まんぷく 12話 感想あらすじ視聴率(10/13)一読オススメ『戦争中の暮しの記録』

克子も忠彦もノンキなもんだなぁ

福子は仕事が暇になったからと、克子夫妻の家でダラダラしておりました。

彼女の人間性も相変わらず見えてきません。
休みのたびに甥っ子姪っ子と遊んでいる「=母性がある」という、エエお嫁さんにはなりますアピールだけは出てきますね。

しかし、趣味とか、どんなものが好きかとか、まるでない。

チャップリンの映画を見ていても頭に入ってこないくらいですし、例えば愛読書なんかあれば一つの個性になりますが、そういうものも一切ない。
ただの嫁スペックアピールしかされないのです。

忠彦は、赤紙が来るまで絵を描き続けるだけだと開き直ってます。
戦争画は出てきそうもない。

それにしても、克子のこの余裕な口調も何なのでしょう。

いつまで好きな絵を描けるかもわからない夫への気遣い。
出征したら幼子を抱えて生きることになる苦難。
そういう苦労への想像力が皆無です。

私の親類は、夫の出征に際してかなり苦しみましたけれどもね。
その直前に撮影された写真を見ると、今でも胸に突き刺さるよう。

そういう戦時中の暗さがなく、ただとぼけた話がダラダラ流れていくだけ。ちょっとした異常性すら感じます。

 

真一は【とりあえず枠】な匂いがプンプン

福子が克子の家に立ち寄ったのは、真一の家を訪問する前振りでした。
姉妹の会話で、真一の話題が出たのです。

なんなんだろう、もう。
福子が自分から義兄を心配して行くという流れじゃダメなのでしょうか。

んで、この真一訪問もなぁ……。

彼が出征することはさておき(さておいちゃいかん気がしますけれども)、咲も亡くなり、死亡フラグに見えてきました。

【戦争なのにヒロイン周辺で誰も死なないのはリアリティがないからまずい。けど、あんまり重要な人物を死なせると視聴者も辛いだろうからの、とりあえず枠】

もう、この人はこの枠入り確定でしょ。

真一は、福子に立花のことを諦めちゃダメだと言い出します。

これで福子が立花のオフィスに向かうわけですが、相変わらず漂うファミコン時代のRPGっぽさよ!

・村人Aの家
・酒場

そういうルートで会話イベントをこなさないと、マップ上にダンジョンが出てこないような、そういう流れを感じます。

なぜ福子を、自発的に立花の元へ向かわせない?
精神的年齢を徹底的に下げたから、こんな会話イベントが必要なのか?

あまりに回りくどくて福子の恋愛感情の切実さも、ワケわからなくなってくる。
いちいち誰かに背中を押されないと、好きな相手の元へも行けないのでしょうか。

本作の恋愛描写は、男性はオセオセで、女性は徹底して受け身。
しかも女性は恋愛に疎くて無知という設定にされていますね。

いざ立花オフィスにやってきても、ほっぺたペタペタ触りつつ、くねくねしながら好意を伝え出す福子。
仕事中に入ってきても、立花は別に怒るわけでもありません。

「私はやっぱり、やっぱり私は……」

そこへ突然、憲兵が乱入してきました。
潔白を訴える立花を、「軍需物資横流しだ!」と言いながら引っ張ってゆきます。

 

とにかく防御力だけは盤石だ、今のところ……

本作とかけて小田原攻めと解く。してその心は?

「鉄壁の守り」
それ以外ありません。

数々の要素で守られています。

◆時代もの:現代モノと比較して考証が必要であり、おかしい展開でも視聴者がツッコミにくい
◆成功したモデルあり:ご都合主義で、ありえない展開でも「実際にモデルはうまくいったから」となってツッコミにくい
◆男性脚本家:「男性様だぞ、へへーっ!」という効果が発揮され、女性脚本家ほど性差別主義者から突っ込まれない
◆演技派俳優を揃えている:芸歴の短い俳優は叩かれやすく、その逆となっている
◆ベタ王道演出:攻めている作品より叩かれにくい
◆素直なヒロインばかり:気が強く、自己主張するヒロインはサンドバッグになる

私はWebメディアの批評はあまり見ませんが、パッと見出しを見る限り、
・前作と比較してよい
・視聴率が高い
ということで、概ね好評のようです。

個人的に非常にガッカリしているのが、台湾ルーツ削除への批判がないこと。
海外ならば、ちょっとありえない反応です。

それでも批判が少ないのは、内容が良いとかより、防御態勢が頑丈だからでしょう。

しかし、小田原攻めを思い出しましょう。

小田原征伐をスッキリ解説! 北条家が強気でいられた小田原城はどんだけ強かった?

本作の壁は分厚くとも、その中身は士気が低く、浮き足だっているように思えます。
まるで手足を縛られて走っているような、不自然な気配も見られます。

前作アンチの追い風も消えてしまえば、崩壊はあっという間に始まることでしょう。

ついでに今日のお薦め書籍紹介しますね。

『とと姉ちゃん』でも登場した「暮しの手帖」による戦時中の生活についての一冊です。

これをNHKが知らんわけも、読んでいないわけもないはずなんだけどな。
なのに、なぜ、ここまで酷いガバガバゆるゆるの時代考証なのか。

来週の憲兵描写、どれだけやらかすつもりなんだろう……。

 

ヒロインの精神年齢が低いのは魅力的?

さて、なぜ福子ちゃんの精神年齢が低いか。
という話は、保科の自己評価の低さにも、関わっている問題です。

ちなみに公式サイトでも、ヒロインを「福ちゃん」と記載しております。
幼さを強調した漫画あらすじもあり、こりゃもう偶然じゃないでしょ、と思うワケです。

先日も紹介したこちらの動画(日本語字幕もあり)で、紹介されております。
SFヒロインの話ですけれども、それ以外のジャンルでもありますよね。

 

動画の15分前後から、結論が展開されております。
ざっとまとめてみましょう。

「この手のヒロインは、男性の恐怖心から生み出されたファンタジーである」

・女性が過去の恋愛経験を通して、男性である自分の評価を下してもらっては困る
・女性が賢くて、反論してきたらビビっちゃう
・そういうのが嫌だから、無知で、幼くて、純粋で、何もかも自分がリードできるヒロインが欲しい
・世界中で自分しか好きにならないようなヒロインならば、魅力的な恋人なり夫なりになるため、男側が努力を放棄してもOK!

本作の福子は、突如現れてパンツを見せ、仕事場でデートの約束を取り付ける立花に、引いたりしない。
保科も、缶詰パクリ野郎や、謎の乗馬医者に言い寄られるだけで、なんだかチョット浮かれたようにも見えてしまう。

うん、チョロくて最高だね♪

ここで、この動画の台詞を引用しましょう。

「無垢であることはセクシーじゃない。経験こそがセクシーだ」

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

U-NEXTでスグ見れる!
『まんぷく』や『半分、青い。』全話ほか多数の朝ドラ・大河作品を視聴できます。
スマホでもOKですよ。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

以下は、まんぷくモデル安藤百福氏の生涯です。

まんぷくモデル安藤百福の生涯96年をスッキリ解説! 日清食品の誕生物語

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート~日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

 

16 Comments

あきら

本当に戦争中の生活についての時代考証が滅茶苦茶ですね。ありえません。福子の友人 敏子とハナがホテルに来て何か食べようという場面の一張羅の服に首飾り、会社が早く終わったからってこれが通勤着?NHKでこれですか。もう視るのやめます。今後は武将さんのレビューだけを楽しみにしています。

ゆきんこ

毎日、楽しく読ませていただいております。

私は「あまちゃん」からの朝ドラウォッチャーですが、確かに大阪制作は防御を固めてる感じです。

「ごちそうさん」はそうでもなかった、
モデルもいない専業主婦で、ヒロインは気が強く自己主張するタイプでした。

前作の鈴愛と違うのは、目立ちすぎて近所の人から煙たがられたり、
息子が戦死して何も手につかなくなったのに、自家農園を放置したと疎開先の義姉に怒られたり、とにかく守られてなかったところです。

フォージャー

私は、朝ドラで戦争を挟む時期を描くなら、戦争の理不尽さや苦しみをきちんと描いてもらいたいと思う。

どんな時代を舞台に選んでも、その時代時代の苦労はあるのだし、昭和10~20年代を描くのなら、その時代に降りかかった最大の苦労に誠実に向き合った作品を作ってほしい。

ごちそうさんやべっぴんさんでできたのだから、今更できないのがおかしい。

miyuki

こんにちは!前回コメントを書かせて貰ったときには、もう少し見てみます!と書いたのですが、頑張って視ましたがもう駄目です!
私はどこが面白いのか、笑えるのか、泣けるのか・・・わかりません。

例えば、召集令状を受け取った人がお国のために役に立てるときが来た!と表面的に話すのはわかりますが、その中に死があることを描写して欲しかったですし
結核で家族を亡くす悲しさを表現するなら、医者にも行かずに悪化させる描写はいらないです。

俳優さんについても、「わろてんか」で桃李や一生さんが魅力なく描かれていたと同じような扱いをされているように感じます。松坂慶子さんに何度も口癖?で「武士の娘です」なんて言わせないで、ここぞと思うところで言わせた方が効果的です。
このドラマをみていると体のどこかが痒いけどかけない!気分に襲われます。

それと、個人的な意見ですが戦争時代を描くドラマはもうみたくありません。
戦争を入れると全て同じような苦労の描写で重苦しくしなくてはいけなくなるからです。反戦を訴えるのなら他でやってもらいたいものです。

私は離脱しますが、武者さんはお体に響きませんようにご自愛ください。

kyoko

武将ジャパンさん、初めまして。最近こちらを知った者です。頷きながら本当に楽しく読ませて頂いています。私は前作「半分、青い」で初めて朝ドラにハマる、を体験し、毎日録画してリピート視聴しました。その続きで「まんぷく」を見始めましたが,正直、勘弁して欲しいと言いたくなってきました。
全てがかつて見たことのある、かつて聞いたことがあるというトーンで彩られています。私は50年近く朝ドラを見ていますが、テレビ視聴歴の長い年配の人ほど被ってしまうネタに飽き飽きして斬新なものを求める、という面があると思います。どうせ年寄りが見るのだからお約束の定番さえ流しておけば、という姿勢が透けて見える気がしてげんなりします。
前作が「半分、青い」でなければ私の評価ももう少し甘かったかも知れませんが、今年のNHKの大河と朝ドラは大変な秀作とひどい駄作に見事に2極分化したなと思います。TVドラマ、テレビそのものが大きなターニングポイントにいると感じられてなりません。

すずめっこ

初めてコメントします。「わろてんか」以来、レビューを毎日楽しませてもらっています。時代考証の視点が新鮮であり、毎回納得させられております。
「まんぷく」は、ストーリーと人の気持ちに繋がりが見られず、面白みが全く感じられないので、早々にリタイアしました。学芸会の劇の脚本並みでは?と思ったりしてしまいます。「半青」では、呼吸や目の使い方だけでも気持ちが充分伝わって来るような場面が沢山あり、役者さんの演技が輝いていました。それに比べて、本作では、力のある役者さんの使われ方が余りにもお粗末だと感じます。
ドラマは脱落しましたが、こちらのレビューはこれからも楽しみにしております。

ビーチボーイさんのご指摘、全くその通りです。
登場人物の会話に全然深みが無いし、話も広がらない。引っかかる所がなにもないから聞いていてつまらない。
かといってさりげない動作や表情で演出しているわけでもなく、ただ単に「考えられていない」だけ。
オープニングを見てもわかる通り、素人目にもBGMや画面効果の使い方も下手だと感じる。

私も半青ロスの症状が酷いです。
全く粗がない訳ではないし、決して鈴愛の性格が好きとかではなかったけれど、あの世界観、人々がいる物語の中へ帰りたいと思ってしまう。
あそこには一人一人の行動理念があり、考え方の違いによるすれ違いや衝突があり、それが自然だった。だから登場人物生きていると感じられた。…いまだに終わってしまったのが寂しくて仕方ないです…。

ひよっこに関しては続編放送が決定しましたね。
これだけの期間が開いての続編ですから、半青もしばらくは希望があるかな!?

ビーチボーイ

武者さんごぶさたしました。
半青ロスの2週間、何の期待もなく見てみたまんぷく、いやもう予想よりはるかにひどい代物です。もちろん速攻でリタイア。私はそれで済むけど、武者さんはこのどうしょうもない番組をまだあと5ヶ月半も毎日論評して叱り続けなきゃならない、とそのしんどさを思うと気が遠くなります。
たとえば、福子と萬平の結婚に反対し「ちゃんとした企業の社員しか認めない」と主張する母親に対して、当事者二人は何の反論もせず黙ってるだけ。これがひよっこや半青ならば、母のこの発言はそこから人物間の葛藤が始まりさまざまに展開していく重要な発端になるでしょう。でもまんぷくの場合は、何も始まらない。広がらない。深まらない。その場限りの言葉のやり取りだけ。(いや、「やり取り」じゃなく言葉の一方通行の方が多いですね。)だから見てて面白くも何ともない。わろてんかと同じです。大阪の制作陣て結局何がしたいんやほんまにイ、と呆れるばかりです。
わろてんかの時と同様、TV画面上でなんか役者さん達が台本の台詞しゃべってるね、って以外何も感じない。ドラマを見る楽しさがゼロに等しいこんな三文芝居を『まんぷく』なんて。こちらは全く満たされないんだから『くうふく』に改名してほしいです 笑

さかな

初めてコメントさせていただきます。
レビューのひとつひとつに共感しています。
私が今作にがっかりしているのは、主人公が「朝ドラ主人公」という記号でしかないところです。
ここまで型にはめられ、個性も思い入れの一つも描かれない主人公は近年記憶にありません。
これをベテラン女優にオファーして演じさせているのは侮辱にさえ思えます。
これが世間にうけているのならば、もはや朝ドラはその存在意義もないのかもしれません。
歴代の朝ドラ達が泣いていると思います。

重航空巡洋艦

「役者さんは頑張っている」という言いぶりも、『わろてんか』のときは、脚本・考証のいい加減ぶり、作品としての致命的な欠点を糊塗し、目を逸らさせるのに多用されていたことが強く思い出されてなりません。

『わろてんか』も終盤を迎え、番組自体の迷走・混沌ぶりがもはや取り返しのつかない状態に至っていた今年2~3月頃ですら、『あさイチ』などのトーク番組に演者が登場し、現場でいかに努力しているかなどを延々と語っていましたが、それで糊塗しようという制作側の浅はかな意図が見え見えで、失笑すら禁じ得ませんでした。
演者さんには二重に気の毒でしたが。

『まんぷく』に関して、この頃頻繁に耳目に入ってくる「役者さんは頑張っている」という趣旨の言葉。『わろてんか』で既にさんざん悪い印象が染み付いているだけに、「二の舞確定!」を印象付ける言葉に受け取れます。

匿名

考証関連の壊滅は諦めるとして、makiさまがご指摘のように、役者さんは与えられた条件の中で良いお芝居をされているなあと感じます
それだけに缶詰やら、武家の娘やら、一言で表現出来てしまうキャラ設定の単純さが恨めしいというか……
来週以降は世相が暗く、雰囲気も少しは落ち着くのかと思いますが、少しは人物に深みが加わると良いですね

あかさたな

しっかり観てるわけじゃないんで
見逃してるのかもしれませんが。
福子や立花、野呂とか、なんで相手を
好きになったんでしょう?
なんかきっかけありましたっけ?
みんな一目惚れ?
なんか好きになるのが適当すぎ。
てなわけで、まんぷくはリタイヤ。
ここのレビューだけが楽しみです。

ぬぬ

あーなんか不自然と思った点に
「大阪なのに金の話が少なすぎる」がありました。
起業家のお話なのにね。不思議!

戦前は 大正の好景気(大大阪時代)から突然の昭和恐慌
その後 戦争突入で 大阪の地位低下、東京に負けて行った時代なのでは…。
そんな頃の話だったら 東京への妬み or 東京進出した奴の懐事情とか
日常的に言わない訳ないと思います。大阪らしい所なのに なんで削るんだろう?
ラーメンだけでも「値段はいくらで 庶民の生活費的にどのくらいの負担なのか」
くらいは 強調してほしいかなあ。

匿名

第一話見て言い知れぬ気色悪さを抱えていたら、武将さんのレビュー見て気色悪さが全て書かれてあり安心しました。
そして第三話見て視聴をやめました。長編ドラマは第一話(45分)見て何も訴えて来なければ視聴継続はしない。
今期はがまんすることないな、と。
今日は「どうなってるんだろ?」と武将さんフィルターを通したあのドラマ世界を覗きに来てみました。TLのアルファツイッタラーたちが激推ししてるのでもしかして面白くなっているのか?と。
前作の鈴愛を嫌っていた人たちは旧に復したと大喜びのようですが、酷評だったわろてんかより今作はつまらないのではと思っています。わろてんかはあれでも最後まで見た。
前作の鈴愛を愛したぼくは、もう鈴愛以前には戻れなくなっていて、心に鈴愛を一人養っているような感じです。がっきー主演のドラマが放映されたのですが、鈴愛だったら秒で反撃するのにと忸怩たる思いを抱いたり。まあ、あのドラマは継続して見ようと思っています。半青のいい比較対象になりそうなドラマかなあと。

maki

牧先生が、馬が徴収されたことを話すシーン、私はとっても切なくなりました。戦争中ですから人前で辛い気持ちを表してはいけない、だから笑顔で話すしかない。くるっと回ってこちらに顔が見えたとき、無理やり笑顔を作っているけれど歯を食いしばって耐えているようにも見えて、胸が痛くなりました。
福子がのんきに見えるのは、性格が楽天的なせいもありますが、まだ昭和17年だからだと思います。戦況が悪くなるにつれてどんどん世の中が暗くなっていくのを見せるために、今はあえて明るく見せているのかもしれません。

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