半分、青い。90話 感想あらすじ視聴率(7/14)徐々にバレてく涼次のクズ性

楡野鈴愛が三十路間近、28才になった1999年(平成11年)の秋。

未来の見えない平成不況の中、鈴愛は、漫画家を断念してバイト生活を送っていました。
部屋に風呂すらない極貧状態の中で、彼女は森山涼次と運命的な出会いを果たします。

出会ってたったの、六日。二人は結婚すると誓います。
そして涼次の家に【お泊まりセット】持参で向かうと、そこには同居人の曲者・元住吉祥平の姿が……。

もしかして二人はデキているんじゃないか?
この結婚はめくらましか?

鈴愛の疑惑が募ります。

【90話の視聴率は21.8%でした】

 

鈴愛の態度に祥平もキレ

鈴愛、暴走自虐モードに突入です。
偽装じゃなきゃこんなスピード結婚ありえない、私はモテない、28年間思い続けた律に裏切られた、うぁああんってな感じ。

おいおい、こばやんとまぁくんはどうしたぁ!?
視聴者と廉子さんも思わず全力で突っ込まざるを得ないし、こんな雑で悪役にされるまとめ方をされた律がとにかく可哀想でしょ! チェロみたいに綺麗な声って褒めてはいるけどさぁ。

ネットでは、朝ドラ史上一番痛いだのアホだのバカだの言われていますが、だがそれがいいと全力でサムズアップしたくなる、この天然っぷり。
涼次はすっかりメロメロで、そんなに自虐的にならないで、と言い出します。

「僕は裏切らないよ。愛とは決して後悔しないこと」
朝ドラとは思えないほど濃厚なセリフに先に痺れを切らしたのは、視聴者よりも元住吉祥平でした。

「やってらんねえ!!」

俺は邪魔なのかよ、ごゆっくりしていきなすって、と変な時代劇口調になったと思うと、空調のリモコンをおもむろに取り出します。
暖房あったんだ……と驚く鈴愛に、涼次は壁についたエアコンを指さします。

なんなんだよ、元住吉祥平!
いちいち面白すぎますって。

立ち上がったところで冷静になったのか。
元住吉祥平が鈴愛に謝ります。

感じ悪かったよな、申し訳なかった。
涼次は本物の弟みたいでさ、結婚するって聞いて寂しかったのかも、と言い出すのです。

ここで祥平のセリフを聞いた鈴愛はハッ!とします。
これはあの、涼ちゃんのポエムでは?

否。
実はあのポエムは『追憶のかたつむり』続編冒頭のナレーションだった!

涼次が慌てています。
どうやらナレーションを気に入って紙に写し、手帳の間に挟んでいたら落としていたんだって。

 

これが「愛し殺される」ということか

場面切り替わりまして、『大納言』です。

田辺はその話を聞くと、騙されて好きになったんだね、とからかいますが、そこは鈴愛、気にしません。
むしろポエムのことを言い出せなくて悩んでいたところがかわいい、って。まったく、恋は盲目ですなあ。

一方で、三叔母の長姉・光江は、涼次の母・繭子の残した通帳と印鑑を涼次に渡します。

結婚資金ということで、ちょっと色もつけたそうで。

お礼を言う涼次に、お礼なら繭子姉さんとあんたのお父さんに言いなさい、と光江。
そうは言うても、こういうのに手をつける悪党もいますからね。いい人なんだな。

そしてこの家の床の間、かなり立派です。元は良いところの家っぽいですよね。

ここで麦とめありも乱入し、もみくちゃにされる涼次。
何泊するのか?
ここで暮らすのか?
と畳みかけられます。

うーむ。これが「愛し殺される」ってやつですな……。

 

小さいころから変わらぬきょうだいの力関係

鈴愛は、草太と電話をしています。

当時の携帯電話ってどんな感じでしたっけ?
特定の番号だけ安くなるサービスとかありましたっけ?

かつてはピンクの電話に硬貨を投入しまくっていましたが、今はまた別のやり方がありますもんね。
個人サイト全盛期もそろそろかな。

草太はあの100均の兄ちゃんと結婚かぁ、と感慨深そうです。

結婚を控えているのは草太も同じ。自分だって相談したいわけですが、そんなことわかるわけもない鈴愛は銭湯に行くために電話を切ってしまいます。

掛け直そうかと?は言いますけど、それだと深夜になってしまいます。草太は断りました。

うーん、小さい頃から変わらないこの関係。
お調子者の姉と、優しくてつい一歩引いてしまう弟。
そうそう。きょうだいって成長しても関係性はそのままだったりしますよね。

 

草太の相手を実は心配している仙吉

そこへ仙吉がやって来ます。
そして、草太より10歳年上、7歳の連れ子のいるひかりさんとの結婚は、本気かと再確認します。

ひかりさんは、岐阜柳ヶ瀬のバーのママ。
柳ヶ瀬というのは、岐阜の繁華街・歓楽街ですね。二次会でちょっと寄って行こうみたいな、夜の香りがする街でもあります。どこにでもあるああいう街ですね。

そんなバーのママとなんて孫は騙されていないかと不安な仙吉さん。
心の真ん中どころかど真ん中で心配しているのです。

仙吉は【だまし討ち】みたいなことはせず、鈴愛の結婚が落ち着いてから持ち出したほうがいい、と切り出します。
そんな女はやめておけとは言い出せない――祖父なりの気遣いです。

気が変わって欲しいのかも。
どこまでも優しい。草太の性格は祖父に似たのかも。

 

この度はお嬢さんを……

そしてその日。ピカピカの晴れた日。
スーツ姿の涼次を連れて、鈴愛が実家にやって来ます。スーツだと本当にしっかりしたイケメンに見えるから困りますなあ。

楡野家の面々はカチコチです。

実物の涼次を前にして瞬きすら忘れたかのようで、壊れたラジオのように同じ話題を繰り返す宇太郎。
声が裏返っている晴。
硬直気味の仙吉と草太。

たどたどしく話していると、晴が草太のお茶をひっくり返すというアクシデントが発生します。
草太、思わす叫びます。

「ちんちんや!」
「ちんちん?」

ここで鈴愛の岐阜弁講座。
「ちんちん」とは【沸騰しているくらい、いやそこまでではないけど、すごく熱い状態のこと】だそうです。

ちなみにお茶うけは栗きんとんです。
岐阜の名物ですね。季節感もあって、こういう細部のこだわりが素敵です。

ここで、楡野一家の顔がどんどん真剣になってきて、それだけでも笑えてきます。
宇太郎の目なんか、もうまん丸です。
着替えて来た草太も、着席。

「あ……このたびは、お嬢さんを、娘さんを」

皆が固唾を飲んで見守ります。
しかし、次の瞬間驚くべきことが起きてしまいます。

「アハハハハハッ、ツボ入っちゃった!」

涼次は、真剣すぎて思わず笑いがこみ上げてしまうのです。
おいおい、何やってんだよ……。ドン引きする草太の顔がものすごくて、もうプライスレス!

ダメなドラマだと、セリフがないと役者さんがどうしていいかわからない顔でボサッとしてしまうのですが、全員バキバキに緊張しているんですね。
涼次だけが空気を読めていない!

思わず廉子さんも、
「あかん、それはあかん、あかんやつや!」
と全力で突っ込む!

 

今日のマトメ「小出しにされる涼次のクズっぷり」

なんだか今週もすごかったなぁ。
今日は会話がともかく面白くて、最初から最後までニヤニヤしっぱなしでした。

現実を歪曲しまくって過去の悲恋に浸る鈴愛。
やってられねえと叫んだあとで、エアコンのリモコンをおもむろに出してくる祥平。
そして楡野家のガチガチになった面々。

誰も彼も演技が最高です。

そして気になるのが、小出しにされる涼次のダメっぷりでして。

【夢見るチャーミング男子、一皮剥けば実は生活力ゼロのクズ】
そんな展開は『わろてんか』の藤吉もそうでした。あれは前半部の魅力をてんこ盛りにするパート、二人のロマンチックな馴れ初めが今にして思えば描写不足でしたね。

本作は、あの雨の中のぐるぐるが、とてもロマンチックでした。
でも、ボクテの言う通り、あれがロマンスの頂点、一番幸せだったときではないでしょうか。

ポエムが実は祥平のものだったこと。
通帳を渡すときの光江のセリフ。
そしてラストの「あかんやつや」。

これ、結婚したら、絶対まずいわ。来週の予告からして不穏やわ。

ただただイライラして腹がたつカップルにならずに、なまじ魅力があるだけにつらくてつらくてたまらない、そういう展開になりそうな来週。
鈴愛の人生は苦くて曲がりくねっているのに、見守るのが楽しみでたまりません。

個人的な話で恐縮ですが、ドラマ好きの知人(年配女性)も、
「久々に毎朝楽しい朝ドラだわ!」
と共感しあってしまいました。

三連休が始まったばかりなのに、もう来週の朝ドラが見たくてたまりません。

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました。
ご覧いただければ幸いです。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

1 Comment

ビーチボーイ

生まれた時からずっと一緒だった律とはほんの一瞬の心のすれ違い、「ごめんムリだ」のたった一言で別れてしまう。かと思えば出会って1週間足らず、人となりもよく分からない(正直、かなり怪しげな)涼ちゃんさんとノリでいきなり結婚の合意してしまう。
そんなハチャメチャな話あるもんか、と批判派がまたブーイング飛ばして来るでしょうね。でも私は別に奇異な感じしませんけど。現実に男女の間って案外そんなふうにアクロバティック(?)な経過をたどりがちなものでしょ、人生は決して機械的合理的にはいかないですよ。
ただ、引っかかるのはたとえばスズメと涼ちゃんの大納言での初対面の時の寝言みたいなやり取り。「ソケットありますか?」「ソケット…ロケット?」…そりゃもちろんロケットとロボットじゃ1字でも大違いだけど、科学の門外漢から見るとイメージが重なり合う面もあります。このところ表面的には律のリの字もほぼ口にしないスズメですが、深層の所ではやっぱり律を引きずる人生が続いてる、それが不意にのぞく場面がだまし絵のように隠されてる。このドラマの展開、本当に巧妙で、油断も隙もならん。

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