なつぞら154話 感想あらすじ視聴率(9/26)泰樹、圧巻の加齢表現よ

「しばた牧場」の看板前に立つ、坂場家と奥原家。

楽しい夏休みが始まりました。

歳を取り、深くなるんだ

富士子と砂良がお出迎え。
優は富士子に抱きつき、千夏はきちんと挨拶をしています。

優に対して、あんな聞き分けのいい子供はいないだの、育てやすいはずだの、そういう意見もあるようですが。
優は活発ですし、楽に育てられるおとなしいだけの子には見えません。千夏と比較するとわかりやすいですよ。

富士子は挨拶はいいからとそんな優に寛大です。

「なんもバスでなくてよかったのに!」

「歩きたかったので」

駅、バス停から徒歩で来るくらいなら、電車の時刻を教えておいてくれたらいいのに。そういうことです。

夏休みはまだしも、冬ですと危険です。
送迎は大事!

地方生活の車は命を守ります。生活必需品です。

この後、なつたちは牛舎の泰樹のもとへと向かいます。

「ご無沙汰してます」

千遥がそう挨拶すると、泰樹は無言のまま、感無量の表情となって、彼女に抱きつくのです。

表情も仕草も、まるで無邪気な子供のよう。
迷子だった子供が、誰かに抱きつくように見えなくもありません。

なつよ、誰もが歳を取る。
そして深くなるんだ――。

父がそうナレーションで告げます。

この場面は、泰樹の加齢が凝縮されていました。ゆっくりと牛を撫でる手。挨拶もなしに頼るように抱きつく動き。立っているだけでも疲れていそうな様子。

なつと千遥、そしてイッキュウさんの目にも、彼を労る気持ちが溢れています。
老化に衝撃を受けていることも、伝わってくるのです。

「じいちゃん、ただいま」

「おかえり。千遥も、おかえり」

泰樹はやっとここで言葉を発します。
千夏を紹介され、優ともどもゆっくりと撫でるのです。

「おじいちゃん、ただいま」

「ああ……」

彼はそう返すのでした。

残り少ない日を噛み締める、そんな姿があります。頬には涙が光っています。

乳搾り、できたよ!

「数を数えるように、指を折ってしぼる。そう!」

なつがそう指導し、千夏が搾乳に挑んでおります。
すると牛乳が出てきます。

「ほら、できた! 上手だね」

泰樹の教えはなつに引き継がれ、『大草原の少女ソラ』を通して視聴者に見せてきました。
記憶の継承がそこにはあります。

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優も挑み、これもうまくできるのですが。

イッキュウさんもやってみたいと言ったところで、なつは冷静に言います。

「イッキュウさんは、やめた方がいい……」

何気ないシーンですが、イッキュウさんはムッとしていない。それになつの判断は妥当だと思います。

彼は手先が不器用、危険性への判断が鈍く、いきなり動く。
そういう傾向があり、搾乳は危険すぎます。

なつはそんな夫のことを理解し、止めるだけの対処を身につけました。継承場面は劇中ではないものの、これには義母・サトの教えもあるかもしれません。夫・一直と子・一久で鍛え上げられた彼女は、よく理解できているはずです。

何度でも言います。
イッキュウさんは育児に理解があって最高の夫だけれども、結婚生活はいろいろ大変なこともありますからね。そこは、理解と受容です。

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歳を取ることは自然現象

食卓で、搾乳のことを話す一家。
ソラみたいにできたと千夏は誇らしそうです。

「優ちゃんもできたよ!」

「僕もできるよ!」

「張り合わなくていいの」

拓男をそうたしなめる砂良。

子供も大人も、楽しそうな食卓です。

なつに『大草原の少女ソラ』の感想を求められた泰樹は、こう答えます。

「うん、うん……」

横から剛男が、毎週欠かさず見ていたと説明。
しかし、泰樹はうまく説明できないのです。

「ちょっと……ちょっと疲れた、先に休む」

そう告げて、食卓から寝室へと向かってしまいます。

「じいちゃん大丈夫?」

なつがそう告げます。
富士子は安心させるように言います。

「大丈夫さ、いつものことだから。歳だしね、自然現象。今日は動いた方」

照男はこう続けます。

「ゆっくりさせた方がいい」

もう90を超えていて、あれが普通だと説明されるのです。

これもリアリティのある描写です。
離れて暮らすということは、帰省時に歳老いた人と向き合い、自分の心に痛みが刻まれるということでもある。

生きてくれてありがとう

その夜、娘を挟んでなつと千遥姉妹は語り合います。

まるで昔の自分たちを見ているみたい。そう思い出すのです。
この姉妹は、ちゃんとした布団で寝ることはなかったけれども……。

思い出されるのは、兄・咲太郎と姉妹が身を寄せ合っていたときのこと。

「よく生きたね」

「育ててくれて、ありがとう」

感謝する妹に、姉はこう告げます。

「千遥がいたから、生きられた。つらい思いをさせたけど」

「浮浪児でよかった。今まで出会えた人がいるから」

「元気でいてくれてありがとう」

「お姉ちゃん、こちらこそ」

「生きてくれてありがとう、千遥……」

姉妹が語り合うところへ、風呂上がりのイッキュウさんがやって来ます。
しかし、話の腰を折らないよう、彼は見守っているのでした。

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牧場のアイスクリームとあいつの登場

翌日、あの企画がお目見えです。
アイスクリーム!

昔の牛舎を改装しました。
かつて泰樹が、照男、戸村父子と作業をしていたあの場所です。寂しいような、よい利用のような。

そこは北海道の女性が仕事の合間にがんばって考えたような、ちょっと田舎っぽいけどめんこい装飾があります。雪月と比べてみましょう。あれは夕見子のヨーロッパ出張経験やリサーチのせいか、ちょっと雰囲気が違います。そこまで違いを出すスタッフは素晴らしい!

室内には、弥市郎の彫刻も置かれてました。
ファンシーな店なのに、ヒグマの勇壮な彫刻がある。これぞ北海道だべ!

日本各地の木彫り彫刻民芸品の類は、江戸時代の経済政策由来であったりするもの。武士の内職だったりもしましたね。

北海道の木彫り熊は、元はアイヌのものです。
そこはお忘れなきよう。うちにもあります。

◆何故みんなの家に木彫りの熊があったのか

なつは弥市郎の木彫りの熊を見て、芸術家なのかと尋ねます。
この彫刻は、生きるためのものであります。帯広の土産屋で売るのだと砂良が説明。

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さて、そんな木彫り熊を作る弥市郎ですが。もう高齢であり、砂良も心配をしております。
それでも森から出たがらないそうで。

ここで富士子が、三種類のアイスを出してきます。
食器がバラバラなのが、いかにも 副業ぽくていいですね。

・ミルク

・いちごミルク

・あずきミルク

「うん、おいしい!」

「おいしいっ!」

「でしょ!」

味は抜群――これぞ牧場の味なのでしょう。食べたくなる。

「お客さん来てるの?」

「うん……まぁ」

ちょっと返事が鈍い富士子です。と、そこへ……。

ジャーンジャーンジャーン!

「来るわけないしょ。宣伝も何もしていないのに、誰もここまで来るわけないしょ」

げえっ、夕見子!
容赦なく、宣伝をしなければダメ、開業前にしておくべきだったと言い出します。

なんだこの軍師は。背後からドヤ顔腕組みしつつの登場です。

富士子は東京にいたのに、できなかったのだからそちらが考えるべきだったと、反論します。

「喧嘩しないで! 夕見、私の妹、千遥」

「やっと会えた!」

夕見子よ。
そこは「はじめまして」あたりじゃないのか。

ここでイッキュウさんはアイスクリームをこぼしているのでした。

【表裏比興】枠が同時に揃って混沌としてきましたね。
イッキュウさんは独自の哲学論を展開していなければ、せいぜいドジなだけなので、それなりに無害です。

夕見子は、富士子をやりこめようとしるわけではない。
独自の策を考えて披露した結果、挨拶の順番がおかしくなるだけなのです。

千遥とも挨拶を抜きにして本気でコンタクトを取りたくて、興味津々といったところでしょう。そこに悪意はないよ!

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「いい歳こいて成長しろ!」

「親のしつけはなんなんだ!」

とは言わないでください。初登場時からこの二人はこうでした。
そして、これから先もこうなのです。みんな、ありのままに生きていけよ。

男性のイッキュウさんはまだしも、女性の夕見子はアンチも多いかもしれません。

理解したくないなら、それでいいしょ。
それでも「夕見子だから仕方ない」に抑えつつある本作は誠実だと思います。

演じる福地桃子さんも、荒川梨杏さんも大変だったと思います。本当に、おつかれさまです。
※続きは次ページへ

2 Comments

管理人

>通りすがり様
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました。
今後もご愛顧よろしくお願いしますm(_ _)m

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