「奢る平家」がここにいるぞーっ!
主婦は昼間から豪華ランチで優雅に振る舞う。
妻は喜んでお弁当を作り、お茶を出す。
連日、古臭いジェンダー感を振りまくことに余念がない本作。これには信徒もニッコリでしょうね。
そして、今日もハラスメントを楽しそうに描きます。
主治医である牧の腕前に感謝するどころか、「あのチビ!」とマウンティングする世良。
パワハラから逃げ出した忠彦の弟子を、こき下ろしている克子、タカ、『白薔薇』夫妻。
自分たちの態度に問題があったのか振り返るわけでもなく、罵倒して適性がないと言い出す。
いじめっ子、パワハラ加害者そのままで、見ていて胸が痛みます。
演技指導も異常なのか。
全員の顔があまりに憎々しげで、もうしばらく見たくありません。
こんな報道もあるようですが、あんないじめっ子顔の人が薦める商品なんて買いたくありません。
◆『まんぷく』でドラマ復帰の牧瀬里穂、民放ドラマやCMオファー続々の可能性も|ニフティニュース
別に牧瀬さんの出番で、視聴率回復していませんけどね。
台風の影響を受けた初回が最高記録で、更新ゼロ回。
それが本作の推移です。
そりゃ本作信徒は、前作のいじめ拒否に「こんなのは解決ではない!」と怒り狂うはずですよ。
「逃げる=完全敗北」という認識なんですね。逃げた側は挫折して、泣きながら生きていないと気が済まない。
救いようのないマッチョ思想だわ。
源頼朝や徳川家康のように、大敗北をバネにして捲土重来する――そんなことをされたら悪夢そのものでしょう。
逃げた先で楽しく生きている『半分、青い。』の花野や、津曲の息子・修次郎も許せなくてたまらないのもわかります。
源頼朝にビビりまくった「奢る平家」かよっ!
まぁ、海の底にも都はございましょう。
※諸行無常……
やったフリだけうまい奴ら
本レビューでさんざん突っ込んできたこと。
それは萬平がアイデアを練る場面があまりにないということですが、最高にトレンディな解決策が出て来ました!
「寝室で浴衣ごろ寝している萬平が、起き上がってノートに書くんだ!」
これのどこがトレンディか?
推理してみましょう。
・浴衣姿を自然に出すことで、セクシーに弱い女性視聴者のハートを掴む!
・横に寝ている妻に気遣うことで、愛妻家アピールだ! 夜中に電気つけて妻を起こしておいて、どこが愛妻家じゃ! と突っ込むだけの気力がない視聴者ならば大丈夫だ!
・寝る時まで考えていることで「24時間戦えますか♪」アピールも出来る!
・でも暗いから、ノートの中身を書かなくても誤魔化せる!
って、掃除の時間、机の下にゴミを掃いてちゃんと回収しなかった悪ガキじゃないんだから。
清々しいほどバレバレですごいぞ!
ただ……この寝る時間を惜しむアピールって古いんですよね。
今の常識は、
【きっちり仕事をしたいのであれば、より良い睡眠を取ってこそ】
になりつつある。
この場面で褒めるところは、女神・咲様が降臨しなかったことだけですね。
照明が灯った時点で、
「ハイハイ、今日も女神様ですね」
と白けきってスミマセンでした。
◆「良い睡眠」に高まる関心…仕事の効率向上狙い、社員を支援する企業も : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
「俺、寝てなくてさ~」アピールする層と、いかに効率よく睡眠できるか、スマホやスマートウォッチで記録する層は、根本的に考え方が異なるので話が噛み合わないんですよね。
朝ドラで「日本スゴイ!」のディストピア
そしてラストシーン。
白人数名がカップヌードル試作品を食べる場面は、シャレにならない要素が多すぎて直視できないものがありました。
・ビリーにトムって、中学教科書みたいな白人名だな
・唐突に復活する福子の英語スキル! 途中で話せなくなっていたのに、どうした? また設定忘れたか
・説明もなしに唐突に食べさせるあたりが、無配慮ですね! 好き嫌いや宗教タブーなんて知ったことではないのでしょう。ユダヤ教にも食のタブーが多いのですが
いや、もうさぁ。
やめてくれ。たまったもんじゃない。
最近テレビでしょっちゅう流れている、外国人が日本を褒めまくる番組そのまんまじゃんか。
あれが嫌で、ミュートにしてからとっとと他のチャンネルに切り替える。
飲食店で流れていたらそのまま外に出る。
個人的には、それぐらい嫌なんだ。
しかもアノ手の番組って、外国人と言っても白人が多くありませんか?
人種差別と褒められたいという承認欲求が滲み出ていて、こちらの心まで蝕まれそうで。
ドイツ在住の著者の記事をご覧ください。
◆「日本スゴイ番組」にドイツから見える違和感 日本好き外国人ばかり取り上げても仕方ない | テレビ – 東洋経済オンライン
書かれたのは大学卒業後ほどなくしてドイツに渡った女性ライター(1991年生まれ)です。
かなり思い切りのいい方でしょう。
しかし、若い世代ではそういう感覚もようやく培われてきてるってことです。
本作の信徒だとそのプロフィールを聞いただけで耳を塞ぎそうですよね。
ジャーンジャーン!『即席麺演義』
連日『三国志』がらみで恐縮ですが、こんな論があります。
「蜀漢正統論」というものです。
魏・呉・蜀が三国鼎立し、どの王朝が後漢の正統な後継者なのか?
これはもう議論の余地もなく、当時は決着がついていました。
魏です。
最終的な統一国であり、中原という漢民族の本拠地に拠点があったからには当然のことです。
残りの二国は地方軍事政権という扱い。
これは正史成立時点で決定的であったのですが、後世になるとひっくり返ります。
ざっくり説明しますと……。
・魏晋南北朝の混乱で、漢民族が七割減少という異常事態の出現
【関連記事】三国志時代はとにかく人が死にすぎ
・その結果、漢民族以外の民族が南下し、漢民族が中原ではなく中国大陸南部に押し込まれる状況が続く
・「中原=漢民族」というわけでもないだろう、と思いたい心理が働く
・『三国平話』、『三国志演義』等フィクションの発展と成立により、大衆の間で「アンチ魏!蜀贔屓!」という感情が定着する
【関連記事】『三国志演義』とは?
・王朝側もこれを利用し、関羽の神格化を進める等、蜀人気を認める
【関連記事】関羽は死後が熱い!? 『義』の代表がやがて万能の神として崇敬されるまで
要は、フィクションが歴史を侵食。
劉備が自称していた「漢王朝の子孫」という根拠薄弱な理由から、蜀が正当化されたわけです。
なんでこんな話をって?
何かに似ていませんか?
そうです、日清伝説です。
即席麺の発明者は、安藤百福氏ではなく複数いたことが「史実」でした。
後漢時代には劉備もいれば曹操もいれば孫権もいた、そういうことですね。それが、作り話で人気を得た日清が正統化されていった。
『まんぷく』はいわばそのしめくくり、さしずめ『即席麺演義』ってとこかな。
しかし、見込み違いがありました。
『まんぷく』の作者は『三国志演義』の羅貫中ほど筆が立たなかったのです。
それに視聴者は、根気強く正史を読解し、反論を始めたのです!
なんということでしょう!
……ってところじゃないかな?
※ジャーンジャーン! げえっ関羽!
テレビの役割は変わった
本作を考えるヒントが、コメント欄でご指摘いただいた記事からも見えてきました。
◆テレビ局をやめた僕が全く後悔していない理由 福原伸治「メディアの景色を変えたい」 | GALAC – 東洋経済オンライン
フジテレビが絶頂期だった1986年に入社した著者。
人気番組を手がけてきて、後は引退逃げ切りを待っててもよい――というところでBuzzFeedへ転職した方です。
現在、動画統括部門にいるそうな。
この記事を見ていてしんみりと思いました。
テレビを含めたジャーナリズムは、本来、世の中の真実を伝えるものであったはず。
それが変わってきた。
真実うんぬんよりも、都合のいい虚構を刷り込むツールになっている。
そこまで変わったのではないか?
そう思ってしまうのです。
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↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
※コメントにつきましては、
・まんぷくここが好き!
・まんぷくここがアカン!
という意図でご自由に記述してください。
作品に関するものについては全て掲載しております。
攻撃的な書き込み等については、こちらの判断で削除させていただきますので、あらかじめご承知おきください。
食べ歩きって、カップ麺だと難しくありません?両手ふさがるし…
あと、確か会津藩では食べ歩きNGだったように思います。
誤字脱字だと思います。ご確認お願いします。
2ページ目 朝ドラで「日本スゴイ!」のディストピア
・説明もなしに唐突に食べさせるあたりが、無配慮ですね! 好き嫌いや宗教タブーなんて知ったとではないのでしょう。ユダヤ教にも食のタブーが多いのですが
よろしくお願いします。