「虻田の乱」
そのころ、雪次郎にも大事件が起きていました。
赤い星座で公演する『かもめ』の主役・トレープレフに抜擢されたのです。
その母親役・アルカージナは亀山蘭子。
雪次郎の配役が発表された途端、一人の俳優が立ち上がりました。
【ジャーン、ジャーン、ジャーン!】
げえっ、真田信尹! ではありません。
虻田登志夫です。
演じるのはあの『真田丸』で真田信尹を演じた、栗原英雄さんというわけですね。いやぁ、やっぱり本作はぬかりない。
「理由を説明してください。一人の俳優の私情で決まるなんて、ごめんだ」
真田顔ゆえの陰謀と言いますか。
あの顔でこう言われると謀反感ハンパないものがあります。
要するに、プライベートで恋仲だからって、舞台にまでえこひいきを持ち込むなという訴えですね。
「事実無根だ!」
そう反論しても、周囲の劇団員も立ち上がります。
この配役ならばもう共演できないと言い出すのです。本当に謀反でした。
「仕方ないわね。無理に参加してもらうことないわ」
蘭子がそう言い切ります。
レミ子は座ったまま、様子を見るしかありません。
この顛末をレミ子が風車で語る中、咲太郎はどこか面白がっています。
「噂は本当だったんだな」
おいっ、お前が言うな感があるぞ!
こいつは今まで何人の心を奪ったままにしたのやら。悪い男ですよ。
ともかく、その言い草は雪次郎に失礼。
恋愛による依怙贔屓なんてない、となつは否定します。
しかし、事はそう単純でもありませんでした。
虻田たちも雪次郎の実力は認めていたのです。そして新たな劇団を共に作ろう! と呼びかけるのでした。
うぉっ、本当に謀反だ!
完全に謀反じゃないかー!
この流れで、この配役をする。そういう深慮遠謀にうなるばかりです。
真田一族顔は出てくるだけで不穏ですね。
しかし、雪次郎は謀反を断ります。
蘭子との共演が、彼の夢。
『人形の家』を見たときから、ずっとそのことが夢なのです。
それが、今、劇団を辞めてしまったら、その夢は叶わない。
そう語る雪次郎に、虻田は別れの言葉を告げます。
「ここに留まるのならば、俺たちは先に行かせてもらう」
かくして謀反の背を見送ったのである――そう重々しく語りたくなるような「虻田の乱」でした。首謀者は紛れもなく奴よ。
風車で、その顛末を聞いた亜矢美は、しみじみとこう語ります。
「それは余計に苦しい……」
おでんの鍋を煮込む女将に、なにやら過去がある、と。
ムーランルージュ時代を知る松井と島貫が、やっかみがあったと言います。
やっかみからいじめられたこともある亜矢美。
華やかだからこそ、そういうこともあった。
咲太郎も納得している顔です。そういうことがあったわけです。
「大昔の話よ」
亜矢美はそう語るわけですが、過去の重さを感じさせてきます。
「おとぎ話のようなもの、竜宮城に連れて行く乙姫みたいなもんさ」
そうからかうように語る周囲に、なつはむっとしています。
なつよ、ムキになるのは、恋の噂に君もイライラしているからなのかーー。
そう父が語る中、明日へ。
めんどくさい坂場
今朝も坂場がめんどくさい!
普通の人ならば、上層部に疎んじられていると悩んでいるのなら、ご機嫌伺いでもしそうなものでしょう。
飲み会につきあうとか。
会議では逆らわないとか。
忖度というやつです。
でも、坂場はできない。
そう考える前に、自分の意見をぶつけてしまう。
労働問題だって、見逃せません。
休みを取り、切り替えつつ、生活バランスを守ってこそ。それが労働者の権利です。上層部に睨まれようと、そこは譲れません。
では、悩んでいるのに、どうしてあんな生意気な態度を取ってしまうのか。
ここが彼の難しいところです。
彼は素直なんですね。誠実なんです。まっすぐなんです。
あの引っ掻き回す言動があり、計算高く傲慢と言われた夕見子のことを、なつはこう言いました。
「嘘のない子。こんなに素直な子はいない」
なつぞら95話 感想あらすじ視聴率(7/19)夕見子となつのレリゴー♪坂場も同じ【表裏比興】だから嘘をつかない。
美辞麗句で褒めることは時間の無駄。よいものはよい。褒め言葉もいつもシンプルなものであります。
でも、世の中ってそういう奴を理解しないんですね。
上の立場にいる側に、ニコニコ愛想笑いすることが【素直】になる。
いわば『裸の王様』なんです。王様に裸と言う人は、なかなか受け入れてもらえない。
こういう大胆なのに内向的で悩むタイプには、一点突破お調子者の神地がちょうどいいのかも。
あのコンビの相性までわかるような、そんな本作です。
そんな違った個性が集まって生まれて来た、かけがえのない日本のアニメーション。
◆日本の至宝「京アニ」 狙われた精鋭集まる「第1スタジオ」 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
この打撃のことを、考え続けてしまう今日なのです。
朝ドラが大変なことになった……
はい、以下は2017年下半期の『わろてんか』です。
事実は小説より奇なり。
ドラマより凄まじい展開となって参りました。
◆星野和之さんが吉本興業を辞めた理由は給料トラブル!? 告発ツイートにバンビーノ石山さんも同調 | ニコニコニュース
◆決意、忠誠、入江さん……芸人ツイートに見る「宮迫・田村亮問題」、それぞれの答え
社長の会見で、少しは騒動も落ちつくかと思っていたら。
◆吉本・岡本社長が会見 宮迫さんと亮さんの処分を撤回:朝日新聞デジタル
◆吉本興業社長 クビ発言は「和ませるため」 | NHKニュース
◆「冗談だった」「圧力のつもりない」…吉本社長会見、古い体質露呈 – 毎日新聞
おいおい、どういう冗談や……。
クビ発言で笑えって?
そんなセンスに誰がついていけるんだよ。
リアル『わろてんか』の世界はあまりに凄まじい。
乱世ですよ……もう、朝ドラどころか大河ドラマより過激。
2011年『平清盛』の兎丸も頑張っています。
◆加藤浩次さん激怒「状況変わらないなら、退社」 吉本興業に抗議、『スッキリ』で
『わろてんか』に関しては、NHKが被害者という声もあるようですが。
いやいやいや……調べたらすぐにいろいろ出てきます。
◆精読『吉本興業百五年史』「わろてんか」には描かれない“お笑い王朝史”
劇中の人物で該当者を探すと、栞が一番近い辻阪信次郎と吉本せいの関係なんて、なかなかすさまじいものがあります。
報道機関であるテレビ局が、モデル企業のそのあたりに気づかない方がおかしい。
2017年ドラマの黒いところを、2019年に知ってしまって再放送ができなくなってびっくり!
そんなはずはありません。
メッキが剥がれたら危険と承知で、あのドラマを作ったわけです。
朝ドラ好きだからこそ、信じたい?
そう思いますか?
本来の姿や目的を失っているならば、ファンにだってすべきことはあるのではないでしょうか。
そういう作品に関わってしまい、バイオグラフィーから消えてしまう出演者からすれば、たまったものではありません。
出演者の事件発覚でお蔵入りするものとは、根本的に違います。
『わろてんか』が黒いことはNHK大阪にしたって、織り込み済みであったわけですから。
繰り返すようですが、これは前作『****』も同じです。
あのドラマとタイアップしたかのような記事が新聞にも掲載されていました。
◆「執念でやれば必ず」口癖の父、安藤百福 私は胃潰瘍に:朝日新聞デジタル
これも奇妙な話です。
自社のアーカイブを見れば、あのドラマ主人公夫モデルの逮捕歴と、その収監中にチキンラーメンが発明されたという齟齬は検証できるはずです。
NHK大阪は、ナゼそれをしなかったのか。
ドラマそのものよりも、背景が気になって仕方ありません。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!
そう言えば、みんなの憩いの場だった噴水の池は、埋め立てられてベンチが置かれているだけになっていますね。
仲さんが突き落とされてしまった、思い出?の場所も、ちょっと寂しいです。
先のコメント匿名でした。。
時々、名前を入力し忘れます。すみません。
私も坂場さんのパートナーとして、神地さんの方がピンと来るのですよね…
先週坂場さんが、なつと一生アニメを作りたいと言ったとき、むしろ坂場さんは神地さんとストライクなのになと思いました。
なつは坂場や神地より普通で、アニメの話にアニメ以外の観点が混ざります。坂場さんと神地さんなら、アニメのことだけ考えた話になるんですよね。
ここ、私にとって少しなつぞらの物足りないところです。なつがアニメが好きといいつつも、やりたいことの描写が、「子どもが楽しい」から進まず、少し薄いように思います。ヘンゼルとグレーテルがお蔵入りしたこと、悔しくないのかなあとか、テレビアニメにワクワクなり不安なり、具体的に自分なりの考えが走り出しても良いと思えます。