陣痛に慌てるイッキュウさん。
富士子に対してこう言います。
「陣痛は何分間隔ですか?」
「わかんない! いいから、病院に! 咲太郎さんにも連絡して!」
この会話、短いながら、ものすごく秀逸だとは思いませんか。
イッキュウさんは、富士子のノートにある【適当】が理解できずに苦しんでいました。
陣痛のタイミングを測ることに執着し、ここでも時計をしっかりと持っていましたよね。
そういう両者の違いが、言動に凝縮されています。
この場合、どちらが正解か?
社会では、東大卒男性のイッキュウさんが上だと思いがち。
お産のことだから、年配かつ経験者、そして女性である富士子が正解だと理解されそうですが。
世の中、そう単純ではありません。
この場では、富士子が正解だったということ。
正解とは、その状況に応じて変わるものでありましょう。
母牛とじいちゃんの記憶がそこにある
病院では、柴田家三人、咲太郎&光子夫妻が待っております。
なつは分娩室で唸っておりました。
「もう少しよ、がんばって。痛くてもいきまないで、お腹の力抜いて。陣痛の波に合わせて。ふーふー、ゆっくり息吐いて、ふーふー」
高橋秀子先生が励まします。このセリフにも医療考証を感じます。
しかしなつは、牛の出産を思い出して笑ってしまい、先生に不思議がられてしまうのでした。
泰樹じいちゃんが指揮を執っていた、あの牛のお産。
生まれたばかりの子牛のめんこさ。
「早く会いたい……」
なつが我が子にそう語りかけます。
「もうすぐ、もうすぐ会えるよ。ゆっきり息吐いて〜」
そして院内に産声が響きます。
「生まれた、生まれた!」
「おめでとうございます!」
父のイッキュウさんをはじめ、喜ぶ一行。
咲太郎が父ではないか? と思うくらいハイテンションですが、理由には心当たりがあります。それが咲太郎なのでしょう。
泰樹はホッとした顔で、こう言います。
「ご苦労さん」
ヒロイン出産シーンで男性、しかもじいちゃんが一番目立つというもの、おもしろいものがあります。
これはなかなか、革新的な変化ではないでしょうか。
当時ならば、出産の立会いでできる範囲はこれが最大限のもの。
父親は仕事をしていて、出産後に病院へ駆けつけるというのも一般的でしたから、現実性に配慮しつつ、最大限の思いやりを見せていると思います。
「はい生まれた、元気な女の子」
秀子が取り上げる中、父は感慨深げにこう口にするのです。
本日、私の孫が誕生しました――。
ちょっと引っかかるのは千遥とその子のこと。
ナレーターの父にとって初孫であるかどうかは、保留としておきましょうか。
愛すべき昭和のおっさん・咲太郎よ
なつは病室のベッドで、我が子の顔をスケッチしています。
「もう絵を描くの?」
富士子もこれには驚きます。
疲れているはずですからね。安産かつ、なつの身体が頑健なのでしょう。
「カメラ持ってきたぞ」
咲太郎がドヤ顔でそう言い出し、光子が「そういうことでないでしょ」とたしなめます。いい夫婦だなぁ。
咲太郎は、リッチなカメラを買える己の商才を、無意識的に自慢しちゃったのかもしれない。
父親のようなドヤ顔で姪っ子の誕生を告げていましたし。彼は目立ちたがり屋なんですよね。
咲太郎には、昭和のおっさんメンタリティが凝縮されていると思います。
欠点まみれではあります。
コネ頼り、暴走傾向、飲みニケーション好き、ドヤ顔、気前の良さ、喧嘩っ早い、女癖。
そういう欠点とよいところも紙一重なんですよね。
彼は愛すべき昭和のおっさんなんですよ。
昭和のおっさんである俺はもうダメなのかと自虐的になったり、周囲に八つ当たりする前に、咲太郎のよいところを真似てみるのも一手でしょう。
魅力だってたくさんある。
それは岡田将生さんがイケメンだからではなくて、チーム一丸となって形成した魅力があるんです。こいつのこと、どうしたって嫌いになれないべさ。
例えば、彼は昨日、紙袋をたくさん下げてきましたよね。
なつぞら124話 感想あらすじ視聴率(8/22)素晴らしき凸凹した世界劇中では、出産まで男女がわからなかったと示される。
つまり彼は、男女双方のベビー服を買い込んでいた可能性すらある。それであんなにも多かったのかもしれない。
そういう大雑把な気前の良さも、昭和のおっさんのチャームポイントじゃないですか。
命名はじいちゃんにお願いします
さて、ここで新生児の名前が問題となります。
男か女か、生まれてようやく判明した。
咲太郎は両方考えていた!とドヤ顔で言い出すと、すかさず光子が止めています。
イッキュウさんは、名付け親はなつでも咲太郎でもいいと譲ります。
彼はちょっと特別。父だからと命名権を主張しません。
そういえば、イッキュウさん側の家族が出てきませんね。
彼の上に兄姉がいるということもあるのでしょう。
それだけではなく、あの父・一直は、孫より考古学に夢中になっているのかもしれません。
一直が病室まで来て、妊婦をかたどった土偶講義を始めたら始めたで、うっとうしいと思いますよ。
そういう苦い経験のある妻・サトが止めたのかもしれない。
「土偶というのはねー、妊婦のね、それに出産を表したものも多いんですよ。これはどういうことかと言いますと……」
そうなりかねんでしょ。
なつぞら114話 感想あらすじ視聴率(8/10)絵を描く則ち排泄也して、なつの決断は?
「よしわかった、じいちゃんつけて!」
「わしはいいから……」
「おねがい、じいちゃん。じいちゃんの夢を、少しでもこの子に継がせてやってよ」
「よしわかった。そったら考えるべ」
かくして東京にとどまること一週間。
じいちゃんは名前を考え続け、決めました。
「優」
優しいという意味の「ゆう」。
「なつのように優しい子になって欲しい。願いは、夢は、それだけだ」
坂場優――彼女の人生が始まりました。
そう聞かされ、イッキュウさんも喜んでいます。
富士子は、なつの娘だから優子より優だと納得しています。
イッキュウさんは性格がいいなぁ。
東大卒の俺からすれば単純とか、所詮は農家とか、見下すような姿勢は微塵もありませんね。
「じいちゃん、ありがとう」
なつは心の底からお礼を言います。
そして優と名付けられた我が子を抱くのでした。
泣き出せば「あーごめんごめん」と謝り、皆で誕生を祝福する。そんな光景があります。
なつは、優を抱く泰樹のスケッチをします。
家族のスケッチが、なつの人生を象徴しているのです。
そして名付けを終えると、泰樹と剛男は十勝へ戻っていくのでした。
ゴッドファーザーというか、ゴッドじいちゃんというか、すごいぞ、総大将!
※続きは次ページへ
出産は女性が産むもので、
当時は今より命にかかわる
もので、
なつの北海道の家族は、
心配で、駆けつけたけど、
次男だか三男だかの
いっきゅうさんの両親は、
神戸だかどこかから、
わざわざ来なかったのでは?
長男で初孫ならすぐに駆けつけたかも知れないけど。
じいちゃんは名前を決めるのに
1週間居たのでしょ。
「夫の母が関与するのが当然」という考えを押しつけているだけに過ぎませんね。
やっぱり意味がありません。
これから起こる問題。
例えば子供がいて仕事が出来ない、そのせいで査定が落ちた、保育園がなくていっきゅうさんが復職出来ないなんてところでしょうか。
これら予想される事件もろもろ、いっきゅうさんの実母がいればある程度の解決にはなったでしょうし、通常誰かが指摘するでしょう。
その解決法が放棄されているのであればそれは考えが足りませんし、それで不平を言うのであれば覚悟が足りないと思います。
言葉足らずで申し訳ない。
「脚本の穴」だとか、一般常識がどうこうという投稿がなされていますが、作中のイッキュウさんとなつの行動はごく常識的なもの。
何を仰りたいのか意味がわかりません。
歴史上の有名人や上流階級のお子さんたちは乳母の母乳で育てられたんですよね。母乳はやはり生き物にとってスーパー栄養剤なんだと思います。ただ、出が悪かったり何か事情があるなら粉ミルクにするのも当然だろうし他人が非難することではありませんよね。富士子の不安や疑問はとてもよくわかるし、なつの決めたことを頭ごなしに否定しないで受け入れるのは懐が深いなぁ、いい母さんだなぁと思います。
「その自立心と依存性の低さから来る問題」とは一体何を指すのか説明されていないし。
どのようなことに対して「考えと覚悟が足りない」と言っているのかわかりません。
あなたの反論は相手の反論を茶化しているだけではありませんか。
言葉を弄ぶ骨髄反射的なコメントはしないほうがいいと思います。
ならば、考えと覚悟が足りないとしか言えない。
今後起こるであろう問題は、その自立心と依存性の低さから来る問題としか言えなくなるから。
イッキュウさんとなつの自立性の高さ・依存心の低さゆえ。
別に不自然ではない。
いっきゅうさんの母親の存在も少し謎。
共働きに理解があって、子供も手が離れていて、専業主婦なら一年ぐらい手を貸してあげればいいのに。
特にそのせいで一年間マコさんところいけないなら、親も手を貸すだろうに。
いっきゅうさんの所でも可愛い孫だろうに。
富士子さんが粉ミルクのことで心配していたのって森永ヒ素ミルク中毒事件の一件があるからなのでは?