戦争は遠くなりつつある、そんな8月15日――。
あの夏、戦災孤児だったなつ。彼女は、30歳で新婚生活を送っています。
あの夏、いちばんきれいだったときが戦争だった光子。そんな彼女は、40歳で結婚間近。
あの夏、心の底から愛した相手が戦死していた亜矢美。そんな彼女は、50歳で母親としての人生を終えようとしている。
三人のヒロインが、新しい時代を迎えようとしています。
かあちゃん、そりゃないぜ、かあちゃん!
茂木社長はしみじみとしています。
「なっちゃんがもう30で人妻か〜。そりゃ新宿も変わるわな〜」
ここで、イッキュウさんがガラガラとものをひっくり返しています。
こいつはそういう奴なので、温かい目で見守りましょう。
亜矢美の立ち退きについて、藤正親分は感慨深いものがあるようです。
婚約者が戦死した、花の踊り子。
見かねた亜矢美に店を紹介したのは親分でした。
彼にはもう、新しい店を紹介することはできないのだとか。
世代交代ですねぇ。
茂木がゴールデン街を紹介すると言うと、咲太郎は慌てます。
光子ら周囲も、咲太郎の気持ちを考えて欲しいと訴えるのです。
咲太郎が怒るというのも面白いんだな。理由が見えてきたぞ。
ゴールデン街が、闇市の跡地だったというのも確かではあるんですけど、この界隈にはもうひとつ、裏の顔がありました。
【青線地帯=非合法売春地帯】です。
咲太郎となつが再会した浅草は【赤線=合法売春地帯】だからまだマシ。
千遥は一流の芸者女将の養女ですので、ランクはさらに上ですね。
千遥=芸者:身売りはしない
咲太郎=花魁:その他もろもろの浅草:一応は合法売春地帯
亜矢美=夜鷹:……かあちゃーーーーーん! そっちには行くなーーーーーッ!
こうなるんですね。
なので、俺と光子が用意する!と鼻息荒くなるのは当然っちゃそうなんです。
人間は、過去はわかっても未来はそういうわけにはいかんからね。
屈辱の極みってことでもある。
「それじゃ気兼ねなく……でも断るよ。ゴールデン街で十分! 咲太郎、いい加減大人になりなよ!」
そういうものだ、もともと母親でもないし、とサバサバと言い切る亜矢美。
するとカスミが「言い過ぎだ」とたしなめます。
ここで光子が髪の毛につけている白い花が、とても清楚で、愛らしくて、まさにプリンセスなんだな。
エリーザベトの髪飾りみたいで、比嘉愛未さんにぴったり。
光子という名前にもあっていて、輝くように美しい!
でも、この白い花も残酷といえばそうなんですよね。
ウェディングドレスの基本が白になったのは、ヴィクトリア女王以来です。
それまでは一番いいと思ったドレスならば、色はどれでもよかった。
白を純潔とからめて強調したのは、お堅いヴィクトリア朝らしい流行とも言える。
白は純潔。
プリンセスにこそふさわしい花。
そう考えて、亜矢美と比較すると……。
青、そして闇から、黄金へ
「まだなにも、返していない……」
咲太郎は苦しそうにそう絞り出します。
「十分してもらったよ。どこだって住める」
亜矢美はさらりと言います。
これが十勝ならば、あのなつと泰樹のやりとりになるのでしょうが。
「わしも、お前が育ててくれた、たくさん……たくさん、夢もろた……」
ここでなつも、こう言い出します。
「一緒に住みましょう! 10年お世話になりました、柴田家と同じです。大事な家族です! 落ち着くまででいいから!」
「ありがとう。全く、あんたたちきょうだいってのは、なんでこんなに優しいの」
なつもすごいですが、イッキュウさんも実はすごいんですよね。
新婚家庭に、血縁でもない亜矢美を同居させると妻が言い出しても、それもそうだと納得している。なかなかできることじゃないっしょ。
「いい加減もう、私を解放してくださいよ! 私は本当に大丈夫だからね!」
そう強がる亜矢美に、カスミが助け舟を出します。
「ゴールデン街の亜矢美でいい。みんな入り浸るよ!」
そうだそうだ、そうだそうだ!
と、新宿の仲間たちが同意しております。まぁ、一人だけ、ちょっと何か変な人がいますけどね。
「俺が一番似合う……」
ドヤァ、のドヤ顔、茂木社長!
雪次郎の下宿の時もそういうパターンでしたが、引っ越し先を紹介する相手は住所を把握できるってことですよ。
社長、クククッ、社長……。
「亜矢美の好きにしろ。俺たちのムーランルージュだ」
最後は藤正親分がきれいにまとめました。
やっぱりここは親分ですね!
亜矢美はしみじみと振り返ります。
「今までやってこれたのも、咲太郎となっちゃんのおかげ。だって本当に楽しかったから!」
気持ちはわかりますよ。
なっちゃんという最高のアバターで、リアル着せ替えゲームしてましたもんね。
「こっからまた始まるんだ! 私の人生を始めさせてもらうよッ!」
「よっ、がんばれ、亜矢美!」
そう歓声を送られるのです。確かに楽しくなりそう。
行く先はゴールデン街だしね。
彼女の人生が楽しみです。
心を盗んで、奪われて
そして朝。
なつが風車に走ってきます。そこにいたのは、カウンターでうなだれる咲太郎です。
亜矢美は引っ越しちまった。
どこに行ったのかもわからねえ!
※続きは次ページへ
なるほど〜確かにその前にハイジがありますね。
よく考えたらあとたった1ヶ月半。今回の朝ドラはあっという間だなあ…
おそらく蛍の墓では無いと思います。
この作品は戦後に重きをおいておらず、むしろ戦後の混乱期でも幸せに暮らせた北海道の牧畜と自然に重きを置いています。
つまり、自分達の子供に幸せを見せるには、戦後を見せるより北海道を見せると言う話になると思います。
そして、ジブリ系で高畑勲監督で大自然を見せた作品と言えばそう「アルプスの少女ハイジ」。
おそらく、「アルプス少女ハイジ」を北海道に置き換えた「北海道のみなしごソラ」みたいな感じになると思います。
そして、ラストはop映像そっくりな格好をしたなつが、opアニメを描きそれが飛び出して終了という予想をしています。
これだと年代も合います。
おそらく蛍の墓は最近よく作られる続編でしょうね。
さらに人気が出てかぐや姫まで行ってほしいです。
今週の亜矢美さんの咲太郎への接し方は、完全に「母」としてのもの。「恋心」は完全に昇華したのかな?と思っていたら、「やっぱり…」という展開でした。
これから亜矢美さんはどうするのか? 新しい店を開く前に、旅に出たのかなとも思えますが、ラストで乗っていた列車の感じは北海道の客車のような気も。「ふらりと柴田家を訪ねる」という展開もあるのかも。
亜矢美さん、光子さん、咲太郎エピでは、本サイトの考察、楽しませてもらいました!それにしても亜矢美さん格好いいです。本作は女性の姿に惚れ惚れします。
昨日なつが坂場さんに語った、私たちの子どもは…の台詞に、やはり火垂るの墓まで描いてくれるかなと感じました。
ナウシカは、私はまだ見つけられず。幼い頃にナウシカのアニメと漫画の洗礼を受けたナウシカチルドレンなので、もし登場したら嬉しいですね。
本作の企画を最初に知った時は、アニメ人気にあやかった企画のようで、あまり好感ありませんでした。
始まってみると、思ったより現場は描かれず、所謂お仕事ドラマとしては物足りないようにも思います。でも本作の魅力はそこが焦点ではないのですね。単純なお仕事ドラマでないことに安堵しています。(お仕事ドラマに名作は多くあり、そこを否定しているのでは全くありません)
時代の価値観を切り拓いてきたアニメを通じて今の社会を切り拓いているのかと、武者さんのレビューを見て感じています。
高度成長期、「もはや戦後ではない」という言葉があったようですが、むしろずっと戦後であってほしいものですね。今が戦前ではありませんように。
いつもレビュー、ありがとうございます!
終戦の夏と、なつのお誕生日に寄せて。