わろてんか47話あらすじ感想(11/24)脇役の方がデキる子やん

時は明治。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとするものの、藤吉の実家で姑の啄子からは認められません。
そうこうしているうちに、藤吉が詐欺に引っかかり北村屋は倒産。店も家を失います。

藤吉とてんは、てんの実家藤岡家から五百円(現在の貨幣価値で五百万円)を借りて、寄席小屋を買い取り、寄席「風鳥亭」開業にこぎつけました。

ようやく軌道に乗りそうな「風鳥亭」。
てんは、父・儀兵衛の死を乗り越え、飛躍を目指すのでした。

 

なぜ会社にしたのか? んじゃそれ以前は?

冷やし飴を笑顔で売るてんを見て、風太は安心します。

「てんを頼む」
そう頼んで来た風太相手に、「おぅ」と何だか上から目線の藤吉……。

おそらく脚本家さんは、ちょっと不器用でクールな少女漫画系王子様を意識して、こういうリアクションにさせたのでしょう。
ただ、この対応ですと、シッカリとお願いをして礼儀正しい風太に対し、なんだか感じ悪い人に見えちゃうんですよね(´・ω・`)

藤吉は、てんと啄子に相談があると言い出します。
「風鳥亭」を会社にしたい、と。

会社にすると、手続きや税金、経理面でどうなるのですかね。
端的に言えば、メリットとデメリトットの説明が聞きたいのですが、それがない。一言でも何か言ってくれれば視聴者も納得できると思うのですが、「よろしいな~」と笑顔で終わるてんはもちろんのこと、啄子も反対しません。
できれば、ライバル(松竹や他の寄席など)の例をそれとなく出して、利点を説明してほしかったです。

啄子は、それよりも藤吉とてんは結婚すべきだと言い出します。
そもそも反対していたのはお母ちゃんやろ、と藤吉。
確かに啄子は反対しておりましたが、自分から折を見て「そろそろどうやろ?」とか頑張ったでしょうか。ダラダラと同棲だけして、結婚しない男というパターンがアタマをよぎってしまいました。

本作で数少ないまっとうな感覚の持ち主である啄子は、結婚していたら里にも行けた、すまんなぁ、とてんに謝ります。
そうそう、儀兵衛の死で、最も気にすべきところはそこではないですか。
自分が不甲斐ないばかりに、てんが嫁入りできたと儀兵衛に言えずすまんかった、と申し訳なさがあるべきでしょう。そこは啄子より先に藤吉に言ってほしかった!

 

木戸銭を半額にしよう

ここでてん、突然、木戸銭=入場料を半額にしたいと言い出します。

このあと芸人にも話を持って行って、彼らが反対すると、啄子が「あんたらが反対するならいけるんちゃう」と言い出します。
ここでズコーッとコケて笑いを取ると……。

てんさん、ここはアナタが入場料を半額にする理由、メリット、デメリットを説明しないといかんでしょう!
思いつきで会社おこすとか、入場料半額にするとか。席主の立場でそれはダメでは。

藤吉の場合は、松竹に相当するライバルの快進撃を見たから。
てんの場合は、寄席を楽しみにしているけど、入場料が高すぎて入れないと悩む観客を見たから。

そういう理由を一言でも発していれば色々と納得できるのに、なぜこうしたところが抜けてしまってるんですかね。ズコーッ!

ここで啄子がてんを褒めだして北村屋の家訓を教え出しますが、どこに商売の機転や勝負どころがあるかイマイチわからないので、見ている私は( ゚д゚)ポカーン

ドラマのメリットは臨場感を再現できる点であり、そのぶん道のりが大切なのであって、結果オーライで史実で成功したからと言われても説得力がないんですよね。
道のりと言っても、キモは商売の機転に集約されていて、特にまどろっこしい話でもないハズなのに、ほんのちょっとした、しかし気の利いたセリフが抜け落ちているのが原因な気がします。

 

売上が伸びた代わりに人手が足らなくなってもた

藤吉は、寺ギンのところへ出向き、「儲けが倍になったら取り分を見直して、五分五分にする」と話をつけます。

ここで「あっ!」と思ってしまいました。というのも以前、寺ギンが取り分を「7:3」と吹っかけてきたことに対し、第43話レビューで、私、こんなことを書いておりまして。

「まずはなんとか6:4でお願いします。そして売上を伸ばしますので、そうしたら5:5にしてもらえませんやろか? もちろんそのときには寺ギンさんへの実入りも確実に増えてます」
と、期間を区切って平均売上を算出し、目標の数値を提案。お互いに「儲けましょ」というスタンスで交渉に臨むのが一般的なハズ。

要は「事前に交渉しておけばいいのに……」と、ごくごく普通のことを指摘したら、今回で出てきちゃいまして。ここも見せ場にしたかった?んですかね。

野暮なツッコミしてスミマセンでしたm(_ _)m

ただ、せっかく「五分五分でわかった」と言わせたなら、文書で残しておくべきでは?と。これも現代ではごく普通の商慣習だと思うのですが、当時は違った? いやいや、パーマ機詐欺(第5週)では文書に残して失敗しているじゃないですか。

五銭寄席にしたお陰で、売り上げは順調に伸びます。が、人手不足に陥ります。

するとそこへ京都からトキが参上。

チンピラにからまれたら栞(第2週)、外米が残ったらインド人(第4週)、そして人手不足ならトキ。うーん、世界が優しすぎて、風鳥亭に突然ゾンビが大量発生したら、ウォーキングデッドからリックが助けにやってきちゃうかも(´・ω・`)

栞が「ある男が来る」と言った次の瞬間に寺ギンがやって来た時(第7週)も思いましたが、もうちょっと間を開けた方がよいのでは……。15分でおさめなければいけない制限はわかりますが。

 

主人公がやるべき機転を全部持っていかれた(´・ω・`)

トキはてんが座布団を押し込めるお茶子のやり方をみて、座布団の小型化を思いつきます。
さらにはスルメ等の塩辛いものを販売し、喉が渇いた客が飲み物をたくさん注文したら物販の売り上げが伸びるのでは? と提案します。

「気に入った! 冴えてますで! あきんど向きや!」
啄子は大喜び。って、そりゃそうですよ。
だってそういうのを提案したのが史実の吉本せいですからね。

こうした機転こそ、てんの手柄にしてあげて、後に吉本王国を作る礎にすべきなのに、なぜ脇役に振ってしまうのでしょう。もったいない><;

ただ、奮闘の甲斐あって売り上げは伸び、寺ギンと約束した倍に達します。

藤吉はガンを飛ばしながら寺ギンと再度交渉します。
が、さすが兵動大樹さんの寺ギン相手では勝負にならないと申しましょうか。

寺ギンは「席主らしくなってきたな!」と笑いつつ、結局6:4の取り分にしてしまうのでした。

「んなアホな……」
口をあんぐりと開ける藤吉。
いや、だから、そこで粘って交渉してこその席主ですよね!

なぜ同じことを繰り返す。何かとにかく言葉にして、コトを有利に持っていきなさいよ、あぁ、もう、見ていて辛い、もっと頑張って><;
と、視聴者にそう思わせるのが作戦だとしたら見事かもしれません……藤吉が極度にデキないヤツのまま終わってしまいますが……。

 

結婚は? 栞との約束は? 気づいたら一年経過って……

藤吉は「スマン!」とてんに謝ります。てんは笑顔で許します。
啄子にはまた海外から絵葉書が届きます。死亡ルートではなく、海外渡航ルート退場させるための伏線でしょうか。

ここで風鳥亭開業から一年経過……って、えぇええええええ!

そういえば、「ゴロゴロ冷やし飴の機転を見込んで、てんを借りる」という栞との約束は? 結局冗談だったのでしょうか。あるいは、もう済んでしまった設定ですかね。

それより……二人は結婚したんですよね?
母のしずが儀兵衛の遺影を抱えて京都から来たのは、結婚したから?

ともかく、分割払いしていたらしい借金は完済となりました。
そもそも分割払いだったことが、視聴者にとっては初めてわかるのですが、「そんなもん当たり前やろ?」ってことですかね。

晴れの舞台なのか、藤吉は紋付き袴で、てんも豪華な帯を締めています。
しかし着物は代わり映えせず。こ
んなときくらい、いいものを着せてやってください、藤吉さん!

 

吉本せいの史実を見せ所の週だったハズなのに

うーーーーーん。
今週、月曜日の回で、「吉本せいの工夫を亀井にやらせたのは問題がある」と書きました。
あの工夫は現代からすればグレーゾーンのようなものですので、そのせいで亀井のせいにしたのかと思いましたが……。

今日、座布団を詰めるのと、塩辛いものを販売する工夫をトキが発案したのを見て、頭を抱えています。

なんでやねん(´・ω・`)

今週はもっとよくできたはずです。
史実のせいの工夫を随所に盛り込めば、冷やし飴販売の火曜日のようにうまいことまとまったはずです。

それなのに、嗚呼、それなのに。
なんで脇役の手柄に、しかも台詞でちらっと触れるだけにするんじゃーい!

いや、たしかに、入場料半額と会社化という提案はありました。
それも理由が何もなくて突然出てくるから、テキトーな思いつきがたまたままぐれ当たりしたみたいになっています。

どうして本作は、吉本せいを、無能なボケーッとしたお嬢様にしたがるのでしょう。
そもそも船場のはしこい苦労人娘が、京都の温室育ちのお嬢様にされた時点でそういう意図はあるんでしょうけれども。

てんだけではなく、藤吉もそうでして。
関西の商売人らしさや軽妙さ、頭の回転よりも、何か別の造形にあわせている気がするのです。

「ンなアホな!」
の言い方には絶句。
こんなイントネーションと言い方ありますかいな。
演じる松坂さんのせいではなく、軽妙な関西男子像に藤吉を合致させることを拒否しているかのように思えるのです。

本作は、てんといい、藤吉といい、栞といい、関西の商売人というより、現代の高校生を主人公とした少女漫画(しかもかなり出来の悪い)のキャラクターのようです。

・てんはドジで天然、ぼーっとした女子マネージャー
・藤吉は不器用で無愛想だけど、ヒロインの前では優しい少年
・栞は何でもできる王子様
・ついでに言えば風太はイイ人&ヒロインに都合の良い無害キャラ

そういうキャラクター作りが得意な脚本家さんだから、無理に寄せたりしてません?

それって誰得なのでしょうか。
本来、てんと藤吉はもっと関西らしい、ベタな夫婦漫才キャラにすべきでは?
たとえば会社化の話にしたって、
「なんかええことあるんかいな? 余計に銭がかかってまうんやないの?」
とか突っ込んで欲しいのに、2人ともボケとボケで、視聴者が突っ込んでばかり。一向に画面がピリッとしてくれません。

イケメンと可愛いヒロインが笑顔で笑い合ってキラキラしている。
そういう世界をやりたいのでしょうか。

だったらなぜ、よりにもよって吉本を題材にして、NHK大阪の朝ドラでやるんか~い!

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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