なつぞら150話 感想あらすじ視聴率(9/21)思えば剛男から始まったんだ

名セリフ、出ました。
ファンブックがあるなら買わなくちゃ。十勝にも行くべさ。

これは大事だと思うんですよね。

我が子に過剰な期待をしすぎるわけでもない。でも信じている。
そういう父としての顔は、ありました。

「父さんはお前が誇らしい!」

なつぞら42話 感想あらすじ視聴率(5/18)それぞれのキャンバス

夕見子と明美の強すぎる個性を尊重し、進学させ、就職も見守った。
娘たちの突っ走る道に驚き、縁談を心配していたのはむしろ富士子でしたもんね。

あの泰樹すら、なつと照男を結ばせる作戦をしましたもんね。

「頼りない父だけど……」

なつはそう自嘲する剛男を励まします。

「父さんは、強くて優しい。開拓者の魂が宿ってる」

照男にも、夕見子にも、明美にも、なつにも。
それはちゃんと伝わっているって。私にも伝わっている気がする。

「なつの生き方も、伝わってるべさ」

剛男みたいな、そういう昭和の男だって、当然ながらいたんですよ。

プロじゃなくても料理をするとか。下戸とか。タバコは無理だとか。
社員旅行で芸者さんが呼ばれると、部屋に戻っちゃうとか。
そして子煩悩だとか。

映画での高倉健さんみたいな、そういう背中で語る男あたりがもてはやされたわけでして。
映画の像であり、実像ではありませんよ。それならまだマシかも。
実録路線を突っ走る系と言いますか……。

※「あとでミス広島抱かしちゃるけん」的な

そういう昭和の、隠れていたおとなしい男たちを輝かせるのだから、本作は優しいドラマだと思います。

剛男がなつを十勝へと連れてくるところから、本作は始まります。
威張って、ドドーンとした像になっていても、まったくおかしくないと思う。

舞台は昭和21年(1946年)――。

北海道十勝地方に、なつはいました。
9歳。終戦の翌年にあたります。

ここで彼女を連れている復員兵が柴田剛男です。

なつぞら1話 感想あらすじ視聴率(4/1)タンポポ食べるヒロインに期待♪

でも、名前とのギャップが激しい剛男だからこそ、彼の魅力がありましたね!

そういう現実と、実像を把握することも大事かもしれない。

草刈正雄さんなんて、インタビューを読むと、謙虚で、マウンティングをしようなんて気持ちを欠片も感じさせません。泰樹のキャラクターには、彼自身が反映されているのでしょう。

◆草刈正雄「ポッと出の元モデル」だった僕が氷河期を経て、再ブレイクできたのは

◆草刈正雄明かす「“泰じい”が忘れられない『なつぞら』名場面」

吉沢亮さんに対して、地味だの暗いだのそんな意外性を見出すニュースをチラリと見かけました。
ウンザリです。
男なら飲む・打つ・買うヒャッハー! そういう世界観は、もう古びて朽ち果てておりましょう。

本作の語りかける「優しいあの子」には、男性もちゃんと入っていると思います。

マッチョイズムや、ホモソーシャルからは、カースト下位にされてしまう。
それはそう思う方がおかしいだけなんでないかい?

そでないんだわ、優しいあの子は、とても素晴らしいしょ。そう語りかけてくる。
女性だけではなくて、男性も救うドラマなのです。

ここはやはり、富士子ちゃんでないと

そんな剛男が十勝に戻り、千遥の顛末を報告しています。

こちらは一件落着にせよ、心配しているのは、なつのこと。

家事をしつつ、家で仕事をする。それが6月まで!
しかも、春からは優が小学校に入学するから、保育園のように預けられるわけでもないのです。

学校に帰った優をどうするのか?
そこに悩んでいるのだとか。

やっぱり本作の男たち。それにスタッフは優しいべさ。

夕見子は女だけが食事の支度をしているとダメ出ししましたが、それでも彼らは家事の困難を知っているのです。

なつぞら84話 感想あらすじ視聴率(7/6)男子厨房に入るべき

こういうシャドウワークを軽視し、「飯炊き(※しかも大人数)くらいで愚痴るババアw」と笑いものにしていた、そんな酷いドラマもありましたっけ……。

家政婦を探していると聞いて、優と同年代の拓男がそれは何か? と尋ねます。

地平が、その中身を説明します。

本作は子役にも手抜きがないのです。年齢、世代、個人による知識の差があります。
どう考えても、その年代、その年齢、その経済状況ならば知っているはず。そういうことは質問しません。

同じくらいの年齢でも、上流階級かつ年代が上ならば、知っていてもおかしくはありません。

「富士子、お前、行ってやれ」

ここで素早く、そう言い切る泰樹。

照男が牛を増やすと言った時と、比べてみましょうか。

判断力や知性は衰えていない。
照男に判断を委ねていたのは、権力移譲か、気力がないか。そのあたりでしょう。

「実はちょっとそう思ってた」

ここで剛男もそう切り出します。
この力関係よ。そう思っていても、富士子ちゃんにそんなことはっきりとは言えないんだよ〜。そういうことでしょう。

だがそれがいい!

こういう状態を「女房の尻に敷かれる」とは言うものの、尻に敷かれる幸福もあるんですよ。

しかし、富士子は気乗りはしません。
拓男も入学するし、牧場アイスクリームのこともあるし。

二人はアイスクリームを作り、牧場見学者に販売するそうです。

なつぞら140話 感想あらすじ視聴率(9/10)圧巻の北海道開拓史

そういう理論を、きっちり埋めに行くのが本作よ。

照男は「入学しても拓男のことは心配しなくていい」とキッパリ。
砂良は「アイスクリームのことは私がやる」と言い切る。

照男が、アイスならば夏から、6月までならば気にしなくていいと付け足す。いい夫婦です。

「わかりました。私が行きます!」

かくして、富士子出馬と相成るのでした。

本当に短い会話ですけれども、今日も巧みでして。

・富士子に押し付けない、反論はさせる

 

・富士子は孫や夫への愛情、面倒ではなくて「アイスクリーム販売」という商売への意欲を見せている

 

・反論に対して、きっちりと理論で反論する

理詰めバリバリではあるんですよね。
これも『半分、青い。』以来の女性自立への流れだと感じています。

あの作品では晴の写真にせよ。
キミカ先生の車にせよ。
女性が一人で楽しむ――夫や男以外と楽しむことを見せていました。

半分、青い。154話 感想あらすじ視聴率(9/27)生も死も、半分ずつの世界だからこそ

鈴愛は、晴の撮影した写真を見ます。
素人とも思えん!と感嘆の声。キミカ先生は赤いマイカー写真を見せました。

夫と登山するとか。
彼氏の助手席にいるとか。
そういうものとはちょっと違うのです。

まぁそういうのが脳天直撃する人っているんですよね。男でも、女でも。
女は常に男にアピールするためのスイーツ作り、メイク、ファッションばかりを気にしている。そう信じたい信徒たちよ……。

「もぉぉぉぉ〜おかぁさんてばぁぁぁ〜」
と、何ら確たる理屈もなく、ともかく口封じに走る。そういう同性牽制と盲従こそ、いい女♫ そんなゲスワールドです。

富士子の背後には、じいちゃんの愛

かくして富士子が上京し、マコプロにやって来ます。

陽平も「おばさん!」と迎えております。

「お久しぶりー」

富士子は、駅からタクシーで来たそうです。
マコは早速丁寧に、ロケハンのお礼を言っています。

下山と茜もご挨拶。

富士子は、優がお世話になったと頭を下げます。

なつぞら130話 感想あらすじ視聴率(8/29)少子化の足音が……

「私は何も……」

そう謙遜する茜。
皆それぞれが感謝しあっていて、本当に素敵ですよね。

富士子は、ここで道産子あるあるを発揮。
それは大量のお土産です。

しかも農作物と酪農品。じゃがいもとバターのセットでした。多い! こんな重たそうなお土産を、十勝から運んできたの? なまらすごいべさ。

「なんもないんだわ」
と言いつつ、その物量がすごかった……そういう道産子らしさがそこにはある。

ブランドだとか、老舗の羊羹だとか、デパートで買ったとか。そでないんだわ。これが道産子だわ。

神っちがここで大喜び!
ちょうど描きたかった、そうモモッチを誘って調理しようとし始めます。

「すみませんっ、いただきます!」
とは言うものの、テンション高いし、子供っぽいんですよね。

これも、濃くてちょっと残念な神っちかも。
マコさんや他のメンバーのように挨拶を抜きにして、自分が使えるかどうかで浮かれてはしゃいじゃう。

人によってはこいつは非常識だと怒らせかねないので、要注意ですよっ!

マコの経営センスと常識、社会との折り合い。
神っちのちょっとズレている、かつ濃いセンス。
やっぱり、二人でひとつです。

なつはここで、富士子にこう謝ります。

なつぞら133話 感想あらすじ視聴率(9/2)魔王が男女で降臨だ

「なつを甘やかすなって、じいちゃんに怒られない?」

「じいちゃんがなつを助けろって言ったのさ」

なつも、これにはびっくり。
90を超えても、孫世代を驚かせる。これぞ柔軟性、まさに知略99、【表裏比興】ォォォ!

泰樹のすごいところはたくさんある。
この最晩年までアップデートできること。それこそ彼の偉大さではありませんか。

――偉大なる総大将は、牛舎におりました。

牛の間に、小さななつの姿が。

一生懸命に働いています。

その姿を探して、しゃがみこみ、そのまま動けなくなってしまう。

なつぞら2話 感想あらすじ視聴率(4/2)大人が守り、育ててゆくもの

なつよ、感謝を込めて、来週に続けよ――。

来週が、本作のフィナーレです。

無冠の王者

今日はもう、感無量です。
来週で終わりなんだな、と。

ただ、ロスにはなりません。
なんでもかんでも【ロスと言えば盛り上がっていて、私はファンだとアピールする風潮】が好きじゃないという、個人の性質もありますが。

本作は大好きだし、『大草原の少女ソラ』は、いっそ全編作って欲しいほどではあります。
スピンオフも絶対に見る!

でも、胸に穴は開かないと思う。
むしろ、満足です。

いや、だってさ。
これ以上を求められないくらい、完成度が高いしょ。公式サイトのマコプロセットなんて、文句のつけようがありません。

本作は全力投球なもんで、楽しいっちゃ楽しいけれども、見ていて脳をフル回転させられて、しんどいと言えばそう。

朝からこんな情報過多でいいの?
そう疑念を抱く人がいたら、黙って頷きたくなるくらい、毎日濃厚でした。

それはまるで、しぼりたての牛乳だった。

そうそう、予告編といえば。

ちょっとネタバレになりそうではあります。
嫌な方は数行飛ばしてくださいね。

大泉洋さんはある意味最強の存在ですね。
北海道の王者だわ。

そうかそうか、あのアニメのスポンサー、なんだか理解あると思っていたらそういうことね!

信之でスポンサーのパロをしていたので、爆笑してしまいました。
地味でもいい。
それも、スポンサー枠総大将あってのことじゃああ!

なつぞら144話 感想あらすじ視聴率(9/14)千遥となつを繋ぐ千夏

それに、私は確信しています。

NHK東京チームの挑戦は、次作も続きます。これで終わりじゃない。
『スカーレット』も好感触がありますが、それ以上に今からもう『エール』が怖くて、そして楽しみなのです。

さて、今日の締めくくりに。

泰樹といい、剛男といい、なつといい、イッキュウさんといい。
【内助の功】路線でもない。
成功した誰かが、ドヤ顔マウンティングをするわけでもない。

本作は結局何がしたかったの?
そんな理解する気のない、薄情者反応を集めたネットニュースもある。

でも、答えはあるんです。
本作は、無冠の王者の物語だと思う。

どうしてかれらの精神は、年老いないのか?
歳をとっても、感覚をアップデートできるのか?

答えは、この文にあると思うのです。
引用させていただきましょう。

光るもの全てが黄金とは限らない。
彷徨うもの全てが、道に迷っているわけではない。
年老いても、強き者は枯れない。
深い根に、霜は届かない。
灰から火が蘇り、
影から光がまた芽吹く。
折れた刃はまた研がれ、
無冠の者は再び王となる。
J・R・R・トールキン『指輪物語』

信尹「読まんでいいタイム、まだあったのか……」

次作以降にむしろひきずっていただかなくて結構です。
ちょっといつものきついことを書きますけれどね。読まんでいいタイムです。

せっかくだから、NHK朝ドラに漂う淀んだ空気は突っ込んでおかないと。それもあと少しですし。

NHK東京朝ドラを日がな一日罵倒している信徒が多い割には、NHK大阪前作って功績をアピールしますね。
そりゃもう、不自然なくらいに。

声だけ数秒間出演しただけの****主演女優のおかげで、恩恵を被っただの。

同じく一瞬出てきただけの、****ヌードルのおかげで、SNSが熱狂しただの。

呆れ果てたのは、朝ドラ恒例ヒロインリレー記事にまで、****主演女優の名前が見出しで出てきたこと。
リンクはしません。彼女の名前で検索してください。

論調はこんなところです。

【****主演女優のありがたい教えのおかげで、『なつぞら』はなんとかなって、その恩恵が『スカーレット』にまで引き継がれる!】

関係ニュースまで、教団臭、宗教ぽさを演出せんでもいいしょ。
それに、関係ないしょ。
NHK東京チームの頑張りしょ。

ただ、NHK大阪****のセットや衣装が手抜きであった理由が、これではっきりと推察できました。
NHK東京は最終盤でもロケできていますが、年明けはずっとスタジオ内のセットをぐるぐる回っていた****。

どうしてお金が尽きたの?
メディアコントロールに取られたんですね。そういう嘘は、必ずバレます。その日が楽しみではあります。
下駄を脱いだかもしれない、そんな『スカーレット』も。

にしてもさ。

スポーツ新聞のエロ小説。カンヌ映画祭のようなブランド大好き。マウンティングとハラスメント大好き。
そんな空気が大好きだからって、それを周囲に広げなくてもいいでしょう。
あれは半年前に終わったんですよ?

いまだに【この素晴らしい私を怒らせたNHK東京ぉぉおお!】と激怒している信徒。
しかも、確たる理由がない。この素晴らしい私を怒らせたことがともかく悪い! そういう論調だわさ。

いや、もうやめましょう。
自分の人生を生きてみませんか?

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】なつぞら公式HP

 

1 Comment

匿名

剛男さんはステキなお父さんですね。最弱キャラとして和ませてくれる存在に見せて、実は子どものことを信じて見守れる、立派な父親でしたね。そして、ここぞという時にはしっかり主張し行動出来る人。その姿は物語の中でブレずに描かれていたんだなと、この回を通して確認することが出来ました。
柴田くん、本当にありがとう。のナレーションもよかったです。私も、そうだよ、本当にありがとうと思わず言っちゃいました(笑)
脚本家さんからの、剛男さんへの愛情を感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA