ゴールデンカムイ アニメ感想あらすじ 第二期18話「阿仁根っ子」

妹の仇

さて、谷垣の過去ですが。
兄のように慕う賢吉に、妹フミが嫁ぐところまでは順調でした。しかし、そのフミはマスケというマタギの小刀で刺殺されていたうえに、住んでいた小屋は焼け落ちていたのです。

谷垣は妹の仇を討つために、賢吉が逃げたはずの北海道に屯田兵として渡り、日露戦争に出征。
帰りを待つ母は、娘の死と二男の出征に気を病んでしまい、亡くなりました。

谷垣は、この母とフチを重ねているのです。

谷垣は日露戦争の最中、賢吉の背中を撃ってやろうと決意を固めておりました。

実は戦争での友軍誤射による死亡率は、割と高いものです。
本作でも、友軍によって射殺されるとある人物が、そろそろ出てくる頃ですね。

そして二百三高地での戦い。
谷垣は杉元と偶然出会い、彼にカネモチを与えます。杉元は自分の第一師団にも、秋田出身の猟師がいると語ります。谷垣は、ここで賢吉は北海道ではなく、東京に逃げたのだと悟ります。

このへんも、日露戦争の配置連隊を把握していないとセリフに生かすことができないので、ちょっとしたやりとりでも相当考証をしっかりしているなあ、と唸ってしまう。

谷垣はついに妹の仇を討てるといきり立つのでした。
しかし、それどころではないほどの激闘です。

※戦場で仇討ち狙いって異常じゃないの? と思うかもしれませんが、そういう状況がないわけでもありません。この状況が延々と続く映画『デュエリスト/決闘者』は傑作

ロシア兵は手投げ弾をくくりつけ、塹壕に飛び込むという戦法を展開。
この状況に陥った際、一人の兵士が飛び出して、敵を止めたのです。戦場で最も勇敢で英雄的とされる、自己犠牲で仲間を救う行動でした。

谷垣は重傷を負った賢吉に、フミの仇だと宣言しながら襲いかかろうとしますが、賢吉は鼓膜が破れ、もはや耳が聞こえません。
それどころか、フミの死の真相を語ります。

種痘の恩恵が及ばない北の国

フミは、疱瘡にかかってしまいました。
そうなりますと感染を恐れ、一人で小屋に置き去りにされるしかない。感染者の家族も、避けられることとなります。

杉元も、肺結核で似たような状態に陥って村を捨てました。

フミは、賢吉を巻き込むことを恐れ、自分を置き去りにして、村を出るよう頼んでいたのです。賢吉は、残したフミが動物の犠牲とならないよう、刺殺して村を出ていたのでした。

この、疱瘡というのがこれまた悲しいものがあります。

それというのも、実は疱瘡予防である種痘は、開明的な医学知識を学んだ地域ですと、幕末期から実施されていたのです。

長年人々を苦しめ、あばたが残るため「美目定めの病」と呼ばれていたこの病気。
幕末から明治にはやっと克服への道が開けたはずでした。

緒方洪庵は聖人かっ!? 適塾で医師を育て、種痘撲滅にも奔走、しかし最期は……

しかし、秋田の山奥にまで、その恩恵は及びません。
明治時代、東北は発展や近代化から取り残されておりました。

佐幕藩であり、戊辰戦争負け組である東軍が多かった地域ではあります。
秋田藩はそんな中でも、数少ない西軍でした。マタギたちも、新政府成立のために戦っているのです。

そんな彼らの元まで、新政府の恩恵は届くことはなかった。
悲しい歴史の側面です。

疱瘡のような伝染病は、アイヌの人々も苦しめました。

彼らは種痘を受けられることもありません。
それどころか、明治期に和人が持ち込んだ感染症である疱瘡、結核等への抵抗力がずっと弱く、人口が激減してしまったのです。

チカパシの家族も、その犠牲者でした。

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明治時代は、医学が発展を遂げた時代です。
日露戦争にも、日本赤十字社が派遣した看護婦がおりました。

しかし、その恩恵が全ての人々に及んだわけではなかったのです。

妹の死の真相を知った谷垣は、賢吉にカネモチを食べさせます。

彼は、復讐という動機を失いました。
復讐ではなく母のようなフチへの恩義を果たすため、前へと進むのです。

そして釧路湿原にたどり着く谷垣たち。ここで、彼は踊るアシリパを見つけたのでした。
アシリパの踊りは、「サロルンリムセ」。鶴の舞でした。

こうして二組が再会します。

耳にもよいぞ、この作品は!

今回も、スタッフ、声優さん以下、ともかく頑張りがスゴイ。

まず、声優さんの秋田弁ですね。
「ゲンジロウ」が、ちゃんと「ゲンズロゥ」に。
「カネモチ」が、「カネモチッ(チとツの中間)」に。
そういう秋田訛りになっております。

全開の薩摩ことばも頑張り全開でしたか、今回も素晴らしい!

アイヌの歌声と舞の再現も、スゴイことですよ。
彼らの言葉と和人の言葉は、文法から発音まで、何から何まで大きく違います。

発音するのは絶対に大変です。それを、きっちりと逃げずに取り組む。生真面目で、凄く頑張っていることが伝わって来ます。

大砲の発射音、銃撃音。こういうのもなかなか大変なんですよね。すごくきっちりしていますわ。
目にもいい、耳にもいい、そんな作品です。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
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2 Comments

ふふふふ

キラウシさんの方は、どうやら登場するみたいですよ。(公式の予告映像を見てきました)どんな絡み方になるのかな。

むんむん

(*´;ェ;`*)姉畑先生、キラウシさん無し!!
まぁ、仕方ないですね。辺見ちゃんや家永さんと違って、やらかしたことがやらかしたことですし。
しかし、こう纏めたか。巧く繋げたなぁと感じ入りました。

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