どんな事業で失敗したかサッパリわからんがな
このあと、福子は忠彦の絵に驚きます。
こんなに上手なのにナゼ売れないのか。それはこちらとしても知りたい。まぁ、今後もやらんだろうなぁ。
戦争画に協力するかどうか、出てくるかどうかがポイントかもしれませんね。期待はしておりませんが。
このあと、福子が帰宅する場面です。昨日の場面と、防寒具が同じですね。
3月、桜も咲く大阪で、このマフラーは適切なのでしょうか。こういう細かいところから、現場士気の低下予兆を感じます。
そして再び、特に中身のない鈴と福子の会話。
ぴりっと来て、覚えておきたい台詞がないので、レビュアーとして楽といえば楽というより張り合いがなくてシンドイもんすね。
要するに、男の話です。
女は結局男の話かしないもんさ、という偏見も思い出しますけれども、立花と世良も女の話ばっかり。
この戦争の時代に、アメリカという単語すら誰の会話にも出てこないって、意味がちょっとわからない。
鈴は、父親に苦労させられたからこそ、娘は安定した男と結婚して欲しいと言い出します。
父親の経歴が、具体性がなくて曖昧。ぼんやりと事業失敗だけが伝わって来ますが、具体的に何を売り、どうして失敗したのか、そういう話が出てきません。
あるいは仕様ミスですかね。
【ブケムスメプログラム】のアルゴリズム設計がちょっと弱い。
いやいやいや。このあたりもやっぱり手抜きでしょうね。ちゃんと背景を調べて、歴史的なイベントと整合性を持たせて事業を失敗させる流れも書けるはずですよ。
そういうところまで突っ込む視聴者のことは、お呼びじゃないのでしょう。
戦前の貧乏描写があまりに甘い
あと、これは真顔でツッコミます。
あまりにも戦前の貧乏描写が甘くないですか?
タコ部屋って知ってます?
夜逃げは?
身売りは?
戦前におけるリアル貧乏者の子孫としては、ちょっと真顔で突っ込みたくなります。ファミリーヒストリー語りになるので、やめておきますが。
ここがやっぱり、本作が性に合わない理由かも。
戦前の貧乏を描くならば、隣にいた外国ルーツの人々や、彼らとの協力した生活は欠かせないものなんです。
そういう泥臭いものは描きたくない、その気持ちは十分伝わって来ます。
このあと加地谷が
「戦争だから必殺新兵器を作らねばならん」
と言い出します。
うん、そらそうよ。
むしろキャンプでカレーを作るレベルの根菜切断機だけでいいと思っていた立花がおかしい。
念のため、フィクションながら引用しますと、キャプテン・アメリカも、この時代にアメリカが戦争で勝つために作り出したヒーローです。
「日本は戦争しとんのや」
加地谷は言います。
「日本は戦争しとんのや」
お、おう。その認識があって、少しだけ安心やで。
しかし、ここで立花が顔を曇らせるあたりに、朝ドラのご都合主義を感じますね。
この時代、反戦思想をチラッと見せただけで恐ろしいことになるのは『わろてんか』でもさんざん申し上げました。
本作は、それに輪をかけて酷い。
※反戦思想は、この映像1分11秒レベルの悲惨な目に遭いかねません……
そういう切迫感、モデルとなった人物にあった戦時協力が省かれがちであるのが、朝ドラと言えばそういうもの。
ヒロインの愛国的高揚感が、ドラマテーマの食を粗雑に扱われたことから失望感に変わっていった『ごちそうさん』は、ここ数年でも出色の出来でしたが。
立花が、
「俺の発明で兵隊さんが助かって、御国のためになるならば本望です!」
くらい言えば、よかったんですけどね。
そういう思いで戦争協力して、敗戦後に後悔するルートならば、そこに新たな思いも生まれてドラマの展開も面白くなるでしょうに。
このあと、布団で悶々とする福子が出て来ます。
ナレーションもしっとりしています。やれば出来るんやな。こういうのがもっと早く見聞きしたかったな。
その夜、咲が喀血して予断を許さない状態になりました。
真一は家族に心配かけたくなくて、黙っていたんだとか。
病院でそんな悲報を聞くみなさん。
悲しい場面用BGMが流れまして、ここが泣くところということがわかりました。親切仕様ですね。
王道どころか異例尽くし それがどう出るか?
はい、今日もまったり戦前です。
本作は「王道」とされているようですが、むしろ異例です。
たぶん、
実は朝ドラ、あんまり見ていないでしょ?
さては前作アンチだな!
というタイプの人が王道とか言ってるんだろうなぁ、と。
本作は「王道」と呼ばれるほど安全なルートを通ってはおりません。
まずは第一週。
主人公が子役時代からスタートしておりませんし、主人公が生涯を通じて引き込まれるようなテーマとなるものが、ハッキリと登場しておりません。
一応はラーメンなのでしょうが、それも友人や立花と食べて浮かれているだけですからね。
『カーネーション』のドレス。
『マッサン』のウイスキー。
『あさが来た』の算盤。
このあたりと比べると、いかに雑に扱ったか、ハッキリしてくると思います。
主人公の性格や家庭環境をろくに描くことなく、いきなり恋愛への興味から始めるというのは、異例です。
もうひとつ。
戦争の扱いがここまで雑な朝ドラもそうそうありません。
特にアメリカと敵対したことを消そうとする、奇妙な作為を感じます。
さて、ここで半年後、いやもっと早く、本作にぶつけられる言葉を予想したいと思います。
「安藤百福のドラマなのに、ナゼ妻目線にした?」
「安藤百福夫妻のドラマなら、変なアレンジを入れないで、史実通りにすれば面白くなったはずなんだけどなあ」
「事業ろくにやらないで、恋愛推しするのがウザいわ」
何をもってして、このような予想が出てきたのか、と申しますと。
前者は『花燃ゆ』、後者は『西郷どん』ですな。
この二作をハイブリッドした結果になりかねない……と、私は予測しております。
これがもし、女性脚本家ならば、現時点で浴びせられていたことでしょう。
「馬鹿な女脚本家のせいで、史実が台無し、恋愛推しだよ!」
ってね。
ところが、本作は大河執筆経験もある男性だからそうはなりません。
脚本は、性別で書くものではないハズですが。
私にも、そういうアドバイスが届きました。
あの人は大河も書いた立派な男性ですよ、というようなものですね。
いやいやいや。
名前や性別なんかより、大切なのは中身ですから。
私は見聞きしたことを書くだけです。
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
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『まんぷく』や『半分、青い。』全話ほか多数の朝ドラ・大河作品を視聴できます。
スマホでもOKですよ。
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
以下は、まんぷくモデル安藤百福氏の生涯です。
今思えば、ココから話が破綻して違和感を感じる様になった。
私としては加地谷が飛行機の部品を作る契約を取って嫌々な雰囲気になってる萬平にお灸を据える話にした方がマシだった。
こうしておいた方が話がきちんと繋がってたし、萬平の成長物語としても成り立ってた。
3月の大阪は、大阪人にはけっこう寒いです。奈良のお水取りまでは寒いよねと、今でもいいます。当時は今より寒いはずです。
結核に関しては、母から叔母紡績工場に務めていて結核になったとき、住んでいた部屋の持ち物全部を燃やされたと聞きました。これ戦後の話です。おそらく、昭和30年前後。
福子は子役時代を設けた方が、いきなり安藤さんの幼い演技を見せられるよりは、まだ良かったんでしょうね……
野呂さんの缶詰、略して「野呂缶」、今日はついにビーフシチューですか、すごっ(笑)
対米戦争まっただ中の昭和17年、どこをどうしたらあんなアメリカ~ンな缶詰が手に入るのか、是非、教えていただきたいものです。
忠彦さんの絵で謎だったのは、絵の描き方は、イーゼルにキャンバスを立てかけて、どう見ても油絵の描き方なんですが、実際に描きあがった絵を見ると日本画っぽい。咲さんの婚礼の時にお披露目した鳥の絵なんかもまさにそう。これは、実際にモデルになった方が本当に絵を描いていて、しかも日本画家だったらしいのと関係があるのかもしれませんね。まあ、「絵描きだよ、キャンバスに決まってるじゃん」というイージーな決め方でも、このドラマに関しては全然無問題なんでしょうけどw
戦前からラーメンは流行っていて、屋台とか普通にあったみたいですよ。ただ戦時中なので、そろそろ材料不足にならないとおかしいかもしれません。
最初の話では、安藤仁子さんの資料はほとんどないから、ほぼフィクションだということでしたが、でも、缶詰を渡していた人がいたりするのは実話らしいので、どこまでが実話でどこまでがフィクションなのでしょうね……?