からすれば、ムカつくことだったのかもな、なんて感じます。
そういう考えならば、スペックだけで人を見る本作は、ほっこりキュンキュンできるのでしょう。
本作の闇に迫ると、前作の光も見えてくる。
今朝もそんな再確認ができたわけでした。
※スマホで『半分、青い。』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる！
↓
文：武者震之助
絵：小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ！
体を成してない脚本を渡され、演技指導は的外れ。
それでも番組がコケれば世間は役者ばかりを叩く。
そんな理不尽な中で尽力する役者の方々は哀れとしか言いようが…
願わくば、美代子さんを演じた方が、今後素晴らしい作品、役柄に恵まれんことを。
マァくんやケンティーばかりが言われておりますが、今思えば草太の元カノ（？）も大概だったなあと。
「まんぷく」レビューのコメント欄に書くことではないと知りつつ。
それはそうと、食堂の美代子さん。
今週いっぱい、下手すりゃ今日で退場でしょうか？
願わくば、美代子さんに新しい出会いがあらんことを。
おっしゃる通りで、毎日見ては腹立たしく感じます。
こんな脚本がまかり通るNHKって、大丈夫なんだろうか…。
何にせよ、話を進めるのはいいけど端折り過ぎ。描かなすぎ。
お仕事パートも恋愛パートも全部端折って結局何を描きたいのかしら？
そのくせ男たちが女性の美醜について品定めする場面はしつこく出す。
朝ドラ視聴者がバカにされてるとしか思えない。
登場人物が画面に出ていない時に、何をして生きているのか想像が出来ない。
実在の人物をモデルにしているとはいえ、ほとんどフィクションだと言っておけば、時代考証も何も関係ない、オリジナルの世界だということなのかなぁ…。
なんか、私の生きている世界とは別のパラレルワールドのお話しみたい。
個人的に、好きな役者さんがたくさん出ています。
萬平さんのことも、福ちゃんのことも、好きになって応援したかった…泣
とても楽しみにしていたのに、本当に悲しいのです。
今日のシーンで福子が会社の電話を取るところ。
会社のフロントをやっていると誰の電話かわからないので、
ハイトーンで自社の社名を発するものです。
そして怪しい相手、もしくは打ち解けた知り合いだとわかった瞬間に
ローボイスに変わるものです。
福子は受話器を取る前から怪しい人からかかってきた電話だとわかる演技でした。
今時だとナンバーディスプレーだし、携帯ならかけてきた人物も特定できる。
しかし当時の黒電話もそうですが、今でも相手が見えないからこそ、
受話器を取った瞬間の電話はハイトーンで明るく応対しますね。
（日本の独自の習慣だという話も聞いたことはあります）
これは演技のミスだろう。もしくは演出ミス。だれも気付かない。
現場の士気が低下しているのではないかと勘繰ってしまいます。
プロならこの辺はミスしないと思います。（やる気を失っているのかも）
撮影は一か所であらゆる場面を撮りだめしているでしょうから、
ストーリーの流れもわからなくなっていることも多いでしょう。
だからこそ細かい部分もきちんと管理しなければいけないのだと思いますが、
手抜きをしてしまうと視聴者に勘づかれてしまいます。
良作と呼ばれる作品はそういう細やかな部分も作りこまれていると思いますよ。
半分青いは電話の取り扱い方も巧かった。
母がとうとう今朝いいました。
「このドラマ、すごいつまらないね。わくわくがひとつもない」
それなー。
ボタン連打ゲームだからなー。
母は「半分、青い」を強く好んではいませんでしたが、勢い余って私が買ってしまった秋風本やももたさんのマンガなどを読んだりしてましたし、ドラマの展開は楽しみにしていたようでした。
今日の武者さんのレビューのなかで、
「前作は、うわっつらでない言葉を投げすぎたのかもしれない」
とのコメント、本当にそうだなあ、としみじみしました。
もちろん、私にとっては「うわっつらでない言葉」たちは楽しみでしかなく、一言一句、１シーン１シーンに観ているものに問いかけてくるものがあり、あの15分はしっかりとテレビに向き合わないといけないな、真剣勝負だな、と思える時間であり、１日また問いかけに対する答えを考える、というような密度とメッセージがありました。
確かに、そのような問いかけを受け取りたくない人には、否応なく自分が揺るがされてしまう、恐ろしい呼びかけに思えただろうなとも改めて思います。
そして、今作、ある意味では視聴者が問われているなとは、思います。
武者さんが繰り返し指摘されている差別的な視点に迎合してはいないか、考証や整合性をないがしろにする姿勢を容認してはいないか、自らに問いかけているという状況です。
今日もひどかったです。
「あ～、オレ、オレ、東京財務局だけどォ、お宅のマンペェさんの脱税で
追徴金をもらわないかんことになったんでェ、金額は１０万円！。
係の若いモンが取りに行くんで用意しといてェ。」
電話で金額まで知らせてくる描写に、つい連想しちゃいました。
ありがとう。