仰々しく値段を読み上げて、チャラいトークで司会者が茶化して。
ご当地鑑定会で出てくる夫は、俺様の高尚な趣味を妻は理解しないと愚痴り、客席で妻は苦笑いしている。
ちなみにあれは日本の世界そのもので、海外のあの手の鑑定番組はもっと落ち着いたトーンでしたけどね。
芸術が好きなの?
作品に愛着あるの?
金になるから好きなの?
いつまでバブルのつもりなの?
ああいう鑑定団ワールドに天陽の絵が突っ込まれる。
そこでは、彼の夭折すらゼロを増やす要素になるんです。なんとも憂鬱。
それが靖枝が生きている間は回避されていて、安堵しました。
この、夭折盛り上げ展開も苦手です。
『いだてん』の人見絹枝が典型例でしたね。
ラザロの時はそうでもなかったんですけど。
人見絹枝の場合、周囲の過剰な期待、粗雑な体調管理も死因の背景にある。
スポーツ医学未発達の犠牲者という意味では、ラザロを重なる部分もあるはずですが。
それを、珍しい枠の演者が早死にする天才を演じた。そういう論調で盛り上げていて、人見絹枝は二度殺されたと思ったものです。
まぁ、あれはまだマシ。
二度どころか、無茶苦茶なことをされた人もいる。
先に断っておきますが。
今回の天陽と、仏壇前セーブポイント幽霊召喚システム(『わろてんか』)、前作****教団を比較しないでね……。
死者を出すにせよ、全然違うでしょ。
あの天陽は、なつ自身の精神との対話という解釈が成り立ちますからね。
時系列が重要です。
死んでかなりの時間が経過した、完全なる死者でありながら、衣替えや時代背景にも対応している前作****教団女神*様とは全くのベツモノ。
土地に生きる人、夢に生きる人
天災や事故で田畑が壊滅的な打撃を受けた時――。
「農家なんてやっているから、そういうことになる。もっとまともな仕事をやれ」
という心ない意見すらあるそうですが。
それは、土地に宿るものを一切無視して、金を数えることしかできない、悲しい意見だと思います。
人類が進歩して、相対的に第一次産業従事者は減ってしまっている。
仕事なんか選ばなければいくらでもあるだの、土地を捨てて都会に出てコンビニでバイトすればいい、なんてことも言われる。
その一方で、本作や『半分、青い。』にはひどい意見があるものです。
田舎娘は地方でコメでも作ってればいい。田舎娘が都会に出て来て、夢を追って生きる話なんて、朝ドラでやるなってさ。
そんな声をNHK東京が無視しているという分析は、あとにでも。
ともかく、そうした傾向を受けて何が起こっているか。
四方を海で囲まれている日本は、自給率が下がれば恐ろしいことになります。まぁ、その手の詳細なデータや分析は、専門書にお譲りしますが。
産業構造の変化の結果、空気を読むことが求められる時代ではある。
天陽のように、俺が俺でいるために生きて、人生に向き合っている人にとっては、辛い時代ではあるのです。
空気を読んで、ごますりをして、ニコニコ笑って、みんなに合わせて生きていけ。
そうできないお前はバカで役立たず。そう言われる可能性があります。
朝ドラレビューでなんでそんなことまで考えるハメになるのか。
まぁ、何もかも、NHK東京のおかげです。
『半分、青い。』のあたりから、どうにも辛いものがあった。
ドラマそのものが悪いんじゃない。
社会構造そのものに切り込む、そんな実験を始めたのではないか?
今日のなつと天陽を見て、イッキュウさんと靖枝への裏切りだのなんだの騒ぐ層が想像つきますが。
精神的なつながりってあるわけですよ。
それと恋愛が重なることもあるけれども。そうでないこともあると。
『半分、青い。』で、鈴愛と律が河原にいた場面で、こういう投稿を得意げにしていた人が多くて、うーん……とうなったものです。
「あんな田舎の河原で! 男女が抱き合って! 噂になる! そんなことすら想像できない作り手はバカなのね!」
半分、青い。132話 感想あらすじ視聴率(9/1)戦友たちは互いをハグで送り出すいや……そういう【粗探しの人生】って、なんかさぁ……。
この手のタイプが今年は何しているか。
なんとなく想像がつきます。
本作主演女優のバッシングあたりでしょう。
まぁ、いいんでないかい。
そういう噂話大好き論調で、そういう世界で生きるのもいいんでないかい。
どんな人生を歩もうと、全ては個人の責任です。
イッキュウさんも、靖枝も、ちゃんとパートナーと結びついていますよ。
イッキュウさんは無神経なようで、なつの最終回答を知った言動でした。
靖枝も、絵の中に入り込めなかったようで、土の中、畑に入り込んで守ることにした。
彼らだけの世界ではありませんか。
アイデアと生きる、優しいあの子にエールを
次回作まで、NHK東京は何をしているのか。
今からそう言い続けてどうするかってことですけど。
楡野鈴愛にせよ。
山田天陽にせよ。奥原なつにせよ。
次の主役にせよ。
アイデアや発想と引き換えに、辛いことも多い人なのだと思います。
鈴愛は、片耳の失聴以外にもいろいろと辛い性格だったとは思うんです。
それゆえに、あの執拗なバッシングがあった。作中でも、作外でも、彼女は苦しめられました。
天陽にも、なつにもそういうことがある。
自分らしく生きるために、どれほど苦しんだことか。
で、来年の主人公はそれを一番残酷な形でかますとみた。
古関裕而は、風景を見るだけで、想像するだけで、メロディが頭にうかんでしまう。
天陽同様に、芸術専門教育を受けていないアーティスト。そういう人です。
それゆえ、作曲家としては売れ筋を無視してスランプに陥ったこともありますし、その才能を、軍に利用されて死にかけております。
才能があるがゆえに、苦しんでしまう人物なのです。
ワクワクして来ませんかね。
そういう、あるがまま、ありのままの持ち主を、じっくり描く彼らの作品に!
あの二人、言うほど似ているかなぁ
おまけです。
なつ役の広瀬すずさんと、靖枝役の大原櫻子さんですが。
そっくり、双子!
そんなことを言われていると知って驚いているんですよ。
◆「なつぞら」で吉沢亮の嫁を演じる大原櫻子に“ほよ顔”だけはしないで!
「ほよ顔」って、なんですのん。知らない概念ですね……興味もありませんけど。
この記事全体にある、広瀬さんはウケ狙いすぎ〜って、【見る側の偏見のせいで凝り固まっている】だけの気がします。
どうしたんだろ、一体。
んで、本題ですが。
言われるほど似ていますかね?
広瀬すずさんと、大原櫻子さん。
確かにSNS投稿では似ているっちゃそうですけど。
それはメイクやファッション、投稿する時の表情が現代風であるがゆえに、似ているだけではありませんか?
美形とされる顔は平均の抽出であり、似てしまうことは証明されておりますし。
本作を見る限りは、別に似ていないのでは……?
今日の大原櫻子さん、絶賛しかできない、そんな渾身の名演を見ても、ほよ顔云々書き込む人には、深呼吸をおすすめします。
私は、広瀬すずさんと広瀬アリスさんは、姉妹だけに骨格等に共通点があるな〜と興味深く見ておりますけど。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
地平くんがいきなり出てきてますよ!
いつものAKアンチ集団の煩いこと煩いこと。
そこに広瀬すずサンのアンチも加わってTwitterは酷い状況です。
私は広瀬サンの演技が下手だとかほよ顔ばかりとは思いません。
常にペッパーくんみたいな貼り付いた笑顔だったおてんちゃんに比べたら表情豊かですよ。